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ファミリービジネスの教科書。書評「星野佳路と考えるファミリービジネスマネジメント 1 継ぐべきか、継がざるべきか」(中沢 康彦)

   

日本の法人企業約250万社のうち、なんと97%は同族会社なのだそうです。また、日本経済大学の後藤俊夫教授が実施した静岡県でのサンプル調査によると、創業者一族の複数が出資者か役員に名を連ねる企業が、全企業数の96.9%を占めるのだそうです。

つまり、ファミリービジネスが日本の企業数の大半を占めるのだ。こうした考えからも、日本経済は、新聞やテレビを賑わす大企業や上場企業だけで成り立っているのではなく、ファミリービジネスが大きな役割を果たしていることが分かります。

しかし、ファミリービジネスがこれほどまでに重要であるにもかかわらず、これまでの経営学は「非ファミリービジネス」についての研究や理論が中心で、ファミリービジネスについてはあまり取り上げられてこなかったといいます。ファミリービジネスの場合には、「世代間のマネジメント」「ファミリーメンバーのマネジメント」「後継者の育て方」「継ぐべきか継がざるべきかの決定」のように、非ファミリービジネスにとっては無縁な課題があります。

ファミリービジネスの経営手法とは、どうあるべきか。その第一歩として「継ぐべきか、継がざるべきか」をテーマに、星野リゾートの星野佳路社長が様々なケーススタディーを紹介しているのが、本書「星野佳路と考えるファミリービジネスマネジメント 1 継ぐべきか、継がざるべきか」です。

事業継承の3つのケース

本書によると、ファミリーの事業継承には3つのケースがあるそうです。

事業を継ぐ事を当然と捉えるケース
学校卒業を景気に継ぐ意志を明確にするケース
「継がない」から「継ぐ」に転じるケース

本書では、この3つのケース別に、ケーススタディーを紹介しています。

後継者として認めてもらうためには

本書で印象に残ったのは、どのケースでも「自分を後継者として認めてもらう」ことに、苦労しているということです。後継者として入社した場合、他の従業員からは、良くも悪くも後継者として、経営者の子どもとして好奇の視線が注がれます。その視線に打ち勝って、後継者だと認めてもらうにはどうするべきか。皆様試行錯誤されていました。

全員が共通して語っていたのは、小さくてもよいから「成果を出すこと」の重要性です。やはり、後継者として認めてもらうには、従業員に「後を継いだら、会社が良い方向に向かいそうだ」と思ってもらうことが重要です。そのためには、小さくてもよいから、成果を残す必要があるのです。

本書で、ホッピーの石渡社長は、オンラインショップを立ちあげ、会社への貢献度が少しづつ上がっていったことが、周囲に認めてもらうきっかけになったと語っています。また、みやじ豚の宮治社長は、自分が企画したバーベキューパーティーで、みやじ豚を買ってくれる人の声を聞く機会を作ったことで、創業者にはない視点で事業を発展出来る可能性を、認めてもらうことが出来ました。

仕事を進める上で、成果を求めすぎるのはいいことではありませんが、小さな成果の積み重ねが、大きな成果へとつながるのだと、本書を読んで改めて感じました。

ファミリービジネスの教科書

ただ、僕自身はサラリーマンの息子なので、ファミリービジネスに縁がないので、本書に書かれている内容を読んでも、ピンとこない点もありました。ただ、ファミリービジネスの経営手法についてまとめられた書籍が少ない点を考えると、本書は非常に貴重な書籍だと思います。ファミリービジネスの後継者や、事業継承に悩んでいる人は、読んで損はない1冊です。

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