ドーハの悲劇は、本当に悲劇だったのか??ハンス・オフトの「チーム作りのメソッド」を検証する

2014/12/23

ハンス・オフト

1月9日(月)BS1で「ドーハは悲劇ではなかった-日本サッカー あの日からの18年-」という番組が放送されていました。この番組は元サッカー日本代表監督ハンス・オフト(以下オフト)が監督業を今年限りで引退することになったので、改めて「”ドーハの悲劇”とは日本サッカーにとってどのような意味があったのか」を検証する番組でした。

オフトは日本代表監督に就任し、なぜ劇的に日本サッカーのレベルを改善することができたのか。それは、オフトが明確な「チーム作りのメソッド」を持っていた監督だったからです。そこで、改めてオフトの「チーム作りのメソッド」とは何か?をまとめてみました。

ハンス・オフトが取り入れた「チーム作りのメソッド」

1.目標を明確に設定する

オフトという人は、そのチームにとって最適な目標を設定するのが、とても上手い監督です。日本代表を率いたときは「ワールドカップ出場」が目標として掲げられました。就任当時は夢物語のように思えた目標ですが、目標達成まであと一歩のところまで、チームは成長しました。

ジュビロでは「3年後にトップ3になるチームに」という目標が掲げられました。3年後目標には届かなかったことで(年間4位)解任されましたが、翌年ジュビロはタイトルを獲得。黄金期の基盤となるチームを作り上げました。

浦和レッズでは、「3年後にリーグ制覇」という目標を元にチームを構築。就任2年後にはナビスコカップを制覇し、チームに初めてのタイトルをもたらしました。

なお、上記事実からオフトという監督は、目標を設定するだけでなく、その目標に向かってチームのレベルを向上させるメソッドを持っていた監督だったといえます。

2.11人でサッカーを機能的にプレーするための戦術を浸透させた

オフトは、チームで機能的なサッカーをプレーするために必要な戦術を選手に浸透させていくことに、長けた監督でした。オフトは戦術をシンプルなキーワードに置き換えることで、選手に戦術の理解度を高める工夫をしていました。オフトが戦術を浸透させるために使用していたキーワードは以下の5点です。

  • スリーライン:FW,MF,DFの3つのポジションを1直線で引いたラインのこと。
  • スモールフィールド:スリーラインで示した3つのラインの距離を短く保つこと。短く保つことにり、攻守に効果的な動きができるようになる。
  • アイコンタクト:選手同士お互いに目で合図をして、お互いの意図を把握した上でプレーすること。
  • トライアングル:選手同士のポジションを三角形を描くように位置すること。トライアングルを維持することで角度がつくため、パスを通しやすくなる。
  • コーチング:自身の意図や相手への指示をアイコンタクトだけではなく、声で伝えること。

5つのキーワードはサッカーをやる上では”基本中の基本”ですが、近年FCバルセロナが実践している魅力的なサッカーは、すべて上記5つのキーワードで説明できる戦術を実践することで、成り立っています。そう考えると、改めてオフトが徹底した戦術と用いたキーワードの重要性を考えさせられます。

3.過去の実績にとらわれず、自分の目にかなった選手を起用する

オフトは、過去の実績にとらわれず、選手を自分の目にかなった選手を起用してきました。オフトに起用されてその後一流選手になった選手はたくさんいます。

日本代表時代には、森保一、高木琢也、中山雅史など。ジュビロ時代には鈴木秀人や山西尊裕など。レッズ時代は長谷部誠、鈴木啓太、坪井慶介など、オフトに見出されてキャリアを築いていった選手が多く存在します。

実績はないが将来性が高く実力のある選手の能力を正しく評価し、粘り強く起用していくことで、チーム力を高めていく手法に秀でた監督でした。

「チーム作り」は上手いが、「勝負弱い」監督

ただし、オフトという監督は「チーム作り」に優れた手腕を発揮しながらも、あと一歩で目標を達成出来なかった監督とも言えます。

日本代表時代には、ワールドカップ出場することはできませんでした。ジュビロ時代はTOP3に到達することはできませんしたし、レッズ時代もリーグ制覇は成し遂げることができませんでした。”勝負弱い”と揶揄されることもありましたが、その手腕はもっと高く評価されるべきではないでしょうか。

オフトは、自身の健康上の問題から監督業を引退することになりましたが、番組内で「現在の日本代表とオフトジャパンの関連性はあるのか」というテーマで、現在の日本代表のキーマンである遠藤保仁との対談が行われていたのですが、自身の遠藤に対する評価をホワイトボードを交えて解説している姿を観ていると、サッカーに対する情熱は薄れていないようです。

現場に復帰することは難しいでしょうが、オフトがもっている経験や知識を活かして、何らかの形でサッカーに関わり続けて欲しいと思います。

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