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2018年ロシアワールドカップサッカー最終予選 日本代表対UAE代表「UAEの戦術にきちんと対応した日本代表」

   

2018年ロシアワールドカップサッカー最終予選、日本代表対UAE代表は、2-0で日本代表が勝ちました。

少し特殊なUAEの攻撃

この試合の勝因はUAEの攻撃を抑えきった事です。この試合を観ていると、UAEは攻撃と守備でフォーメーションを変えて戦っていました。攻撃の時はセンターバックの2人と11番のアハメド バルマンの3人がトライアングルを作って、3人でパスを回します。サイドバックの2人はDF3人でのパス回しが上手くいかなければ、サポートに下がってきますが、攻撃時は基本的にはFWと同じ高さまで上がってきます。13番のハミス イスマイールが中央にいますが、彼はあまりボールに触りません。

FWの7番のアリ マブフートは、日本代表のセンターバックの背後を狙い続けます。アリ マブフートが背後を狙って空いた中央のスペースに、左右のMFを務めていた、21番のオマル アブドゥルラフマンと15番のイスマイル アルハンマディ、FWの10番のイスマイル マタルがボールを受けようと下がってきます。この下がってきた3人に対して、センターバックの2人もしくは11番のハメド バルマンから早くて正確な縦方向へのパスを出して、攻撃を仕掛けようとしてきました。その為、UAEは攻撃時は3-1-6のようなフォーメーションになっていました。

UAEは、中央縦方向へのパスが出せなければ、高い位置まで上がっているサイドバックを日本代表のサイドバックの背後に走らせるようなパスを出します。サイドバックの背後へのパスを出すことで、日本代表のDFラインを下げさせようという狙いがありました。整理すると、UAEの攻撃時の狙いは、日本代表のDFラインを下げさせ、FWとDFラインの間にスペースを生み出し、生み出したスペースでボールを扱う技術の高い選手にボールを受けさせ、中央から攻撃を仕掛ける事でした。UAEの攻撃は、サンフレッチェ広島や浦和レッズが披露するようなプレーに似ており、非常に洗練されていました。

UAEの攻撃に日本はどう対応したのか

日本代表はこのUAEの攻撃にどう対応したのかというと、UAEがどこでボールを持っているかによって、守備の仕方を変えるという対応をしました。UAEが自陣深くでボールを持っている時は、積極的にボールを奪いにいきます。DFの位置まで下がる11番のアハメド バルマンには、香川がついていきます。しかし、フィールド中央までUAEがボールを運んできたら、香川は11番にはマークにはつきません。大迫が11番とセンターバックの間に立ち、縦方向のパスを出させるように仕向け、香川は今野と同じ位置で守ります。

縦方向のパスが入ったら、センターバックの吉田と森重と山口の3人のいずれかが対応し、思い切って距離を詰めて、振り向かせないようにします。1人がボールを奪おうとしたら、もう2人が背後に残り、DF4人の並びは崩さないようにしていました。振り向かせないようにしていれば、この日の日本代表には今野がいましたので、今野が素早く相手を挟み込み、ボールを奪ってくれます。日本代表がUAEの中央からの攻撃でチャンスを作られたのは、前半20分にアリ マブフートと川島が1対1になった場面だけでした。ハリルホジッチの狙い通りの守備が出来ていたと思います。

UAEの弱点をついた日本代表

UAEは守備の時は、攻撃時の3-1-6から4-4-2に変化して守ります。守備の時はオーソドックスに、1人1人の距離を短くし、相手に自由に動くスペースを与えないようにして守ります。守備も規律が取れていて、極端にサボるような選手はいません。

しかし、1つ問題をかかえていました。それは、攻撃時と守備時のフォーメーションが違うので、守備時のフォーメーションに移動するのに時間がかかる事です。そして、攻撃時に、21番のオマル アブドゥルラフマンと15番のイスマイル アルハンマディ、FWの10番のイスマイル マタルがポジションを入れ替えながらボールを受けようとするため、守備時のフォーメーションに移動するのに、ポジションを入れ替えないで戦うチームより、時間がかかってしまっていました。

前半14分の久保の先制ゴールは、UAEの選手がポジションに移動するのが遅れ、酒井がフリーでボールを持った瞬間、UAEのサイドバックとサイドハーフの間にスペースを作ってしまった事が要因でした。

