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「決定力」を高めるために、ゴール前ほど緻密にプレーしなければならない

   

昨日公開された「サッカーの「決定力」ってなに?」という記事を読んだところ、決定力不足を解消するために、シュートを打つと得点を奪う確率が高い場所について記述があったのですが、その場所にいかにボールを運ぶかについては記述がなかったので、僕なりの考察を書きたいと思います。

風間監督に注目した理由

僕が川崎フロンターレの風間監督に注目したのは、「決定力不足」を解消するメソッドを持っている人物なのではないかと思ったからです。風間監督はよく、「ペナルティエリアの三辺を攻略する」という言葉を使います。ペナルティエリアの左右と中央の三辺からいかに相手の守備を崩してゴール前に進入する事が、得点を奪う確率を高めると考えているのです。

風間監督は文字通り「ゴールから逆算して戦略を考える」監督です。ゴールを奪うためにはどうしたらよいか。ゴールを奪われないためにはどうしたらよいか。ゴールを奪うためには、攻撃の回数と成功率を高めればよい。そのためには、どうするべきかを、徹底的に、緻密に考え、トレーニングに落とし込み、チームのレベルを上げてきました。

ゴール前ほど緻密にプレーしなければならない

風間監督はよく「ゴール前ほど緻密にプレーしなければならない」と語っています。ゴール前は、相手の守備者が密集し、スペースも時間もありません。判断、コントロール、身体の使い方を誤ったら、簡単にボールを奪われてしまいますし、ボールを置く場所1つで成功率が大きく変わります。だからこそ、ゴール前で多くのゴールを奪うために、緻密にプレーするためのトレーニングを、川崎フロンターレは5年間にわたって続けてきました。よく、「ゴール前は大胆に」と指導する人がいます。相手の裏をかく発想が、守備を崩すには必要だという考えなのだと思うのですが、風間監督は発想が不要とは思わないまでも、正確な技術が前提にあっての発想だという考えを持っている監督なのです。

風間監督が、サッカーの基本技術と踏襲している動きに「止める」「外す」「受ける」「運ぶ」という動きがあります。川崎フロンターレでは、相手チームよりゴールを奪うために、動きの質を追求してきました。なお、攻撃者が動きの質を追求するということは、守備者は動きをさせないようにより高度な動きが求められます。風間監督が語っている「攻撃と守備は表裏一体で分けて考える事は出来ない」という言葉は、攻撃の練習は裏返せば守備の練習にもなると考えているからなのです。

川崎フロンターレでは、ゴール前で緻密にプレーするためのトレーニングを日々積み重ねています。ゴール前は、相手の守備者が密集し、スペースも時間もない。だから、スペースも時間がないという前提で、トレーニングしています。例えば、川崎フロンターレがウオーミングアップで必ずやる練習に、3人1組でシュートの受け手がマーク役の選手から離れた瞬間にパスを受け、シュートを打つという練習があります。これは、スペースがない中で正確にボールを動きながら止めて、シュートを打ち、確実に決めるための練習です。

あと、3人1組で2mくらいの距離でパス交換しながら、ゴール前までボールを運び、シュートを打つというトレーニングもよくやっています。動きながら正確にボールをコントロールしながらボールを運ぶだけでなく、相手の守備者が密集し、スペースも時間もない状態をわざと作り出し、その状況でも正確にプレーするための練習です。最近では、この練習をする時にペナルティエリア付近にコーンがおかれるようになりました。コーンがおかれることで、コーンをよけながらボールを運ばなければなりませんし、シュートを打つ時にコーンを避けることで、守備者の足に当たらないようにシュートを打つ練習になります。また、ゴールキーパーにとっては、守備者の足に隠れて見えづらいシュートを止めたり、いつ打ってくるかわからないシュートに対応する力を養うことが出来ます。

ちなみに、ゴール前の「相手の守備者が密集している」「スペースも時間もない」エリアで正確にプレー出来るように練習を積んでいけば、センターサークル付近やDFが攻撃を開始する時に相手がボールを奪いにきても、簡単にプレーすることが出来ます。どのエリアでも正確にプレーするために、一番難しいエリアのプレーを前提としてトレーニングを考えているのは、風間監督らしいなと思うのです。

「決定力不足」とは「技術不足」

こうした、「相手の守備者が密集している」「スペースも時間もない」エリアをいかに攻略するか。そのために、動きの質を高め、緻密にプレーする。この積み重ねが、川崎フロンターレの迫力ある攻撃を作り出しています。僕はよく「決定力不足」とは「技術不足」と表現しています。シュートを決める技術、相手の守備を崩す技術が不足しているからだと捉えているからです。

僕が思うに、日本のサッカーの現場で行われている大半のトレーニングは、「相手のミスを待つ」ためのトレーニングではないかと思うのです。敵がマークしていない選手にパスを出し、敵がマークしていない状況を作り出し、敵がいなくてシュートを打てるならシュートを打つ。極端にいうと、こうしたトレーニングメニューに、「自分たちで相手の守備を崩す」という発想はありません。相手のミスを待っているようなサッカーです。相手のミスを待っているようなサッカーを追求していては、いつまでも決定力不足は解消しないと思います。

僕は川崎フロンターレのサッカーのレベルが高まれば、日本サッカーが課題として挙げている「決定力不足」を解消するヒントが見つかるのではないか。そう感じていました。時間はかかりましたが、川崎フロンターレのサッカーのレベルは高まりつつあります。川崎フロンターレのサッカーには、決定力不足を解消する、得点を奪うためのヒントが、たくさん詰まっています。

なお、過去には「日本代表の決定力不足を考える-「相手を崩す」と「相手のミスを待つ」の違い-」という記事も書いています。こちらもあわせて読んで頂けると嬉しいです。

※この記事に書いてある練習メニューは、風間監督のDVDや著作を基にしています。

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