2017年J2第22節 名古屋グランパス対徳島ヴォルティス プレビュー「後半勝負に持ち込めるかどうか」

2017年J2第22節、名古屋グランパスの対戦相手は徳島ヴォルティスです。まず、第21節までのデータを基に、徳島ヴォルティスのデータから分析した特徴を紹介します。

ボールを相手陣内に運ぶのが上手い徳島ヴォルティス

Football-LABのデータによると、シュート数を攻撃回数で割った「チャンス構築率」は12.2%でリーグ3位。1試合平均の攻撃回数は131.9回でリーグ13位と多くはありませんが、1回の攻撃からシュートチャンスを作り出すのが上手いチームだといえます。1試合平均のシュート数も16.0本でリーグ4位です。

ただ、チャンス構築率が12.2%と10%を超えている割に、ゴール数をシュート数で割ったシュート成功率は9.8%でリーグ10位と、そこまで高くありません。1試合平均の枠内シュート数は5.2本でリーグ3位、3本に1本のシュートが枠内に放たれているので、精度は低くないと思われますが、GKが対応出来る範囲にシュートが飛んでいる可能性も考えられます。もっと余裕をもってGKがいない場所に蹴れるシュートチャンスを作り出すことや、作り出すシュートチャンスを確実に決める技術が求められているといえるかもしれません。FWの渡が14得点を挙げていますが、チャンス構築率を考えると、他の選手がもっと得点を挙げてもよいチームだと思います。

徳島ヴォルティスは、1試合平均のパス数が471.0本でリーグ7位と、そこまで数多くパスをつないでボールを相手陣内に運ぶチームではありません。しかし、30mラインの侵入回数が43.1回でリーグ4位、ボール支配率も55.1%でリーグ4位と、ボールを保持したら奪われず、高い確率で相手陣内に運ぶプレーが出来るチームです。コーナーキックの数が1試合平均5.5本でリーグ3位というのも、徳島ヴォルティスが相手陣内にボールを運ぶプレーが上手いチームであるということを証明しています。

パスをあまり活用しないチームが、相手陣内にボールを運ぶ手段として活用しているのがドリブルです。徳島ヴォルティスの1試合平均のドリブル本数は15.9本で名古屋グランパスの13.9本(リーグ5位)より多い数字を記録しています。前回対戦した時のように、中央のDFとMFの岩尾で数的優位を作りながらパスを交換し、中央で杉本や島屋や前川といった選手が上手くボールを受けながら、サイドでドリブルを活用してボールを運び、最後にDFの背後を狙ったり、MFとDFの間でパスを受けて、シュートチャンスを狙う。そんなプレーを狙っているはずです。

相手のパスを読んでボールを奪うのが上手い

徳島ヴォルティスの守備のデータを分析すると、被シュート数を被攻撃回数で割った「被チャンス構築率」は9.5%でリーグ10位。被攻撃回数が134.9位でリーグ15位とボール支配率が高い割には攻撃を受ける回数が多い気もしますが、シュート本数を12本まで減らせているというのは、相手に奪われたボールを取り返すのが速かったり、相手にシュートを打たせる前にボールを奪い返すのが上手いチームだと考えられます。実際、前回対戦した時もボールを奪われた後のリアクションがとても速く、名古屋グランパスが上手くボールを運べない場面がありました。1試合平均のインターセプトの回数が、2.6回でリーグ3位というデータは、相手のパスを読んでボールを奪うのが上手いという事を示しています。

また、ゴールを奪われた数を被シュート数で割った「被シュート成功率」は、7.4%でリーグ5位。シュートを打たれるものの、相手に成功率の低いシュートを打たせる守備がきちんと出来ている事を示しています。徳島ヴォルティスのデータを読み解いていくと、個人のデータが突出していることによって、どれかのデータがよい数字を示しているということではなく、チームとして「どう戦うのか」が明確で、チームとして実行するためのメソッドがきちんと選手に浸透し、選手が実行できているからこそ、よい数字を示しているのだということが分かります。非常によいチームであり、名古屋グランパスにとっては前節の湘南ベルマーレ以上に厄介な相手です。

きちんと守って後半勝負

名古屋グランパスは、1試合平均のボール支配率が55.8%、30mライン侵入回数が43.3回で共にリーグ3位。徳島ヴォルティスより良い数字ですが、その差はわずかです。つまり、この試合はどちらかがボールを持って優位に試合を進めるというよりは、どちらにもチャンスがある五分五分の展開で試合が進むはずです。そう考えると、ポイントになってくるのは「守備」と「いかに得点を奪いにいくのか」の2点です。

1点目の「守備」についてですが、この試合は杉森が負傷で離脱したため、永井と深堀のスタメンが予想されています。八反田が起用される可能性もあると言われていますが、この2人に求められているのは、90分間継続してよいプレーをするというよりは、相手がボールを持った時に素早く距離を詰め、パスコースを消し、相手にボールを運ばせないプレーです。

徳島ヴォルティスがボールを相手陣内に運ぶプレーが上手いので、まずは相手の得意なプレーを止めなければなりません。風間監督は口では「相手の対策はしない」と語りますが、実は選手のチョイスやトレーニングメニューを調整することで、相手の特徴を消すためにいかにプレーするかを、普段のトレーニングを通じて刷り込ませている監督です。このあたりは巧みです。

2点目の「いかに得点を奪いにいくのか」ですが、永井と深堀は守備者の背後でボールを受けるのが上手い選手なので、ボールを奪ったら守備者の背後を狙ってボールを受ける動きを繰り返すはずです。背後を狙う動きに対応するのは、守備者としては体力を消耗します。体力を消耗したところで、シモビッチや佐藤や杉本といった、ボールを守備者の間で受けたり、空いている場所を活用してボールを運ぶのが上手い選手を途中から出場させて、得点を奪おうという考えがあるのだと思います。理想のゲームプランとしては、前半0-0で進み、後半に相手が疲れてきたところで、シモビッチや佐藤や杉本を入れて、得点を奪って勝つ。そんな試合になるのが理想です。

風間監督が後半にカードを残しておくのは、相手の徳島ヴォルティスの力を認めているからだともいえます。1勝4敗で迎える相手としては、とても嫌な相手です。ただ、この試合に勝ったら、勝ち始めるんじゃないか。そんな気もしています。この試合を勝てるか勝てないかで、今後のシーズンは大きく変わってくると思います。とても重要な試合です。どんな試合になるのか、楽しみです。

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