現場主義がもたらしたロングセラー。書評「グレイトフルデッドにマーケティングを学ぶ」

2014/12/23

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

まさか、アメリカのバンドの中でも、特にアナログなバンドの一つである「グレイトフルデッド」に、21世紀のビジネスモデルを学ぶことになるとは。著書に興味を持った人の多くが、そんな疑問を持って、この本を手にとったと思います。

実は、僕はグレイトフルデッドというバンドについて、1つ疑問だったことがあります。

それは、ローリングストーンズ、ブルース・スプリングスティーン、レディ・ガガといった、大ヒット曲がたくさんあるアーティストなら分かるのですが、グレイトフルデッドは違います。そんなバンドが、ずっとアメリカのライブ興行成績の上位にランクインしていました。それがとても不思議でしたが、本書を読んで、その理由がよくわかりました。

コンテンツを無料で提供し、顧客を獲得する

グレイトフルデッドが、画期的だったこと。それはミュージシャンにとってのコンテンツである、音楽を無料で提供したことです。無料で提供することのメリットは「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」という書籍に詳しく書かれているので割愛しますが、グレイトフルデッドでコンテンツを無料で提供したことで、新たな顧客を獲得することができました。逆に、音楽を無料で提供したことが、グレイトフルデッドの収益を支えていたのです。

実施施策

ライブは録音OK。ライブを録音する”テーパー”専門の席が用意されている。

効果

録音したテープがファンの間で口コミで広まり、ライブを訪れるきっかけになった。

「モノ」ではなく、「体験」を売る

グレイトフルデッドは、レコードやCDを売るのではなく、ライブで音楽を演奏する活動に注力していました。ライブを訪れるグレイトフルデッドのファンは、グレイトフルデッドの音楽だけでなく、ライブ会場の雰囲気やグッズやファン同士の交流を楽しんでいました。その事が、グレイトフルデッドのライブを特別なものにしていました。つまり、グレイトフルデッドは「モノ」ではなく「体験」をファンに売っていたのです。

実施施策

コアファンのためのチケット先行販売やファンのための会報誌の発行を実施

効果

バンドへの信頼・信用が高まり、バンドを特別視するファンが増えた。

「ベストセラー」より「ロングセラー」

音楽がもたらす「体験」を楽しむファンにとって、グレイトフルデッドの音楽は人生の一部になっているといえます。したがって、グレイトフルデッドというバンドの音楽をより楽しむために、高品質のライブ音源や特典つきのBox CDなどにお金を費やしてくれます。このような、長くバンドをサポートしてくれるファンを獲得したことで、グレイトフルデッドは「ベストセラー」となるような曲は産み出せなかったかもしれませんが、「ロングセラー」することができる、息の長い活動ができるバンドへと成長を遂げました。

実施施策

高音質のライブ音源や特典付きのCDを販売

効果

コアなファンが付加価値を認め対価を払うことで、収益を得ることができる。

成果が出るまで続ける

ここで取り上げたようなことは、マーケティングの本では基本的なこととして扱われ、様々な書籍にまとめられてきました。しかし、一番大切なのは、「実践すること」です。グレイトフルデッドは、誰でも気づくような手法しか実施していないかもしれませんが、きちんと成果が出るまで、愚直に施策を続けました。「成果が出るまで続ける」普遍的ですが、最も難しいことを、作者はこの書籍を通じて、我々に伝えたかったのでは、ないのでしょうか。

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