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倒れても、倒れても、立ち上がる男たちの物語。書評「グロリアス・デイズ ~終わりなきサッカー人生」(小宮良之)

   

追いかけても追いかけても逃げて行く月のように
指と指の間をすりぬけるバラ色の日々よ
(The Yellow Monkey「バラ色の日々よ」より)

「グロリアス・デイズ」という言葉は、直訳すると「栄光の日々」という意味になります。意味だけを聞けば、栄光に彩られたバラ色の日々を想像する人もいると思います。しかし、本書で出てくるサッカー選手たちは、決してバラ色の日々を謳歌しているわけではありません。むしろ、目の前の現実と必死に向き合い、敵やチームメイトと戦う、過酷な毎日を過ごしています。

本書「グロリアス・デイズ ~終わりなきサッカー人生」は、倒れても、倒れても、立ち向かう9人のサッカー選手たちのインタビュー記事をまとめた1冊です。本書は、「アンチ・ドロップアウト~簡単に死なない男たちの物語」「フットボール・ラブ~俺たちはサッカーをあきらめない! 」に続く、シリーズ第3弾でもあります。

倒れても、倒れても、立ち上がる

本書を読んでいると、サッカー選手という仕事について考えさせられます。プロになるだけでも大変なのに、日本代表に選ばれるような選手になれるのは、一握り。毎年のように新しい選手がチームに加わり、加わった選手の分だけ、不要になった選手は、クビを切られ、チームを去っていきます。

本書で取り上げられている選手は、倒れても、倒れても、諦めずにサッカーを続けてきた選手たちです。あと1歩でブラジルワールドカップ日本代表を逃した豊田陽平は、2007年に小腸が破裂する大怪我を負ったものの、J2でプレーした後、チームをJ1に引き上げ、日本代表に選ばれる選手へと成長しました。

オシム監督の時日本代表に選ばれた坂田大輔と小林大悟は、自らのサッカーの可能性を模索するため海外に移籍。坂田はJ2で、小林はMLSで、戦い続けています。水沼宏太は、水沼貴史という偉大なレジェンドの二世選手として、過大なプレッシャーと重圧をかけられながら、サガン鳥栖で逞しくプレーしています。

セルティックに移籍した当時は、本田圭佑と共に日本サッカーの将来を担うと思われていた水野晃樹は、膝の怪我に苦しみながらも、ヴァンフォーレ甲府で再起を図っています。

また、本書で取り上げられている、藤本主税、小澤英明、北嶋秀朗、といったキャリアの終盤をむかえたベテラン選手たちの、長年にわたって、過酷な競争に立ち向かい続ける姿勢には、読んでいて心を動かされます。

立ち上がるエネルギーとなる「反骨心」

本書で取り上げられている選手たちから、共通して感じるのは、反骨心です。「負けてたまるか」「自分はまだまだ出来る」といった、自らの評価や体力の衰えなどに抗おうとする気持ちが、過酷な競争に立ち向かい、成長し続けようとする力になっているのだと思います。

反骨心が力になるのは、僕のようなサラリーマンも同じです。自分の内面から沸き上がってくる「〜したい」「〜が好き」という動機があることが前提ですが、「あいつには出来ない」「あいつは大したことがない」といった世間の評価を覆そうとする気持ちを持ち、逆境を力に変えられなければ、よい仕事など出来ないのだと、本書を読み終えて強く感じました。

併せて読んで欲しい、サッカーノンフィクションの傑作

なお、本書を読んで面白いと思った人には、ぜひ「導かれし者 流浪のストライカー、福田健二の闘い」を読んで頂きたいです。本書のシリーズのもととなった1冊ですが、福田健二こそ、倒れても、倒れても、立ち上がり、反骨心を持って、プレーし続ける、諦めないサッカー選手のお手本のような選手です。

「導かれし者 流浪のストライカー、福田健二の闘い」は、サッカーノンフィクションの傑作です。読んで損はありません。ぜひ本書とあわせて、読んでみてください。

THE YELLOW MONKEY「バラ色の日々」

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