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書評「不動の魂 桜の15番 ラグビーと歩む」(五郎丸 歩)

   

2015年のラグビーワールドカップで3勝を挙げた、ラグビー日本代表。そのラグビー日本代表でバイスキャプテンを務めたのが、フルバックの五郎丸歩です。ゴールコンバージョンの時の独特のルーティーンは、躍進とともに子供にも浸透し、話題になりました。

五郎丸という選手が人気を集めたのは、ルーティーンだけが要因ではなく、端正な顔からにじみ出る、男らしい雰囲気も要因だと思います。五郎丸はどのように育ったのか。どんな生き方をしたから、今の五郎丸が形作られたのか。その事を教えてくれるのが、五郎丸の自伝「不動の魂 桜の15番 ラグビーと歩む」です。

ポーカーフェイスはどのようにして生まれるのか

五郎丸という選手を観ていて、印象に残っているのは、プレー中の表情です。笑みを浮かべる事もなければ、激しく怒ることもない。常にポーカーフェイスなのだ。ポーカーフェイスは、相手に何を考えているのか読み取られづらいという効果があるし、選手の精神状態が安定した状態でコントロール出来ている事を証明しています。

五郎丸は本書の中でこう語っています。

ポーカーフェイスは、大学生の頃に意識するようになった。
笑っていないつもりはないけれど、笑う必要もないと思っている。試合中は、80分を通して、緩んじゃいけない。隙をみせちゃいけないと思っている。

ラグビーは、80分間、痛いこと、激しいことの連続だ。自分を常に張り詰めた状態にしておかないと、少しでも隙を見せたら付け込まれてしまう。

骨折したまま試合に出たこともある。痛い顔をしたら、あいつは今、弱ってるんだなと相手に感づかれる。痛い顔をしないようにしようとしても、普段笑っている選手が急に笑わなくなったとしたら、やっぱり何かあったなと感づかれてしまう。

だから、そうさせないために、普段から表情を変えないようにしている。タックルをした時の当たり所が悪くて右肩がしびれたとしても、試合は止まらない。次のフェイズで次のアタッカーが向かってくる。そんなときに痛い顔はしていられない。表情を変えずに立ち向かう。右肩が痛ければ次は左肩でタックルするだけだ。やせ我慢といえばそれまでだ。だけど、僕は、やせ我慢出来るヤツの方が仲間として信用できる気がするし、そういう自分でありたいと思っている。

1歩1歩歩み続ける

五郎丸は最初から、今の五郎丸だったわけではありません。ただ、本書を読んでいると、五郎丸が仲間の力を借りて、周囲の人の協力を得て、助け合って、地道なトレーニングを積み重ねて、今の五郎丸を築き上げたのだということがよく分かります。

五郎丸の名前は「歩」と書きます。まさに、名前の通り、1歩、1歩、確かめながら確実に歩いてきたからこそ、今の五郎丸があります。揺るがない。急がない。動じない。今の男性からはあまり感じさせない古風な五郎丸の生き方に、人は引きつけられるんじゃないか。そんな事を感じた1冊です。

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