日本人の強みを発揮することが、世界で活躍するための武器になる。書評「なぜ、日本人シェフは世界で勝負できたのか」(本田直之)

本書「なぜ、日本人シェフは世界で勝負できたのか」は、「レバレッジシリーズ」で有名な著者が、世界で活躍するシェフ・ソムリエなど15人にインタビューし、「なぜ海外で活躍出来るのか」「どうしたら海外で活躍できるのか」についてまとめられた1冊です。

本書の巻末には、世界で活躍する料理人の言葉からまとめられた、「世界で活躍するために必要な34のスキル」が書かれています。

思考法

1.技術や知識よりも、哲学を学ぶ
2.上には上がいるという、高いスタンダードを持つ
3.突き詰めて考える
4.全ての行動に意味を持たせる
5.常識でもいったんゼロから考える
6.空気を読まずに、オリジナリティを持つ
7.賛否両論でOK
8.目先にとらわれず、自分を信じる
9.他人に言われないと動かない人になるか、自分で動くか
10.弱みでなく強みを伸ばす
11.自分のブランドをつくれるか
12.自分の哲学を持つ
13.前例があるのは喜ぶべきこと

働き方

14.使われるだけの便利な人になるか、表舞台に出られるか
15.ファーストステージをどう過ごすかで人生が代わる
16.自信を持てる基礎をしっかりつくる
17.人との繋がりをつくる、知ってもらう努力をする
18.有名店で働いたではなく、そこで何をやったか
19.好奇心を強く持つ
20.仕事を早くこなすトレーニングをしておく

行動法

21.料理以上のものを得るために必要なのが言葉
22.遠慮しない、謙遜しない、感情を抑えない
23.コミュニケーションはユーモアから
24.言葉ができなくてもあきらめない
25.同じ土俵で勝負しない
26.制約を楽しめるか
27.無理をしてでも社交の場に参加する

仕事選び

28.あえて厳しい環境に身をおく
29.逃げられないところへ自分を追い込む
30.逆算して、働くべき店・会社を考える

リーダーシップ

31.その土地のやり方に合わせたマネジメント
32.他人の三つ星と自分の店、人の使い方の違いを理解する
33.リーダーがやるべき仕事とは何か

日本人の強み

34.あらためて何が評価されているのかみつめる

実は、書店で本書を見かけた時、タイトルが気になって手にとってみたけれど、買いませんでした。日本人シェフの話しであれば、今の自分には関係ないし、読んでも面白く無いだろう。そう思ったからです。しかし本書は、料理人の活躍を取り上げていますが、料理人になりたい人だけに向けて、書かれた本ではありません。

むしろ、ビジネスパーソン向けにどうしたらビジネスパーソンが世界で活躍できるのか。を伝えるために書かれた1冊なのです。

日本人の「当たり前」が、世界では強みになる

本書を読んでいると、日本人として当たり前のことが、世界で働くときの強みになることに気づかされます。日本人の強みは、オリンピック招致プレゼンでもアピールされた、細かい気づかい、正確さ、丁寧さ、集中力、仕事に対する勤勉さ、そして、「おもてなし」。日本で働いていれば当たり前のことが、世界で働くときの強みになると、世界で活躍する料理人達が証言しています。

特に、フランスでは労働者は週40時間以内の労働時間で働くことが、義務付けられているのだそうです。長時間の労働が常態化していた料理の世界も、例外ではないそうです。しかし、日本人は、週40時間の労働時間制限の対象外のため、長時間働くことが出来るそうです。日本人の料理人は、長時間働けるというルールをプラスに活かして、先ほど紹介した日本人の強みを発揮し、フランス料理の現場で大変重宝される存在になっているのだそうです。

そして、フランス人より長時間働くことで身につけた経験や知識を活かして、現地でお店をオープンさせたり、現地の一流レストランで、重要な役割をになっているのです。

自分が世界で活躍するために、何が必要か考えてみた

本書を読んで、世界で活躍されている日本人の料理人が活かしている、「日本人の強み」を、自分の仕事に当てはめて、世界で活躍できるのか考えてみました。

僕は、企業のWebサイトの制作進行管理を担当する「Webディレクター」という仕事をしています。ただ、僕自身は、デザイナーやプログラマーのように、制作の技術に長けているディレクターではありません。どちらかというと、クライアントの問題を伺い、問題を解決するために最適なWebサイトを作るための企画を考えたり、考えた企画を形にするための制作進行、言い換えると制作の「段取り」をスムーズに行うことに長けたディレクターです。

そんな僕が、世界で活躍するには、どんな仕事があって、どんな働き方が出来るのか。考え始めた時に思い出したのが、高城剛さんがメールマガジンに書いていた言葉です。高城剛さんは、2012年6月のメールマガジンで、「海外で仕事がしたいけど、どういう仕事の仕方があるのか」という映像制作プロデュースをしている人の質問に対して、このように答えています。

世界中で仕事をする僕から見て、
日本の映像制作の「段取り」は、世界一だと思います。
時間に正確で緻密でシステマティックで、
いわゆるメイドインジャパンのプロダクション・スタイルだと感じます。

しかし、この映像制作の「段取り」を、
輸出しようと思っている人は、まずいないと思います。
そんなことは出来るわけないし、
その国々によって事情は違うだろう、とお考えでしょう。
僕の仕事は、この出来ない壁を突破することです。
例え世界の僻地でも。
ですので、ご自身の経験を生かせば、
少なくとも近隣のアジアであれば、十二分にご活躍できると思いますよ。

(高城未来研究所「Future Report」Vol.050/Part2 2012/06/01より)

ここで書かれているのは映像制作の段取りですが、Web制作の段取りを輸出することが出来れば、僕のような人間でも世界で活躍できるのかもしれません。繰り返しになりますが、フランス料理の世界で日本人の料理人が活躍できているのは、日本で働いていれば当たり前のことを、強みにしているからです。日本で当たり前の事を強みにすることは、Web制作の世界でも可能かもしれません。

「段取り」を輸出するためには、何が必要か。僕がまず必要だと思ったのは、語学力です。

語学力がなければ、クライアントから問題を伺い、自分の意図や段取りをデザイナーやプログラマーに伝えることは、不可能だと思います。ネイティブと同じレベルであればベストですし、ドキュメントを英語で作成する能力も必要だと思いますが、まずは会話がきちんと出来ることが重要だと思いました。

本書を読んでいて、どうやったら自分の仕事で世界に飛び込んでいけるのか、なんて事を考えさせられました。
もう少し、じっくり何が必要なのか、考えてみたいと思います。

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