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書評「ジブリの仲間たち」(鈴木敏夫)-スタジオジブリが明かす大ヒットの法則-

   

「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「おもひでぽろぽろ」「平成狸合戦ぽんぽこ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「猫の恩返し」「崖の上のポニョ」「風立ちぬ」スタジオジブリはなぜ常に予想を超える大ヒットを生みだし続けてきたのか。もちろん、大人も子供の楽しめる作品の力も大きい。しかし、大ヒットさせるためには、宣伝の力も不可欠です。

本書「ジブリの仲間たち」は、スタジオジブリのプロデューサーを務める鈴木敏夫さんが、いかにしてスタジオジブリは作品を宣伝し、大ヒットを生み出してきたのかを語った1冊です。

作品と映画館を繋ぐのが宣伝

本書を読んでいると、スタジオジブリの作品の宣伝は、一貫した考え方のもとに行われてきたことが分かります。まずは良い作品を作る。作品がよくなければ、いくら宣伝してもヒットしません。そして、よい映画館を押させる。映画を観てもらうには、観てもらう環境を用意しなければなりません。動員が多い映画館、人が集まりやすい映画館など、ヒットにつながりやすい映画館をおさえなければ、ヒットは生まれません。よい作品を作って、よい映画館で観てもらう。作品と映画館をつなぐ役割が宣伝という考え方のもと、スタジオジブリは作品の宣伝を行っています。したがって、作品が毎回違うように、宣伝方法も毎回変えるというわけです。

興行収入は宣伝にかけた費用に比例する

鈴木さんの宣伝に関する基本的な考え方は、「興行収入は宣伝にかけた費用に比例する」というものです。方向性が間違っていなければ、宣伝をすればするほど、観客は増える。そう考えています。そして、鈴木さんの宣伝に対する考え方は非常に理詰めです。どのチャネルにどのくらい費用をかけ、どのくらいの観客を獲得出来るのか。または、どのくらいの人にリーチするのか。観客の獲得コストのそろばんを弾きながら、1つ1つ積み上げていきます。1つ1つの積み重ねが、大ヒットにつながる。そう信じているのです。

身近な人が面白がることがヒットの第一歩

鈴木さんは、「宣伝は1人では出来ない」と考えています。だからこそ、徹底的に仲間と議論し、意見を戦わせ、方向性をすりあわせます。企業と議論し、地方の映画館を回って興行主に映画の説明をし、宣伝関係者と議論する。徹底的に人と話しをすることで、時代の空気を感じながら、作品をどう伝えたらよいか、考えながら前に進む。そろばんを弾く理性と、人を巻き込む熱。これが、スタジオジブリの宣伝の原点であり、大ヒットする要因なのだと思います。ヒットさせるには、周りの人が巻き込まれなければ、ヒットは生まれないからです。

意外なのは、鈴木さんは最初からこうした考え方のもと、宣伝を行ってきたわけではないということです。「となりのトトロ」までは、作品の事を作るので精一杯。本格的に大ヒットを目指して宣伝するようになったのは、「もののけ姫」からです。試行錯誤の末に育まれた宣伝論は、ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思います・広告やマーケティングの仕事に関わる人に、おすすめの1冊です。

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