後半7分の今野のゴールは、吉田が相手FWに競り勝ち、UAEがポジションを整える前に、大迫にロングパスを出し、大迫が競り勝った事で、UAEは自分たちが後ろ向きでプレーをする事を強いられました。今野をフリーにした右サイドバックの選手が責められていましたが、彼は必死に戻らなきゃいけないと思っていたポジションに戻ろうとしていただけで、今野の事は見ていなかったのだと思います。本来は今野を見ながらポジションをとらなければならないのですが、決め事がしっかりしている分、決め事を優先して動いてしまったような印象を受けました。

また、この試合を通じてUAEはセンターバック2人の守備時の連携が取れておらず、サイドバックとの間を空けてしまったり、中央を空けてしまったりということが起きていました。日本代表は相手センターバックの問題も見逃さず、チャンスにつなげる事が出来ていました。

後半立ち上がり10分は、UAEが自分たちの狙い通りの攻撃を仕掛けたことで、日本代表のDFラインが下がり、押し込まれる時間帯が続きました。前半は香川が味方と近い位置でボールを受け、攻撃の起点になっていましたが、DFラインとFWの距離が空いてしまうと、香川がボールを受けられなくなってしまい、日本代表はなかなか攻撃が仕掛けられません。

そこで、ハリルホジッチは2点目が決まってからは、割り切って守備時は4-1-4-1のフォーメーションで、相手の攻撃を迎え撃つことを選択します。後半26分に香川に代わって倉田を入れて、攻撃と守備で広範囲に倉田に動いてもらう事で、他の選手の負担を軽減させ、UAEの攻撃の機会も減らしてみせました。的確な采配だったと思います。

アジアサッカーもレベルアップしているが、日本代表もレベルアップしている

この試合を観終わって感じた事が2つあります。1つ目は、アジアのサッカーがレベルアップしている事です。前回のワールドカップ予選では、この試合のUAEのように、規律のとれた戦いが出来るチームは、アジアにはほとんどありませんでした。

しかし、1次予選のシンガポール、2次予選のUAE、イラク、サウジアラビア、タイといったチームも、ある程度規律のとれた戦いをしてきます。これまでのように、守ってカウンターだけのチームだったり、身体の強さ、スピードだけを強調するようなチームはありません。とても洗練された戦いをしてきます。したがって、日本代表も規律を保ち、相手の狙いを読んだ上で、相手に対応する戦いが求められています。

2つ目は、日本代表が少しずつレベルアップしている事です。最終予選の初戦に負けたことで、日本代表は大きく舵を切りました。攻撃時に違いを出せる選手より、守備時に戻って欲しい場所にきちんと戻り、チームが求める事を90分通じて実戦できる選手がスタメンに名を連ねるようになりました。

最初は守備時の約束事と、攻撃時にまずは縦方向に素早くボールを運ぶ事を求められていましたが、この試合では、縦方向にボールを運ぶ時と、ボールを保持して時間をかけて攻撃する時との使い分けが出来ていました。ハリルホジッチは、4-2-3-1のフォーメーションしか使えないのではないかという考えをもっていた人もいたかもしれませんが、この試合で4-1-2-3というフォーメーションを採用し、結果を出した事で、複数のフォーメーションを使い分け、試合に勝つために柔軟に採用すべき戦術を選択できる監督であることを示してみせました。

ハリルホジッチとしては、まずは守備時の約束事と、縦方向に素早くボールを運ぶ事が出来てから、次の段階に進みたかったのだと思います。長谷部の離脱というピンチはありましたが、チームは次の段階に見事進んでみせました。ここから先は、1試合1試合丁寧に戦い、きちんと勝ち切る事が求められます。選手が怪我で離脱することもあるでしょうが、選ばれている選手の多くは求められていることを理解しつつあるので、そこまで大きなピンチにはならないと思います。

まだアウェーゲームが2試合残っているので、油断は禁物です。そして、タイ戦は移動日含めて中4日で迎えます。時差もあるので、簡単な試合にはならないと思います。いかにコンディションを回復し、よい試合が出来るか。次の試合でどんな戦いをするのか、楽しみです。

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