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普通の人の、普通の言葉に価値がある。書評「善き書店員」(木村俊介)

   

本書「善き書店員」は、いまの時代において「善く」働くとはなにかを探し、見つけるべく、何人かの日本の書店員の方たちにインタビューした1冊です。

楽ではない書店員の仕事

書店員の仕事は楽ではありません。本を並べたり、本を運んだりといった仕事がメインのため、想像するより重労働です。基本的には立ちっぱなしの仕事なので、腰を痛める人も多いそうです。仕事内容も多岐に渡ります。本を並べたり、本を運んだりといった仕事だけではなく、仕入れる本を決めたり、紹介文を書いたり、フェアを開催したり、Webを更新したりしている人もいます。

ただ、人がamazonに代表されるECサイトで本を買うようになった結果、店舗が減っています。書店員が、ただカウンターに座っていれば、本が売れる。そんな時代はとうに終わっています。しかも、書店員の給料は決して高いとは言えません。生活していくのがやっと。そんな書店員の言葉を読んでいると、切なくなります。

しかし、そんな状況にありながらも、本書に登場する書店員たちは、自分たちが扱っている本をより多くの人々に手にとってもらおうと、努力しています。彼らが置かれている環境、そしてその環境で最善を尽くそうとする姿は、まさに「善き」という枕詞がぴったりです。

普通の人の普通の言葉に価値がある

著者の木村俊介さんは、これまで様々な人にインタビューしてきました。著者も語っているとおり、業界で成功や名声を得ている人ではなく、無名の人にインタビューをするという企画は、簡単にとおる企画ではありません。しかし、成功を収めている人ではないからこそ語れる言葉があり、僕自身の立場に近い人達の言葉だからこそ、読んでいて言葉が心にしみてくるような気がします。

普通の人が話す、普通の言葉。
書店の隅に置かれるような書籍かもしれませんが、手に取る価値のある1冊です。

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