nishi19 breaking news

スポーツでもっと楽しい未来を作る

2018年ロシアワールドカップサッカー最終予選 日本代表対オーストラリア代表「ハリルホジッチの日本代表の基準となる試合」

   

2018年ロシアワールドカップサッカー最終予選、日本代表対オーストラリア代表は、1-1の引き分けでした。この試合は、妻が録画時間を間違えたので、後半しか観れていません。後半しか観ていない状況でのレビューであることを踏まえて、読んで頂けると幸いです。

オーストラリアの攻撃を封じた日本代表の守備

この試合の日本代表は、アウェーでのオーストラリア戦ということもあり、失点するリスクを極力防ぐというゲームプランをもって、試合に臨みました。

左サイドバックにはセンターバックも出来る槙野、ボランチにはボールを奪う能力に長けている山口、右サイドハーフに小林を起用します。槙野、小林を起用したのは、オーストラリアのコーナーキックやフリーキックといったセットプレーで、高いボールや身体をぶつけてくる競り合いに、きちんと対応できる選手を起用したかったからだと思います。

オーストラリアがコーナーキックやフリーキックの時に、小林をニアサイドに立たせることで、本田をゴールエリア付近を守らせることで、オーストラリアの攻撃を封じてみせました。

また、守備を開始する位置も、普段より低く設定していました。日本代表は、守備のときは4-4-2のフォーメーションで守ります。FWの本田と香川は、守備の時にオーストラリアのインサイドハーフと言われる、左右のMFをマークします。相手のセンターバックとボランチは、マークしません。

日本代表のDFラインは、ペナルティエリア付近に位置しているので、日本代表はDFラインからFWまでの縦方向の距離が、非常に短く設定されており、スペースがありませんでした。したがって、オーストラリアは中央から相手の守備を崩したかったのですが、スペースがないため中央を崩すことが出来ず、日本代表がしっかり守っているサイドを強引に崩すしかありませんでした。

この試合の日本代表の守備は、ほぼ完璧だったと思います。特に、後半を観る限り、西川、吉田、森重はほぼ完璧なプレーをしたと思います。失点の場面は、本田がすでにボールを持っている選手をマークしているにもかかわらず、長谷部が自分が守るべき場所を外れてフラフラと前に出てしまいます。

長谷部が空けたスペースにオーストラリアの選手が動き、正確なパスが出ます。慌ててサイドを捨てて酒井がマークにつきますが、ダイレクトでサイドにパスをされて、サイドを崩されてしまいました。長谷部のポジショニングミスがなければ、失点はなかったと思います。原口のプレーが注目されていますが、僕は長谷部のミスだと思います。このプレー以外は、ほぼ完璧に守れていたので、残念です。

ハリルホジッチのサッカーは特別な事はしていない

この試合は、ハリルホジッチとしては、狙い通りの試合だったと思います。守備は選手間の距離を短くし、相手が攻め込んできたら、素早く囲んでボールを奪う。ボールを奪ったら、手数をかけずにFWにパスして、相手の守備が整わないうちに攻撃する。ハリルホジッチが実現したいサッカーは、こんなサッカーです。そして、このサッカーはザッケローニが実現させたいサッカーでもありました。もっと言い換えると、以前強化委員長を務めていた原博実さんが実現させたいサッカーでもありました。

ハリルホジッチの戦い方は、ブンデスリーガの中位クラブだとよくみられるサッカーです。2015-16年シーズンのプレミアリーグを制したレスター・シティも、ハリルホジッチが好む戦い方をしているチームだと思います。ヘルタ・ベルリンというブンデスリーガの中位のチームで試合に出続けている原口元気が、今の日本代表で一番よいプレーをしているのは、必然だと思います。

気になるハリルホジッチと一部の選手の認識の差

僕はレスター・シティ、アトレティコ・マドリー、ボルシアMGのように、ハリルホジッチが志向するサッカーでも、素晴らしいサッカーをしているチームもあるので、このサッカーを続けることについては、特に問題ないと思います。気になるのは、試合後の選手のコメントを読んでいると、この試合の戦い方に納得していない選手がいる事です。

