2017年J2第23節 名古屋グランパス対モンテディオ山形 プレビュー「キーマンは田口」

2017年J2第23節、名古屋グランパスの対戦相手はモンテディオ山形です。まず、第22節までのデータを基に、モンテディオ山形のデータから分析した特徴を紹介します。なお、第12節のプレビュー時にモンテディオ山形のデータを分析していたので、当時との比較をしつつし紹介します。

チャンスは作れるようになったけど、ゴールが増えないモンテディオ山形

Football-LABのデータによると、シュート数を攻撃回数で割った「チャンス構築率」は8.0%でリーグ20位。1試合平均の攻撃回数は137.7回でリーグ4位と多いのですがが、1試合平均のシュート数は11.0本でリーグ20位。攻撃回数の割に、シュート数が多いチームとは言えません。

シュート成功率も低く、8.3%でリーグ18位。第12節で対戦した時のデータが、チャンス構築率が7%、シュート成功率が8%。第22節のデータと比較すると、ボールを保持した後シュートチャンスを作り出すプレーは向上しましたが、シュート成功率は変化していないので、以前より「シュートが決まっていない」という印象が強まっているかもしれません。

チャンス構築率が向上している事を示すデータとして、30mライン侵入回数を取り上げたいと思います。第12節の時点では1試合平均35.8回でリーグ12位だったのが、第22節時点では37.4回でリーグ9位。フィールド中央を超えて、ペナルティーエリア付近までボールを運ぶプレーの質が、試合を重ねる事で高まっている事が分かります。ただ、チャンスを作り出すプレーがゴール数の向上につながっていないという事を考えると、シュート成功率が高まるような、フリーの選手を作り出すようなプレーは増えていないともいえます。

守備のデータを分析すると、被シュート数を攻撃を受ける回数を割った「被シュート構築率」は、8.8%でリーグ5位。シュートを打たれない守備が上手いチームだといえます。攻撃回数が多いチームは、ボールを失う回数も多い傾向があるので、攻撃を受ける回数(被攻撃回数)も増える傾向があります。モンテディオ山形の被攻撃回数は、138.5回でリーグ19位と多いのですが、インターセプト数が1試合平均2.8回でリーグ1位、タックル数が23.7回でリーグ2位というデータからも、ボールを奪い返すプレーに長けているチームだといえます。

ただ、失点数を被シュート数で割った「被シュート成功率」は、9.4%でリーグ12位と高くありません。名古屋グランパスが10.0%でリーグ14位ですので、DFとGKのシュートを防ぐプレーの質はそこまで高くないとも考えられます。したがって、名古屋グランパスとしては、モンテディオ山形の守備を上手くかいくぐり、相手ゴール前までボールを運んだ後、いかに成功率の高いシュートチャンスを作り出せるかがポイントになりそうです。

苦境を抜け出す上でのキーマンは田口

名古屋グランパスは第12節時点のデータと比較して、明らかに向上しているのが30mライン侵入回数です。第12節時点では、37.9回でリーグ9位だったのですが、第22節時点では43.3回でリーグ3位。平均して5.4回も向上しています。データからも、名古屋グランパスが相手ゴール前までボールを運ぶプレーの質を向上させている事がよく分かります。

しかし、第12節時点でのデータと比較すると、シュート成功率が下がっています。第12節時点ではシュート成功率が13.4%だったのですが、第22節時点でのシュート成功率は11.0%でリーグ2位。ボールを相手ゴール前まで運び、シュートチャンスを作り出す事は出来ているのですが、得点数が減っている。これが、現在の名古屋グランパスの課題だと思います。ボールを保持することは出来ているのですが、相手の守備を崩し、成功率の高い「本当のチャンス」を作り出す事は出来ていないのです。

今の名古屋グランパスの攻撃を観ていて気になるのは、ペナルティーエリア付近までボールを運んだ後、シュートチャンスを作り出すときのプレーの質が低い事です。「ここしかない」「このポイント」を狙ってパスを正確に届けようというプレーよりは、「大体この辺り」という感じでパスを出しているように見えます。シモビッチ、佐藤、永井といったシュートの上手い選手に対して、いかに彼らが成功する確率が高いシュートをするためのチャンスを作るパスが出せるか。そこが求められています。

今の名古屋グランパスが苦境を抜け出す上でのキーマンは、田口だと思います。田口は第7節から第22節までフル出場を続けています。怪我で出遅れましたが、凄いスピードで「止める」「蹴る」「外す」プレーの質を高め、今の名古屋グランパスは田口のチームといってよいほどです。ただ、田口はまだまだ「相手を崩すためにどんなパスを出せばよいか」「攻撃のスピードを速くするべきか、遅くするべきか」「パスを受けた味方が次にどんなパスをして欲しいか」という、パスに込められたメッセージが、まだ読み取れない時があります。天皇杯3回戦のときの小林裕紀が披露したプレーには、パスにきちんとメッセージが込められていましたが、小林に比べると田口のパスからは、意図が読み取れません。

玉田がいる時は、玉田がプレーでチームがどうすべきか表現してくれていましたが、玉田は負傷欠場で誰も表現する人がいません。今の名古屋グランパスは、向上した技術を活かして最適な判断をすることですが、まだまだ判断にばらつきもあるし、技術レベルが低い選手もいるので、誰かが率先して模範を披露してやる必要があります。川崎フロンターレでその役割を担っていたのは、大久保であり、中村であり、風間監督のサッカーへの理解度が高い谷口でした。

玉田は培ってきた経験と技術で表現してくれましたが、玉田が負傷欠場のチームで真っ先に表現しなければならないのは、田口です。今まで何気なくやっていたことに対して、1つ1つ意図を込め、チームメイトに伝え、プレーや声かけやアクションで表現するという事でもあります。田口の能力があれば、難しいことではないと思います。あとは、本人が自覚してやるだけだと思います。

今の名古屋グランパスの状況は、チャンスでしかないと思います。ゼロというよりマイナスからスタートしたチームが、シーズンを戦いながら少しずつレベルを上げていく中で、相手の対策にはまり、なおかつ現場を引っ張ってきたベテランがいないという中々つらい状況です。ただ、残された選手は必死にこの状況を乗り越えようと努力してますし、この状況を乗り越えたら一段上のレベルに上がれるのではないかと思います。痛みが伴う作業ですが、これはチャンスです。そのチャンスを掴む上で注目してほしいのが、田口なのです。彼のプレーがどう変わるかで、チームの変化が分かると思います。田口のプレーが変わったら、杉森、和泉、宮原といった選手の成長はより加速すると思います。ぜひ、田口のプレーに注目してみてください。

おすすめ