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人は寄り道をしながら進む生き物。書評「さよならペンギン」(作:糸井重里、絵:湯村輝彦)

   

ほぼ日刊イトイ新聞を何気なく見ていたら、「ほぼ日ストア」に売られていた1冊の絵本が目にとまりました。糸井重里さんが文章を書き、”テリー・ジョンソン”というペンネームでも知られる湯村輝彦さんが絵を描いて、1976年に発刊された絵本「さよならペンギン (ほぼ日ブックス)」です。

場面は頻繁に転換するが、不思議と一貫性があるストーリー

ストーリーは、海水パンツが欲しいペンギンが、なぜか飛行機の中、海、砂漠、ジャングル、野球場(!)など、世界中を旅するというもの。旅する場所に関連性が全くないので、次のページをめくったとき、いきなり海から砂漠に移動してたりします。

場面が頻繁に転換するので、最初読み始めたときはストーリーに一貫性がなさそうなのですが、読み終わると「目的にたどり着くまでの旅を描いた」ストーリーになっていて、実は一貫性があるストーリーの物語であることに気づかされます。

主人公が不自然なくらい小さい絵の構成

この絵本の一番大きな特徴は、主人公であるペンギンの絵が小さいことです。この本を最初に読んだときに長女は「ペンギンはどこ?」と言ってたくらい、ペンギンが小さく描かれています。

言い換えると、背景や乗り物がとっても大きく描かれています。なお、この本の絵は絵の具で描かれているのですが、背景は基本的にベタ塗りで描かれているのですが、絵の具でベタ塗りした背景によって、背景の色が強調されるため余計に主人公が小さく見えるようになっています。

不思議なストーリーを、不思議な絵の構成と描き方で強調することによって、なんともいえない不思議な世界観で構成された作品になっているのですが、文字も少なく、親しみがもてる絵なので、子供にも楽しめるような絵本に仕上がっているところは、さすがです。

目的にたどり着くまでに寄り道をするのが人間

余談ですが、この本の主人公であるペンギンは、「海水パンツを買いたい」という目的があるにも関わらず、意図せず様々な場所に寄り道をします。このペンギンを見ていると、「とっとと目的地にいけばいいのに」なんて思った後、ふと考えたのですが、この本のペンギンを人間に置き換えてみても、一直線に目的・目標にたどり着く人なんて、ほとんどいないのではないのでしょうか。

目的地が明確に決まっていても、人間も一直線に進むのではなく、時に砂漠に行ったり、海に行ったり、ジャングルに行ったりしながら、たどりつく生き物なんじゃないか。なんてことを、この不思議な世界観の絵本で、作者の2人は伝えたかったんじゃないか、と読み終わって感じました。そう考えると、すごく深いメッセージがこめられた、読み応えのある絵本だなと思います。1歳を過ぎた子供でも、十分楽しめる1冊です。

最後に、ほぼ日手帳にも掲載されている言葉をご紹介します。

どんな道のりを歩んだって、
どこかにはたどりつく。
はじめに急ぐ者も、あとで走る者も、
ずっと歩いて行く者も、
どこかにはたどりつくもんだ。

<セフティ・マッチ氏の金の言葉より>

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