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書評「グアルディオラ総論」

   

2013-14シーズンから3シーズンに渡ってFCバイエルン・ミュンヘンの監督を務めたペップ・グアルディオラですが、彼は個別のインタビューに応じないため、彼の考えは記者会見での発言や、サッカーのフィールドで表現されるサッカーから判断するしかありませんでした。しかし、グアルディオラは1人のジャーナリストのみ密着を許していました。「好きに書いてよい」という一言のもと、2013-14シーズンの戦い方を時系列でまとめたのが「ペップ・グアルディオラ キミにすべてを語ろう」でした。

そして、2015-16シーズンでFCバイエルン・ミュンヘンでの挑戦が終わった後、グアルディオラの挑戦を追い続けたジャーナリストは続編を用意してくれていました。

本書「グアルディオラ総論」は、FCバイエルン・ミュンヘンでの3年間のグアルディオラの挑戦をテーマ別にまとめ、いかにグアルディオラがチームを作ったのか、グアルディオラが何を考えていたのか、悩み、苦しみ、喜びなど、いままで伝わってこなかったグアルディオラの姿を詳しくまとめた1冊です。

グアルディオラのサッカーはなぜ人を魅了するのか

グアルディオラは、2008年にFCバルセロナの監督に就任してからの4年間、そして、FCバイエルン・ミュンヘンで監督をつとめた3年間、今まで観たことなかったような新しいサッカーを披露し、サッカーファンを魅了し続けてきました。

グアルディオラが披露したサッカーは、2つの点でサッカーファンを魅了しました。1つ目は「ボールを動かし、相手の守備を崩す攻撃」です。ボールをいかにして保持し、自分たちの攻撃回数を増やし、攻撃する時間を増やし、相手の攻撃回数を減らした上で、相手の守備の意図の逆をとり、人だけでなくボールを素早く動かし、選手の力を最大限に引き出すサッカーは、観戦者の期待をよい意味で裏切る驚きがありました。

2つ目は、「常識や慣習にとらわれない選手起用」です。グアルディオラは「フォーメーションは電話番号みたいなもの」と語っているように、フォーメーション自体に意味はないと考える監督です。ただ、相手の攻撃を防ぐためにサイドバックをボランチの位置に移動させたり、DFがいないスタメンを選んでみたり、4-1-2-3、4-4-2、3-4-3、2-3-5といった複数のフォーメーションを場面ごとに使い分け、相手の攻撃や守備に対応する戦い方は、せいぜい攻撃時にサイドバックがFWの位置に上がるくらいだった従来のサッカーと比較すると大きな変化をもたらしました。

ボールゲームの真理を探求する男

本書を読んでいて感じたのは、グアルディオラという人は「ボールゲームで勝利するためにはどうしたらよいか」ということを、四六時中考えている人だということです。水球の金メダリストをスタッフに起用したり、チェスの名手のガルリ・カスパロフにヒントを求めたり、NBAのサンアントニオ・スパーズのグレッグ・ポポビッチの戦い方を研究したりと、他の競技からも貪欲に進化へのヒントを得ようとしています。グアルディオラが進化にこだわるには、サッカーという競技の真理をもっと深く知りたいということもありますが、誰よりも勝ちたいという意欲が強いことの現れでもあります。FCバルセロナやFCバイエルン・ミュンヘンのサッカーは、美しさだけを追求した結果生まれたサッカーではありません。勝つ確率を高めることを追求した結果、あのようなサッカーが生まれたのです。

本書にはグアルディオラがどのようなコンセプトでチームを作り、日々どのようにチームをマネジメントし、どうサッカーを進化させていこうとしているのか詳しく書かれています。グアルディオラの挑戦は、本書に書かれている段階で終わっているわけではありません。2016-17シーズンからマンチェスター・シティで新たな挑戦を始めています。監督就任後初めてタイトル無しでシーズンを終えたグアルディオラが、このままでいるとは思いません。サッカーが好きな人は絶対に読んでほしい1冊です。

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