“ドヤ顔”しないキーパーがよいキーパー

2016/02/27

日本代表のゴールキーパーをつとめる川島永嗣は、際どいシュートを止めた後怒ったような顔をすることがあります。川島の怒った顔を”ドヤ顔”と言っているのだそうです。チームのピンチを自らの活躍で救うことができたので、嬉しい顔をするのはよくわかります。

しかし、止められたプレーヤーとしては、シュートをとめて「どうだ!」と誇らしげにしていたり、吠えたりするキーパーのほうが嫌でしょうか。僕はそうは思いません。むしろ、際どいシュートを止めても「止めて当然」という顔をして顔色をほとんど変えないゴールキーパーの方が、僕はいいキーパーだと思います。

“ドヤ顔”しないメリット

ゴールキーパーが顔色を変えないほうがいいと思うのには、他にも理由があります。ゴールキーパーはチームの最後の砦というべきポジションです。ゴールキーパーが一喜一憂することは、チームの雰囲気にも影響します。チームの砦はどっしりと構えてもらった方が、チームメイトも安心してプレーできます。

また、シュートを止めたのに顔色がかわらないキーパーは、相手としては嫌です。なぜなら、自分としては会心のシュートを止めたのに「止めて当然」という顔をされると、次はもっと際どいシュートを打たなければならない、と相手にプレッシャーをかけることができます。

また、味方としては際どいシュートを簡単に止めてくれるほど、心強いものはありません。したがって、チームメイトの信頼も高まります。したがって、”ドヤ顔”しないほうが、キーパーにとってはメリットも大きいと思うのです。

しかし、極度の興奮状態の中、ドヤ顔しないで淡々とプレーするのは簡単ではありません。しかも、ゴールキーパーはフィールドプレーヤーに比べて、プレーに関与する頻度が少ない上に、ミスも許されません。思わず興奮が顔に出てしまうのもわかります。

しかし、サッカーは相手がいるスポーツです。相手との駆け引きも、勝負に勝つには重要な要素です。相手にとって、シュートを止めた後にドヤ顔されるのと、「止めて当然」という表情をされるのとどちらが嫌なのか。それを考えてプレーすべきだと思います。

余談ですが、イチローは前回のWBCの決勝戦でタイムリーヒットを打った時、「どう振舞ったらダメージを与えられるのか」と考え、ガッツポーズをしなかったのだそうです。
川島永嗣も最近はドヤ顔をすることは減ってきましたが、無意識だと思うのですが、シュートを打たれたチームメイトに対して、厳しい表情を向けることがあります。川島永嗣のドヤ顔が減るのはファンはさびしいかもしれませんが、その時はキーパーとしてレベルアップした証拠と、考えてよいのではないのでしょうか。

ドヤ顔しないゴールキーパー【海外編】

海外のゴールキーパーは派手なガッツポーズをするキーパーも多いですが、一流のキーパーはほとんど顔色が変わりません。そこで、僕が”ドヤ顔しない”と思うゴールキーパーを紹介します。

マヌエル・ノイアー(Manuel Neuer)

”キーパーのメッシ”と呼ばれ、いまや世界最高のGKと呼んでもよいノイアーは、どんな場面でも顔色が全く変わりません。際どいシュートを止めても顔色が変わらないので、簡単にシュートを止めたようにすら見えます。相手にとってこんなに嫌なキーパーはいません。

ペトル・チェフ(Petr Čech)

チェルシーのゴールキーパーを長年務めるチェフも、どんな場面でも顔色を変えないキーパーの1人です。聞くところによると、チェフはプロ入り前に心理学を勉強していたこともあるとか。心理学を学んで得た知識が、彼の立ち振る舞いに現れているのかもしれません。

イケル・カシージャス(Íker Casillas)

近年”世界最高のゴールキーパー”と呼ばれるようになったカシージャス。若いころは感情を表に出すこともありましたが、近年はほとんどなくなりました。モウリーニョとの確執により出番を失っていますが、そのことで不平不満を漏らさず、チームのサポートに徹する姿勢は、彼が一流のゴールキーパーとしてだけでなく、一流の人間であることも証明しています。

ダビド・デ・ヘア(David de Gea)

今年、マンチェスター・ユナイテッドの不動の正ゴールキーパーとなったデ・ヘア。若いですがビッグセーブをしても、顔色をあまり変えずにプレーできるキーパーです。そういう精神力の持ち主だからこそ、マンチェスター・ユナイテッドの正ゴールキーパーになれたのだと思います。

サミール・ハンダノヴィッチ(Samir Handanovič)

今年からインテルに移籍したハンダノヴィッチは、ミスの少ないゴールキーパーです。今年のインテルは、彼の活躍がなければもっと失点が多かったと思います。安定したパフォーマンスはインテルには欠かせません。

ドヤ顔しないゴールキーパー【Jリーグ編】

最後に、僕が”ドヤ顔しない(少ない)”と思うゴールキーパーを紹介します。

東口順昭(アルビレックス新潟)

淡々と顔色を変えずに素晴らしいセーブをするキーパーです。たしか2010年と2011年はセーブ率1位だったと思います。怪我のため長期離脱中ですが、復活を待ち望むサポーターも多いと思います。日本代表に選出されたことがあるのも、うなずけます。

西川周作(サンフレッチェ広島)

昨年のJリーグのベストイレブンに選ばれたゴールキーパー。昨年はミスも少なく、安定したパフォーマンスをみせていたため、難しいプレーも淡々とこなしていたのが印象的でした。今年は昨年ほどのパフォーマンスがみせられていないという印象がありますが、前年度チャンピオンの巻き返しには、彼のパフォーマンスは欠かせません。

曽ヶ端準(鹿島アントラーズ)

”ドヤ顔”をしないわけではないのですが、シュートを止めた後にニヤッとする顔が、プレーヤーとしてはさぞかし腹が立つだろうなぁと思うので、挙げさせて頂きました。年に1回必ずやる凡ミスがなければ、今でも日本代表に選ばれてもおかしくないキーパーです。

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