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2018年ロシアワールドカップサッカー最終予選 日本代表対UAE代表-大島が川崎フロンターレのプレーと違って見えた理由を考える-

   

2018年ロシアワールドカップサッカー最終予選、日本代表対UAE代表は、1-2でUAE代表が勝ちました。当初この試合のレビューを書くつもりはなかったのですが、打ち合わせの後の飲み会から帰宅中、お酒の勢いで「レビューを読みたい方がいらっしゃったら、書きたいと思います」と書いたところ、思わぬ反響を頂いたので、僕から観た試合のレビューを書いておきたいと思います。

この試合は、川崎フロンターレに所属する大島僚太が出場していたので、大島のプレーを中心に書きたいと思います。僕はPKを与えてしまいましたが、大島のプレーはすごく良かったと思います。この試合のベストプレーヤーを挙げろと言われたら、僕は大島を挙げます。

大島は川崎フロンターレのプレーと何か違ったのか

この試合の大島のプレーについて、Twitterでリプライを頂いた方が気にされていたのは2点あります。

1点目は、「大島のパススピードが遅い」というものです。川崎フロンターレのサッカーや、大島のプレーを見慣れている人は、大島のパススピードが川崎フロンターレの時より遅いのではないかというコメントを頂きました。2点目は、「長谷部と連携が上手くいってないのではないか」というものです。この試合、長谷部と大島が横に並んで一緒に前後に移動したり、2人同時にペナルティエリア付近にポジションを取ったり、2人同時に後ろにポジションを取ったりする場面が観られました。普段の川崎フロンターレではあまり見られないプレーなので、なぜそうなったのかというコメントを頂きました。

前提として当たり前の事を書いておきたいのですが、サッカー日本代表と川崎フロンターレは全く別のチームです。選手も、監督も、そして試合にかかるプレッシャーも違います。選手間の連携は、クラブチームの方が日々練習しているので優れている場合もあります。日本代表のように、コンディションにバラつきのあるチームが集まって数日でよい上記2点について書いておきたいと思います。

日本代表の方が川崎フロンターレよりパススピードが遅い?理由

まず、「大島のパススピードが遅い」という点についてですが、僕も遅いと感じました。正直、川崎フロンターレより日本代表の方が遅いと思います。僕が考える理由は2点あります。

1点目は、「ボールが止まらない」からです。この試合の日本代表を観ていると、ボールを足元で止めるとき、身体からボールが離れる場面が目立ちました。一見すると止まっているように見えるトラップでも、次の動作に移る時に、自分がボールを扱いやすいポイントにボールを移動しなおしたら、それは「止まっている」とは言えません。この試合の日本代表は、岡崎も、本田も、清武も、香川も、長谷部も、みんなボールが止まっていませんでした。

正確にボールが止まらなかった要因として、身体のコンディションが良くなかった事もあると思います。ワールドカップ最終予選の初戦ということで、緊張していたため、普段入らない力みが身体に残っていた選手もいたと思います。ただ、日本代表の選手は、「ボールを止める」時、身体に力を入れてボールを止めようとしているように見えました。

強いパスや正確なパスを出し手が出して、パスで相手を外しても、受け手がボールが止まらないと、パスで築いたアドバンテージがチャラになってしまいます。そして何よりまずいのは、「受け手が止められるパスを出さなきゃ」と思うと、知らず知らずのうちに、パススピードは遅くなり、パスを出すタイミングも、素早い動作ではなく、慎重に慎重に、狙って狙って出すような動作になってしまいます。これでは、パスで相手を崩すことは出来ません。

大島はオリンピック代表の時も、パスのスピードは川崎フロンターレの時より遅くしてました。たぶん、川崎フロンターレと同じパスの強さを出しても、受け手が止められないのだと思います。正直、日本代表になったら香川や清武といった選手がいるので、大島の悩みが大分解消されるんじゃないかと期待していたのですが、そんな事はありませんでした。

余談ですが、この試合の日本代表は「ボールが止まらない」ので、攻撃のテンポを変える事が出来ませんでした。UAEは上手く守っていましたが、主に場所を守っているだけなので、相手を外した選手に正確にパスをつなげば、日本代表の選手であれば、崩せたと思います。ところが、この試合の日本代表は「ボールが止まらない」ので、崩すべき相手が見えません。受け手も相手を外すことが出来ません。したがって、攻撃のテンポが一定で、速いテンポで攻めきろうとしまうので、相手は身体も心の準備もしやすかったと思います。

