2017年J2第27節 名古屋グランパス対松本山雅FC プレビュー「戦略を貫くために必要なこと」

2017年J2第27節、名古屋グランパスの対戦相手は松本山雅FCです。まず、第26節までのデータを基に、松本山雅FCのデータから分析した特徴を紹介します。

セットプレーからの得点が62%を占める松本山雅FC

Football-LABのデータによると、シュート数を攻撃回数で割った「チャンス構築率」は10.1%でリーグ8位。1試合平均の攻撃回数は131.8回でリーグ8位、1試合平均のシュート数は13.3本でリーグ8位。チャンス構築率については、言及すべき点はありませんが、注目したいのはシュート成功率と内訳です。

シュート成功率は10.7%でリーグ4位。チャンス構築率よりシュート成功率の方が絶対値として高く、リーグ内の順位も上がります。シュート成功率が高い要因は、セットプレーからの得点が多いことです。松本山雅FCは総得点の62%をセットプレー関連のプレーから挙げています。反町監督は毎回工夫を凝らして、多彩なパターンを披露してきます。1試合平均の直接フリーキックの数は13.8本でリーグ6位、1試合平均のコーナーキックの数は4.5本でリーグ7位とそれほど本数は多くありませんが、数少ないセットプレーを確実に活かしてくるチームです。

名古屋グランパスは、セットプレー関連のプレーからの失点が総失点の33%、クロスからの失点が18%を占めています。共に松本山雅FCの得意とする攻撃です。いかに松本山雅FCの得意とする攻撃を出させず、ボールを保持して試合をコントロール出来るかがポイントです。

松本山雅FCは現時点でJ2最小失点の21失点と、守備の堅いチームです。シュートを打たれた数を攻撃された数で割った「被チャンス構築率」は10.1%でリーグ10位と、決してシュートを打たせない守備が出来ているチームではありません。ボール支配率も46.4%でリーグ14位なので、ボールを相手より保持できているわけでもありません。しかし、「シュート被成功率」は5.3%でリーグ1位。これは成功率の高い、相手にとって優位な状況で打たれるシュートチャンスを作り出させていないという事がわかります。一方で名古屋グランパスのシュート成功率は、12.3%でリーグ1位。したがってこの試合は、シュート成功率が最も高いチームと、被シュート成功率が最も低いチームの対決だといえます。

議論が活発になることで、理解が深まる

名古屋グランパスは前節は7-4で勝利。7得点挙げた事にフォーカスするのか、4失点したことにフォーカスするのかによって、評価の別れる試合だったと思います。ただ、評価が別れる試合であったこと、話題にしやすい試合であったことで、Twitterのタイムラインには様々な意見が投稿されていたようです。

僕は、あの試合によって様々な意見が出たこと自体が良いことだと思います。チームがどのような意図で戦ったのか、どうすればよかったのか。答えはありませんので、様々な立場の人が意見を述べる機会が増えていけば、チームの戦い方への理解も深まり、結果的に支持してくれる人も増えていくと、僕は考えています。

戦略を理解してもらうには、何かに特化しなければならない

議論が活発になったのは、名古屋グランパスが掲げる戦略が明確だからです。ボールを保持し、相手より得点を奪って勝つ。この戦略を追求して戦っているため、戦略の良い点、悪い点が理解しやすいのです。もちろん、悪い部分が理解しやすいというということは、ツッコミどころも多いという事でもあります。守備について指摘をされている方は、言い換えると名古屋グランパスの戦略を理解している方だともいえます。

こうした誰にでも理解できる戦略を貫くのは、とても大変です。現代のサッカーは対戦相手の研究が進み、同じ戦術は3試合も使えません。対戦相手の特徴を踏まえて、微調整し続けなければ、1シーズンを戦うなんて出来ません。当然、対戦相手は名古屋グランパスのセットプレーやクロスからの失点が多いことなんて分かってます。対戦相手は弱点をつくための戦術を考えて試合に臨んできます。

風間監督が凄いのは、戦略を変えずに戦術を変えている事です。ボールを保持し、相手より得点を奪って勝つ。これは、戦略です。目の前の試合に勝つために、対戦相手を想定してゲームにアジャストする方法。これは、戦術です。風間監督は戦略を変えずに、戦術は毎試合変えてます。フォーメーションを変えたり、選手の配置を変えてますが、それは戦略を実現させるためです。そして、戦略が明確だと「チームのスタイルが明確」だと言われるのです。

戦略を明確にするには、やるべき事を絞らなければなりません。攻撃、守備、セットプレーなど、どれかに特化して取り組まなければスタイルを形作る事は出来ません。だいたい、サポーターが攻撃が良いから守備を改善しようという意見を真に受けて守備の改善に取組始めたら、攻撃も出来なくなって、自分たちが掲げていた戦略も失われるというパターンに陥る事が多いと感じます。どこに特化するのか、割り切れるのがプロの監督です。

名古屋グランパス対松本山雅FCの対戦は、戦略が明確なチーム同士の対戦なので、見ごたえのある試合になると思います。どんな試合になるのか楽しみです。

おすすめ