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未来を考えるために歴史を学ぶ。書評「あの戦争と日本人」(半藤一利)

   

日本の歴史教育では明治維新以降の歴史は、あまり詳しく教えていないという言葉を、聞いたことがあります。僕が明治維新以降の歴史に興味をもったのは、大河ドラマ「八重の桜」を観たのがきっかけでした。戊辰戦争で薩長と戦って負けた会津藩から描いた歴史観は、僕にとって新鮮でした。そして、新島八重という人が、戊辰戦争で銃を撃っていた人が、英語を勉強し、大学を作り、看護師になる。価値観が急激に変わる激動の時代に、人々はどう生きたのか。僕は歴史を学ぶべきだと感じました。

僕のような人間が、歴史を学ぶには何を参考にしたらよいのか。そんな時にテレビで観たのが、宮﨑駿さんと半藤一利の対談でした。正直、特に面白い対談だったというわけではありませんでしたが、半藤一利さんの人としての雰囲気には、凄く好感を持ち、著書を読んでみようと思いました。そして、手にしたのが、本書「あの戦争と日本人」です。

読みやすい歴史の教科書

本書は、明治維新、日露戦争、統帥権、戦艦大和、特攻隊、原子爆弾、昭和天皇といったテーマを題材に、当時の日本人はどう考えていたのかを、半藤さんが解説した1冊です。

本書は、半藤さんの語り下ろしで書かれています。歴史書を読むのを敬遠する理由としては、手に取りづらいという以外に、読みづらいという理由も挙げられると思います。読みづらいから頭に入ってこないので、読むのが苦痛になって、益々歴史が嫌いになってしまうのです。

ところが、本書はそんなことはありません。語り口調なので、読んでいると、ものしりなおじさんが隣で色々教えてくれているような、そんな感覚を覚えます。そして、知らないうちに、僕が学校で教えられてこなかった奥深い歴史の世界に、引きこまれていきます。

なぜ、日本は太平洋戦争へと突き進んだのか。

なぜ、日本人は太平洋戦争へと突き進んだのか。半藤さんは、その要因を日露戦争にあると語ります。

日露戦争は戦争で多くの戦死者を出し、国民に多大な負担を強いたにもかかわらず、賠償金も得られず、大きな成果を得ることは出来ませんでした。しかし、日本国内向けには、日本の勝利ばかりが伝えられ、まるで戦争に勝ったかのような雰囲気が作られました。戦勝国になった(と信じた)日本国民は、大きな成果を得られなかった日露戦争以降、日頃の生活の不満を、政府や他国へとぶつけます。

そして日露戦争以降、明治維新を成し遂げた政治家が去り、欧米の力を身を持って体験した世代がいなくなりました。例えば、長州藩出身の政治家は、イギリスの軍艦に長州の港の砲台を破壊される経験をしています。この世代は「富国強兵」を掲げながらも、日本という国と欧米との差を肌で実感しているため、「これ以上は超えてはいけない」という線があったのかもしれません。しかし、明治維新以降に生まれた政治家にとって、日本は戦争すれば連戦連勝。アジアには敵なし。欧米に肩を並べる強い国。そう思っても不思議ではありません。

日頃の生活への不満を持った国民と、日本が強いと信じた政治家。この2つが掛け合わされ、日本は太平洋戦争へと突き進みます。
日頃の生活への不満を持った国民と、日本が強いと信じた政治家。あえて、繰り返しましたが、最近どこかで聞いた話のようにも思えます。

未来を考えるために歴史を学ぶ

高城剛さんは、「歴史は未来を考えるために学ぶ」と語っていました。
未来を考えるために、歴史を学ぶ。そのための手引として、半藤さんの本は最適です。
未来を考えるための教科書として、本書を読んでみてはいかがでしょうか。

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