2017年J2第20節 名古屋グランパス対V・ファーレン長崎 プレビュー「パスもドリブルもボール支配率もリーグ21位以下のV・ファーレン長崎はどうやって得点を奪う?」

2017年J2第20節、名古屋グランパスの対戦相手はV・ファーレン長崎です。まず、第19節までのデータを基に、対戦するV・ファーレン長崎のデータから分析した特徴を紹介します。

シュート成功率が高いV・ファーレン長崎

Football-LABのデータによると、シュート数を攻撃回数で割った「チャンス構築率」は9.0%でリーグ14位。1試合平均の攻撃回数が126.9回でリーグ19位、シュート数が11.4回でリーグ17位と、攻撃回数もシュート本数も多くはありません。

しかし、ゴール数をシュート数で割った「シュート成功率」は12.0%でリーグ2位。攻撃回数、シュート数と比較すると、とても効率よく得点を奪っている事が分かります。実は、2016年シーズンのV・ファーレン長崎の「シュート成功率」は、7.5%でリーグ20位。2016年シーズンと比べると大幅に改善されています。

V・ファーレン長崎のデータは、とても興味深い数値が並んでいます。1試合平均のパス本数は334.7本でリーグ21位、ドリブル本数は7.8本でリーグ22位、ボールを相手ゴール前30mライン以内まで運んだ回数は27.5回でリーグ22位、ボール支配率は44,5%でリーグ21位。ボールを運ぶ手段として用いられる「パス」「ドリブル」といった手段を選択している数が極端に少なく、ボールを保持している時間も短い。一見、下位に低迷しているのではないかと思うくらいのデータが並んでいます。

しかし、V・ファーレン長崎の得点数は26点でリーグ4位を記録しています。では、いかに得点を奪っているのか。要因はセットプレーです。26点中実に17点をセットプレー関連のプレーから挙げています。セットプレーのキッカーを務めるのが島田です。島田は既に5アシストを記録しています。1試合平均の直接フリーキックの回数は、13.9回とリーグ5位。ロングパスを活用し、相手陣内でファウルを奪い、セットプレーから得点を奪う。このようなパターンで得点を奪ってきます。

名古屋グランパスにとって心もとないのは、1試合平均のクリア回数が21.9回でリーグ21位。セットプレー関連のプレーから10失点を喫していることからも、決してセットプレーの守備が得意なチームではありません。V・ファーレン長崎のセットプレーに対していかに守るか。そして、V・ファーレン長崎にいかにセットプレーの機会を与えないかが、この試合のポイントです。

名古屋グランパスはいかにロングパスに対応するか

V・ファーレン長崎の守備のデータを分析すると、シュートを打たれた本数を攻撃回数で割った「被チャンス構築率」は10.9%でリーグ19位ですが、ゴールを決められた数をシュートを打たれた「被シュート成功率」は、7.8%でリーグ9位。どちらかというと「シュートは打たれるけれど、決めさせない」チームだということが分かります。

ボール支配率を考えると、この試合は名古屋グランパスがボールを保持し、攻撃する回数が多い試合になることが予想されます。V・ファーレン長崎として、名古屋グランパスにボールは保持されたとしても、ゴール前を守る人数を増やし、シュートを打たせないという守り方をするはずです。最近の名古屋グランパスの試合を振り返ると、相手を押し込む事は出来るものの、ボールを奪われた後の相手のロングパスを活用した攻撃に対して、守備者が下がってしまい、ボールを運びなおさなければならなくなってしまう事がありますし、ロングパスをきちんとクリアできず、相手に陣地を回復され、相手に押し込まれてしまう事があります。V・ファーレン長崎もそのような戦いを仕掛けてくるはずです。

青木のプレーが示すチームの成長

僕がこの試合で注目しているのは、青木のプレーです。第17節のツエーゲン金沢戦から左サイドバックで起用され、その後チームは3連敗。3連敗中の失点は9。この結果だけ見るとスタメンを外されてもおかしくありませんが、むしろ青木はこの3試合で評価を上げたとすらいえます。

青木が左サイドバックに起用された事で、これまで名古屋グランパスが課題をかかえていた、左サイドからの攻撃が著しく改善されました。開幕してから、左サイドからボールを運ぶ選手が固定できず、なかなかペナルティエリアの左右と中央という「三辺を攻略する」事が出来ませんでした。しかし、青木が左サイドに定着したことで、右からも左からも、ボールを運べるようになりました。青木も試合を重ねる事で、「いつ」「どこで」「何を」すべきかといったプレーの選択にミスが減り、持っている技術を発揮出来るようになりました。あのドリブルは、J1の選手と比較しても、リーグ屈指です。お金を払って観るべき価値があるプレーです。

風間監督は、「継続して起用したいけど、プレーの判断にミスが多い選手」は、サイドで起用する事があります。サイドで起用すると、視野が180度になるので、ボールを持った時に自分の背後を気にしなくてよくなり、余裕を持ってプレーすることが出来ます、余裕を持ってプレーする時間を増やし、試合に慣れてきたら、より責任あるポジションで起用する。こうした起用で、川崎フロンターレの小林、大島、谷口といった選手を成長させてきました。名古屋グランパスだと、和泉、杉森といった選手が該当します。青木も少しずつ勝敗の責任を担う選手への道を歩み始めているのです。

シーズンが開幕してから、風間監督は我慢しながら試合経験の少ない選手を起用し、痛い経験も重ねながら、少しずつチームを成長させています。3連敗していますが、チームは着実に前進しています。停滞もしていません。青木、杉森、和泉、宮原といった20代前半の選手たちのプレーが、チームが成長し続けてる事を証明しています。後は手応えを結果につなげるだけです。3連敗中でもありますが、1つきっかけを掴めば、一気にチームの成長が加速する気がします。

この試合をチームの成長が加速するきっかけに出来るか。僕は青木のプレーとあわせて、その点に注目しています。とても楽しみです。

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