腹が据わった人物でなければ世界基準の交渉術は使えない。書評「世界基準の交渉術 ~一流サッカー代理人が明かす「0か100か」のビジネスルール」(ロベルト佃)

世界基準の交渉術 ~一流サッカー代理人が明かす「0か100か」のビジネスルール~

日本人のサッカー選手が海外クラブに移籍するときに、注目される存在がいます。それがサッカー代理人です。本書の著者は、長友佑都や中村俊輔や長谷部誠の代理人として、数多くの移籍を手がけてきた代理人です。

海千山千のクラブ関係者を相手に、いかに交渉を成立させてきたのか。本書にはビジネスマンにも参考になる交渉にあたっての心構えが書かれています。

メディアに流れた情報に価値はない

本書に書かれている話ではありませんが、強烈に印象に残っている言葉があるので、紹介します。Number798号にサッカー代理人の第一人者の1人である西真田佳典さんが取り上げられていました。西真田さんはサッカー代理人の草分け的な存在で、日本人で最も多くの移籍交渉を手がけてきた人物と言われています。

そんな西真田さんが語った言葉で、印象に残っている言葉があります。それは「メディアに流れた情報は、我々にとって価値はない」という言葉です。この言葉は、メディアというものが何か、情報とは何かを端的に現している言葉だと思います。

重要な情報は個人が持っている

ロシアに亡命した元CIA局員のエドワード・スノーデンが、CIAの個人情報収集の手口や諜報予算の詳細をリークし、アメリカは彼の身柄確保に躍起になっています。エドワード・スノーデンの件で僕がわかったのは、「本当の情報は特定の人が持っている」という事実です。インターネットを通じて一瞬で世界中に情報が伝搬する時代で、本当に重要な情報を管理する方法は、アナログにならざるを得ないのです。「聖杯はモノではなく人だった」というダ・ヴィンチ・コードのようなお話が、現実に起きているのです。

重要な交渉を任せてもらえる人物とはどんな人物なのか

本書を読み終えて、考えたことがありました。それは、「重要な交渉を任せてもらえる人物とはどんな人物なのか」ということです。当然、交渉を優位に運ぶことが出来る交渉術も必要ですし、海外のクラブ関係者を相手とするならば、語学は必須でしょう。(著者は、英語、日本語、スペイン語、イタリア語を操ります)しかし、重要な交渉を行うには、スキル以上に必要なことがある気がしたのです。

交渉相手が自分や推めている選手をバカにするような態度をとったときに、不満を訴えたり、交渉打ち切りと言えるのか。また、自分が担当している選手にも、包み隠さずにいい話も悪い話もすることが出来るのか。それが出来る人物とはどんな人物なのか。

一言で言うなら「腹が据わった人物」なのではないのでしょうか。腹を据えて相手と向き合い、良い話も悪い話も聞いた上で、最善な策を考え、導くために自らのスキルを活用する。そんな人物に自分の事を任せたいと思わせる。著者はそんな人物だと思います。

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