フリーの定義が違う

2点目は、「フリーの定義が違う」からです。このブログでは何度も書いているのですが、川崎フロンターレは、「フリー」という状態の定義が、他のチームとは異なります。川崎フロンターレ以外のチームは、「相手が周りにいない」状態の事をフリーと定義しています。しかし、川崎フロンターレは、相手がいてもかわせる、あるいは相手が届かない場所にパスをして、ボールを取られないのであれば、それは「フリー」だという考えをもっています。

大島は、近くに相手がいても、トラップやドリブルで相手をかわすプレーを得意としています。だから、相手選手が近くにいても、大島にとってはボールをとられない位置にコントロール出来る自信があるので、彼としては「フリー」なのです。ところが、味方の選手からしてみると、大島の状態は「フリー」ではなく、「マークされている」状態なのです。今大会のように、一度のミスで勝負が決まるような緊迫した試合で、マークされていると思える選手(特に中盤)にパスをするのは、簡単ではありません。したがって、大島へのパスは少なくなっていったのです。余談ですが、川崎フロンターレに入団した新加入選手は、この「フリー」の定義の理解に苦労します。パスをつけるタイミングが他のチームと違うので、大抵の選手は大久保か中村に怒られます。

この試合を観ていて感じたのは、日本代表の選手でも、「フリーの定義」が川崎フロンターレの選手と違うのだという事です。大島の感覚に近かったのは、香川と清武くらいだったような気がします。パススピードが遅かった理由である、「ボールが止まらない」と「フリーの定義」が大島と他の選手が違うことは、実は長谷部との連携にも影響していました。

長谷部と大島の連携が上手くいかないように見えた理由

長谷部が大島に比べて「ボールが止まらない」ため、次のプレーのリアクションが遅く、大島が欲しいタイミングでパスを受けられません。大島としては「フリー」と思って、相手を外してパスを受けようとしても、長谷部、森重、吉田といった選手からのタイミングが一拍遅いため、大島が相手を外して築いたアドバンテージがなくなってしまっている。そんな場面が目立ちました。そして、大島がフリーだと思っていても、長谷部としては相手がいるので「フリーではない」という判断をしているのか、パスが出てきません。選手ごとに「フリーの定義」は違うのですが、日本代表として統一されていないことは、長谷部と大島の関係をみていて感じました。

長谷部と大島が2人同時に攻め上がったり、2人同時にDFライン近くでパスを受けようと、2人で同じ場所、同じ動きをしてしまうのは、役割分担が整理されていなかったのだと思います。どちらが主に攻撃に関与するのか、カウンターに備えるのか、整理されてなかったのだと思います。これは、監督の問題です。ただ、長谷部は状況を見て戦える選手でもあります。長谷部がドリブルでボールを運ぼうとする動きを何度も繰り返していたのは、味方がボールが止まらないことを察知し、自分がボールを運ぶことで、相手の守備を崩そうとしていたのかもしれません。日本代表の選手ともなれば、相手を見て戦えるし、個々に工夫出来る選手たちです。ただ、チームとして「どう崩すか」が共有されてないので、崩す動きも単発になってしまい、効果的とは言えませんでした。

「目が揃っていない」日本代表

僕は小林悠が出てればもう何回か崩せたのになぁ、と感じました。小林悠と大島を起用すれば、2人は「目が揃っている」ので、パスの受け手と出し手の関係だけで、崩すことが出来たんじゃないか。そんな気がしています。サッカー日本代表は、連携をあわせる時間がないので、パスの受け手と出し手の「目を揃える」のは、簡単ではありません。「目を揃える」手っ取り早い方法は、同じクラブチームの選手で出来るだけ構成してしまう事です。しかし、今の日本代表は海外でプレーする選手が多いので、選手によって「フリーの定義」も「止める」も「外す」も「運ぶ」も「受ける」も、みんな違います。目が揃っていないのです。ハリルホジッチも当然その事に気がついていて、試合前に修正しようとしたのだと思いますが
上手くいかなかったのだと思います。

以前、「U-23サッカー日本代表で大島僚太が力を発揮できなかった理由を考える」という記事を書いたことがあるのですが、この試合を観ていて、U-23で起こったことが、日本代表でも繰り返されていると感じました。本田が「戦術以前に気合や根性が足りない」と語ってましたが、僕は単に「技術が足りない」から負けたのだと思います。UAE代表は日本代表に比べて、フリーの定義は揃っていたし、「止める」「外す」「運ぶ」「受ける」技術も上でした。結果は妥当だと思います。

この試合を観ていて、改めてワールドカップ最終予選に簡単な試合はないのだということを思い知らされました。次の試合はどんな試合になるのか、そしてこの試合の大島をどう評価していたかは、ハリルホジッチの次の試合以降の選手起用で分かると思います。注目したいと思います。

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