(監督のサッカーの完成度は)ちょっとビデオを見たいなとは思っていますが、やっていて課題は多いなと感じています。評価は今ここでは冷静には分析できていないですが、全然満足はしていないです。たぶんそれは全員思っていると思います。

(思い当たる課題は)多いです。守備もそうですし攻撃も。やっぱりこの短期間でイラク戦から全く戦術を変えて、アウェーでとにかく勝ち点は絶対に取りたいと思い、最低限の勝ち点は取れた。とはいえ、内容はいいように支配された。「支配させる」という感覚で前半はちょっとだけいられたんですけれど、後半は「支配される」に変わったと思います。これは大きな課題だと思っています。後半も「支配させる」という感じのゲームプランのまま2点目を狙いにいけたのであれば、もう少し評価はできましたが、後半はちょっと反省の方が多かったです。
(本田圭佑)

(ボールポゼッションでかなり上回られていたが、この戦い方は受け入れられる?)受け入れるしかないです。ベストと言ったら変ですけれど、1−1という状況ですが、今日の試合に関してはこれ以上やれることはなかったのかなと思ってます。

後半あれだけラインを落とされた中で攻撃をするというのは、なかなか厳しいなというのをすごく感じるゲームでした。それを踏まえて、W杯であったり、ヨーロッパのチームと戦うときはこういう戦いになるんじゃないかな、というのをすごく感じるゲームだったと思います。
(香川真司)

アウェーに来て、自分たちの戦術は、監督が真骨頂としているのかは分からないですけれど、引いてブロックを作ってそこからカウンターというやり方の中で結果が出れば最高でした。臨機応変に相手によって変えて、例えば今度オーストラリアとホームでやる時にはこのサッカーをやるかと言われたら、やらないかなと。というような感覚が、僕個人では監督に対してあります。相手や場所によってサッカーを変えてくという意味では、まだまだ成長過程かと思います。
(長谷部誠)

手数をかけずに攻撃し続けるだけだと、前回のイラク戦のレビューにも書きましたが、相手に攻撃権を手放してしまうだけなので、ボールをつないで味方が一息つく時間を作ったり、リズムを変えて、相手の守備を崩す攻撃もしたかったのだと思います。ハリルホジッチは、ボールをつないだり、リズムを変える役割として、本田と香川を起用しました。本田に求められていたのは、セットプレーの守備とボールキープ。香川に求められていたのは、味方が一息つく時間を作るために、ボールを受けて空いてる選手に正確にパスをする、あるいは本田とのコンビネーションで相手の守備を崩すことが求められていました。ただ、2人ともコンディションがよくないこともあり、守備のタスクをこなすだけで、攻撃まで手が回りませんでした。

FWの選手にとって、イライラする試合だったと思います。また、今までオーストラリアが相手でもボールを握り、相手を崩す攻撃を仕掛けてきた選手たちにとっては、まるで自分たちが格下かのように戦ったこの試合の戦い方は、簡単に受け入れられるものではなかったと思います。

ただ、この試合にハリルホジッチは手応えを感じていると思います。守備をスタートするポジションが崩れておらず、短期間ですが、役割が整理されていると感じました。この試合の戦い方が、今後の日本代表の戦いを測る基準になるはずです。

本田や香川といった選手は、ハリルホジッチのサッカーに適応できない選手のように思えるから、外したほうがよいのではないか。そんな考えをもつ人もいるかもしれません。もちろん、それも1つの方法です。ただ、本田のように、ヨーロッパのDFを抑えながらボールをキープしてくれる選手は、日本にはいません。香川以上に、ペナルティエリア内でボールを受けて、正確にプレー出来る選手はいません。こうした選手をいかにチームに組み込んでいくか。そして、この試合のように戦える選手をいかに増やしていくかです。

ボールを保持して相手を崩すサッカーを見慣れている人にとっては、少し寂しさを感じるサッカーだったかもしれません。しかし、ワールドカップで日本代表が対戦する相手は、日本代表にボールを保持させてくれるような相手はいません。そう考えると、チームは1歩前進したのではないかとも感じました。

前進したチームをハリルホジッチはどう進めるのか。そして、選手との認識の差をいかになくして、勝つために必要なサッカーを浸透させていくのか。引き続き注目したいと思います。

おすすめ

 - ,