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書評「誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち 」

   

最近、Spotifyプレミアムに契約しました。Spotifyプレミアムに契約したきっかけは、TOKYO FMで毎週日曜日午後2時から放送されている、山下達郎のサンデーソングブックでWilliam Bellの「Three of Me」という曲を聴いたのがきっかけでした。

「ある日夢をみた。そこには、かつての自分と、今の自分と、そして、自分がなりたかった自分がいた」という歌詞から始まるこの曲は、歌詞だけでなく、シンプルな演奏、そして何より70歳を超えたWilliam Bellの歌が堂々としている1曲です。第59回グラミー賞で「最優秀アメリカーナ・アルバム」を授賞し、77歳にして初のグラミー賞を受賞するきっかけとなった作品です。久々にこの作品を購入しようと思った時、ふとこう思ったのです。1,000円払ってアルバム買うなら、ストリーミングサービスと契約して、他のアルバムも聴けた方がお得だなと。そして、Apple MusicとSpotifyを比較して、ダウンロードしてオフラインでも音楽が聴けるSpotifyと有料契約することにしました。

様々な人が異口同音に、音楽は売れなくなったと語ります。CDが売れなくなり、ダウンロード販売が取って代わるかと思いきや、単価が下がったことだけでなく、ダウンロード販売が主流になった事によって、音楽を買うという人が減りました。僕もCDの頃に比べたら、買う量は減りました。代わってライブで儲けようということで、ライブ活動を積極的に行うミュージシャンは増え、毎年夏に開催される音楽フェスティバルは盛り上がっています。ただ、音楽に一攫千金を求めてミュージシャンを目指して楽器を買うような人は少なくなった気がします。実際、一攫千金を目指す人は、今はギターを持つよりプログラムを書いているんじゃないのでしょうか。

今の音楽を取り巻く環境のきっかけを作ったのは、Napsterというファイル共有ソフトが原因だと言われてきました。音楽のファイル(mp3)をただで共有するこのソフトによって、音楽はお金を払わなくても聴けるようになったと言われています。ただ、この仮説はよく考えていくと疑問が浮かんできます。Napsterが出来るまで人々は音楽ファイルは共有してなかったのか。そんな事はありません。Napsterが話題になる前より早く、音楽ファイルの共有はインターネットで行われていました。

では、音楽が共有されるきっかけは誰が作ったのか。今の音楽を取り巻く環境を作ったのは誰か。本書「誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち 」では、今まで取り上げられてこなかった3人の人物に焦点をあてて、音楽がファイルで共有されるようになったきっかけを丁寧に紐解いていった作品です。

音楽を取り巻く環境を変えた3人の男たち

本書は3人の人物に焦点を当てています。1人は音楽ファイルとして使用されたファイル規格「mp3」を作った技術者、1人は当時数多くのヒット曲を世に送り出した敏腕エグゼクティブ、そしてもう1人は、CD工場に勤務して数多くのヒット曲を世の中に流出させていった作業員。バックグラウンドが全くことなる3人の人生を追いかけながら、音楽ビジネスの変化について紐解いており、読んでいるうちに引き込まれていきます。

面白いのは、3人とも今の音楽を取り巻く環境を作ろうとしていたわけではなかったということです。技術者は自分の技術を認めてもらいたいという一心で、エグゼクティブはヒット曲を作って金儲けをしたい一心で、そして作業員は新曲を人より早く自分の手で世に送り出したいという一心で、自分の目の前の事に取り組んだ結果、今の状況になった。それだけなのです。

物事が変わる時、よく誰か1人の力で変わったかのような事を言われます。しかし、本当に何かが変わる時は、小さなことが積み重なって大きな山が出来あがった結果、何かが変わるのかもしれません。この3人がいなかったら、Spotifyは誕生していないでしょう。Chance The Rapperというミュージシャンは世に出ていなかったでしょう。そして、アナログレコードが再び注目を集めることはなかったかもしれません。

音楽を取り巻く環境の変化を知るにはとてもよい1冊です。

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