“僕らの戦い方”、“この戦い方”だけでは勝てないのがワールドカップ

2014/06/27

2014年ブラジルワールドカップで繰り広げられる熱戦を観ていて、僕自身が実感したことを書きたいと思います。

戦い方を使い分けるチームが勝っている

今大会で勝ち進んでいるチームを見ていると、ひとつの特徴に気がつきました。それは、「ポゼッションも、カウンターも、ハイプレスも、引いて守る戦い方も出来るチームが勝っている」ということです。言い換えると、相手のチームによって自分たちの戦い方を使い分けることが出来ているチームが勝っていて、それが出来ないチームが負けていると感じています。

戦い方を使い分ける事ができるチームの例は、オランダとチリです。両者とも前回王者のスペインを倒して、予選リーグを勝ち抜きました。今大会のオランダは、3-5-2というフォーメーションを選択し、引いて守ることで、FWのファン・ペルシとロッペンというスピードのある選手にスペースを与え、ボールを奪ってからの素早い攻撃で得点を量産しています。また、オーストラリア戦では、試合途中に4-2-3-1にフォーメーションを変更し、サイドからの攻撃を増やすことで、相手の守備を攻略しました。

チリも戦い方を使い分けることが出来るチームです。オーストラリア戦では4-4-2、スペイン戦では3-5-2と試合によってフォーメーションを使い分けました。ボールをつなぎながら攻めるだけでなく、相手が攻勢の時はじっくり守り、攻撃の時はアレクシス・サンチェスとビダルを中心としたカウンターで攻めこむ。試合の中で戦い方が変えられるチームでした。

ひとつの戦い方しか出来ない日本代表

振り返って、日本代表はどうだったでしょうか。

日本代表は、2010年は「守って少ないチャンスを得点して勝つ」戦い方で、ベスト16まで勝ち進みました。2014年大会は、「多くのチャンスを作って得点して勝つ」サッカーで勝ち進むことを目指しました。しかし、多くのチャンスを作るための方法は、残念ながらそれほど多くなかったのが現状だと思います。

2014年の日本代表は、左サイドで香川、長友、本田が連携して相手の守備を崩し、右サイドの岡崎が得点する、「左で崩して、右で得点する」が日本の攻撃スタイルでした。この攻撃はそれなりに破壊力のある攻撃でしたが、日本代表にはこの攻撃しかありませんでした。この攻撃は、2011年のアジアカップから続けている攻撃ですが、同じことをずっと続けていれば、相手も研究して、対策を練ってきます。ワールドカップでは、左サイドの連携はほとんど見られませんでした。日本は相手の対策について、無策だったと言わざるを得ません。

全部出来るチームだけが勝ち進む

近年のチャンピオンズリーグやEUROといった大会を観ていると、全部出来るチームが勝ち進んでいます。近年目覚ましい躍進を遂げているアトレティコ・マドリーは、試合によって、4-3-3、4-4-2、4-3-3といったフォーメーションを使い分けています。守ってカウンターが上手いチームというイメージがありますが、実はスペインのチームらしく、ボールをつないで攻撃するのも上手いチームです。

スター選手が揃っているレアル・マドリーですら、攻撃の時は4-3-3、守備の時は4-4-2といった具合に、攻撃と守備の時でフォーメーションを変えて、戦っていました。普段はボールを支配した上で、パスで崩す戦い方をしながら、バイエルンのような相手に対しては、相手が攻めてきた所を、ベンゼマ、ベイル、ロナウドという最強の3トップのカウンターで、得点を量産しました。

つまり、日本が本気でワールドカップ優勝を目指すなら、「ポゼッションも、カウンターも、ハイプレスも、引いて守る戦い方も出来るチーム」でなければなりません。2010年は「引いて守る戦い方」しかできないチームでした。2014年は、「ボールを持って戦ったらよい攻撃が出来る」ことしかできないチームでした。一つの戦い方しか出来なかったという意味では、2010年も2014年も変わらなかったと、僕は思います。

サッカーの本質

これから、「日本サッカーはどうあるべきか」という議論がされていくのだと思いますが、あくまでサッカーはどういう競技なのか。どういう戦い方をしたら自分たちの強みを活かして、勝てるのか。その点をよく考えた上で、議論が進むことを、僕は望んでいます。

日本はサッカーの本質が分かっていない。
(中略)
サッカーは、いつ、どこで、なぜ、そこでボールを受けるのか。
いつ、どこに、なぜ、そこにボールを出すのか――を、考え抜いて行う競技。
コロンビアの選手は、それが身にしみているから、
じっくり守ったうえでの、ボールをきっちり回しての速攻を次々と決めた。

日本はサッカーの本質が分かっていない…李国秀

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