「攻撃の不調の要因になっている大久保嘉人の強い思い」ACLグループリーグ蔚山現代対川崎フロンターレ レビュー

2014/07/22

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ACL予選リーグ第2戦、川崎フロンターレの対戦相手は、韓国の蔚山現代です。昨年のKリーグの順位は2位。韓国代表FWで長身のキム・シンウクを始め、鹿島アントラーズに在籍していた増田誓志や、ガンバ大阪に在籍していたラフィーニャも所属しています。

システムとメンバー変更からみえる3つの狙い

僕自身が注目していたのは、広島戦の反省を踏まえて、何か変えてくることがあるのかということでした。僕はメンバーもシステムも変えないと思っていたのですが、メンバーを2人入れ替えただけでなく、システムも変えてきました。

ボランチは中村憲剛とパウリーニョのコンビに変更し、右サイドハーフに大島僚太、2トップに小林悠と大久保嘉人を配置し、広島戦の4-2-3-1から4-4-2に変更してきました。

この変更の狙いは、3つあります。1つ目は、中村憲剛をボランチに配置し、パス回しをスムーズにすること。2つ目は、大島が右サイドから中央にスライドすることで、中央で数的優位を作り、パスを回して、ボールを保持する時間を長くすること。3つ目は、好調の小林を2トップに配置することで得点の可能性を増やすだけでなく、ここまで未だノーゴールの大久保の負担を軽くすることが狙いでした。

特に2つ目の大島が右サイドから中に入る動きは、相手のマークを混乱させ、ボールを保持する時間を長くすることに成功しました。大島が右サイドハーフに入ると、中央のエリアは、2対3で川崎フロンターレの方が数的有利になります。局面的に生まれる数的有利を活かして、パス回しをスムーズにすることが狙いでした。

最近、ヨーロッパのサッカーではこの戦い方を採用するチームが増えています。FCバルセロナは、強豪チームとのアウェイゲームの時はイニエスタを左ウイングに配置する時があります。イニエスタが左から中央に入ってボールを受け、数的優位を作ってパスを回すことで、ボールを長く保持することが狙いです。

大島に求められたのは、イニエスタと同じ役割でしたが、非常にうまくいってました。大島が交代した後に2失点したのは偶然ではないと、僕は思います。

ゴールを奪えない2つの理由

この試合、川崎フロンターレが狙い通りボールを保持し、ゲームをコントロールすることに成功していましたが、結局ゴールを奪うことが出来ませんでした。その理由は、2つあります。

1つ目は、レナト&登里の左サイドでチャンスを作れなかったからです。川崎フロンターレの左サイドの攻撃は強力ですが、対戦相手も研究しています。蔚山現代戦では、レナトには必ず2人のマークがつき、登里のビルドアップもパスコースをうまく消されていました。

2つ目は、大久保嘉人の不調です。この試合でもチャンスはありましたが、結局ゴールを決めることが出来ませんでした。見ていると体の動きは悪くないようですが、ゴールを欲しがるあまり、プレーに余裕がなくなっていて、昨年ならしなかったミスが増えているという印象があります。

大久保嘉人の不調がチームに与える影響

なぜ、大久保がそこまでゴールを欲しがるのか。答えは簡単です。

ブラジルワールドカップに出たいからです。

大久保はチームの勝利はもちろんのこと、ワールドカップに出たいからゴールが欲しいのです。

その事を分かっているチームメイトは、大久保にパスを出します。大久保は「自分なら出来る」と、少々不利な局面でもパスを要求します。チャンスでパスを受けられればよいのですが、そうでない場合は、ミスに繋がります。川崎フロンターレの攻撃がうまくいっていないのは、こんな事が理由のような気がします。(そう考えると、うまくコントロールして好調を続けている中村憲剛はさすがです)。

去年の序盤同様、中々スッキリしない戦い方が続いていますが、どのタイミングで上向くのか。そして、上向かせるために風間監督はどんな手を打つのか。(打たないのか)。引続き注目していきたいと思います。

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