第97回天皇杯3回戦 名古屋グランパス対ヴァンラーレ八戸 レビュー「問題に対する解決策は見いだせるのか」

第97回天皇杯3回戦、名古屋グランパスの相手はヴァンラーレ八戸です。

名古屋グランパスはJ2リーグ直近の6試合で1勝5敗。ボールを保持する時間が長くなり、相手陣内にボールを進める事は出来るようになり、平均すると毎試合1得点は奪えるようになりました。しかし、先制点を奪っても、セットプレーやDFとGKの間にロングパスを蹴られて失点という事象が続き、勝ち点3を積み重ねることが出来ていません。

セットプレーで失点しないことや、ロングパスからの失点を防ぐべきではないかと考えがちですが、今の名古屋グランパスの根本的な問題は、実はセットプレーでもロングパスへの対応でもないと思います。僕が考える名古屋グランパスの根本的な問題は2点あります。

相手を自陣に押し込む攻撃が出来ていない

1点目は、相手を自陣に押し込む攻撃が出来ていない事です。名古屋グランパスは、たしかにシーズン序盤と比べたら、ボールを相手陣内に運べるようになりました。しかし、相手陣内にボールを運んでから、時間をかけてじっくり攻撃するというよりは、ちょっとチャンスだと思ったら仕掛けのパスを出してしまいミスを増やしています。確実にシュートチャンスを作り出すように、相手を動かして、相手が空けた場所や相手の背中をとって、ミスなくチャンスを作れるところまで技術のレベルが上がっていません。そして、相手を自陣に押し込みきれていないので、相手にボールを奪われた後、相手に優位な状態でボールを持たれて攻撃を受けてしまうのです。

相手陣内にボールを運ぶスピードが遅い

2点目は、相手陣内にボールを運ぶスピードが遅い事です。名古屋グランパスは、繰り返しますが、シーズン序盤と比べたら、ボールを相手陣内に運べるようになりました。ただ、まだそのスピードは速いとは言えません。気になるのは、パスが止まっている選手の足元に出ている事です。パススピードは上がっていて、ボールを止められる選手が増えているのですが、動きを止めている選手がパスを受けた後、「止める」「ボールを運ぶ」という動作を行い、ボールを前方に送るので、ボールを運ぶスピードが遅れます。パススピードが上がっているので、パススピードだけで相手の守備を外せてはいるのですが、動いている選手の足元に正確にパスを出すようなプレーがないので、ボールを運ぶスピードがどうしても遅く感じられます。

守備の時に動きが止まってしまう

3点目は、守備の時に動きを止めてしまう選手が多いことです。ボールを奪われたら、素早く相手選手に対して距離を詰め、パスコースを消し、ボールを奪い返すことが求められます。しかし、攻撃の時に動き続けることが出来る選手は増えてきましたが、守備の時にも同じように動き続けることが出来る選手は玉田くらいしかいません。ボールを奪われた後も止まらずに動き続けることが出来ないので、ボールを奪われてもすぐに奪い返せず、相手の攻撃を受けてしまうのです。

そして、ボールをすぐに奪い返すためには、選手間の距離を短く保つ必要がありますが、名古屋グランパスは相手を自陣に押し込む攻撃が出来ていないため、選手間の距離が遠く、ボールを奪い返そうとしても距離を詰めるのに時間がかかり、相手にボールを保持されてしまっています。攻撃が機能していない点があるため、守備が上手くいっていないともいえます。

どこで、どうボールを奪うのか分からない

4点目は、相手がボールを保持した時、フィールドのどの場所でどうボールを奪うのかよくわからない事です。相手陣内、センターサークル付近、ゴール前、といった場所毎にどのようにパスコースを消し、どのように相手選手にアプローチし、どう守るのか。チームでどのように動くのか、試合を観ているとよく分からない時があります。相手の攻撃を受けてズルズルと自陣に下がってしまい、シュートを打たれたり、ロングパスを出されてシュートを打たれたり、シュートを防いでもセットプレーで失点する。そんな場面がみられます。

チームとして「いつ」「どこで」「何を」「どうするのか」が整理出来ていない

まとめると、まだまだ名古屋グランパスはチームとして「いつ」「どこで」「何を」「どうするのか」が整理出来ていないということです。玉田がいる時は、玉田がプレーで表現してくれていましたが、玉田がいなければ同じ事が出来る選手はいません。玉田が負傷欠場してから、チームは1勝4敗。ツエーゲン金沢戦も万全の状態でなかったので、玉田がいかにチームの足りない点を補っていたのか、よく分かります。

この試合で期待しているのは、こうした名古屋グランパスが抱える問題に対して、チームがどう解決しようとしているのか。そして、問題を解決する解決策をもった選手が現れるのかということです。こういう試合だからこそ、チームがどんな取組を実践しているのか、何を考えているのか分かるものです。とても楽しみです。

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