「Jリーグの順位と負傷者数の関係を考察する」番外編-負傷者数でチームの状態が分かる-

先日「Jリーグの順位と負傷者数の関係を考察する」という記事をアップしたところ、非常に多くの方々に読んで頂けました。ありがとうございました。正直申し上げて、Jリーグの順位と負傷者数リリース(以下、負傷者数)を比較すると、負傷者数の多いガンバ大阪やサガン鳥栖が上位だったり、負傷者数の少ないアルビレックス新潟の順位が低かったりということもありました。

負傷者は、「選手のコンディション」「トレーニング」「回復・治療」の3つの要素が組み合わさって、発生する事象だと思っています。

選手が睡眠不足でトレーニングをすれば、どんなによいトレーニングをしても、怪我しやすくなります。トレーニングの負荷は、低すぎても、高すぎても、選手は怪我をします。選手のコンディションにあわせて、丁度よい負荷をかけてトレーニングを行えるかは、監督・コーチの腕の見せどころです。怪我した選手が、適切な処置を受け、早く回復出来るかは、症状を判断するドクターと、回復や普段のコンディショニング管理をサポートする、トレーナーの仕事です。

チームに関わるスタッフが、共に連携し、よい仕事が出来ていなければ、負傷者の数は減りません。だから、チームを支えるスタッフが、上手く連携できているかを測るのに、負傷者の数はとてもよい指標だと思います。そこで今回は、負傷者数と監督の着任年数、フィジカルコーチ、ドクター、トレーナーの数を調べてみました。(フィジオセラピストはトレーナーとしてカウントしました)

チーム名 負傷者 着任年数 フィジカルコーチ ドクター トレーナー
名古屋 16 1 1
大宮 15 1 1 3
G大阪 13 2 1 1 3
広島 13 3 1 6
C大阪 13 1 1 2 3
鳥栖 12 4 1 3
川崎 12 3 1 2 4
徳島 9 3 1 3
横浜 8 3 1 2 3
清水 8 4
甲府 7 3 1 7 3
仙台 7 1 1 3
東京 6 1 2 6 4
4 8 1 1 4
神戸 4 3 1
鹿島 3 2 1 6 5
浦和 2 3
新潟 0 3 1 1 3

新監督を迎えたチームは負傷者が増える

「Jリーグの順位と負傷者数の関係を考察する」という記事でも紹介しましたが、新監督を迎えたチームは負傷者が増える傾向にあります。昨年、新監督を迎えたチームは、名古屋グランパス、大宮アルディージャ、セレッソ大阪、ベガルタ仙台、FC東京の5チーム。全チームの負傷者の平均が8.44だったのですが、平均を下回ったのは、ベガルタ仙台とFC東京のみ。しかも、ベガルタ仙台は監督がすぐに替わったので、あまり参考になりません。名古屋グランパス、大宮アルディージャ、セレッソ大阪はそれぞれ平均を上回る負傷者が出て、大宮アルディージャとセレッソ大阪は、J2に降格しています。

新監督を迎えたチームに負傷者が多いのは、「サッカーのピリオダイゼーション」でいう「Zero Point」というトレーニング負荷の基準を定める前に、高い負荷をかけたトレーニングを行ってしまった結果だと思います。ただですら、新監督を迎えたチームの選手は、覚えることが多いので、緊張度が高い状態にいることが想像されます。今シーズン、新監督を迎えるのは、サガン鳥栖、横浜F・マリノス、ヴァンフォーレ甲府、ヴィッセル神戸、柏レイソルの5チーム(清水エスパルス、ベガルタ仙台はシーズン途中の就任なので対象外)。この5チームの負傷者の数が、前年とどう変わるのか注目したいと思います。

ドクターやトレーナーの写真がWebサイトにのっているか

ドクターやトレーナーの数を調べていて、意外な事に気がつきました。ドクターやトレーナーが、スタッフとして紹介されていないチームが多いのです。顔写真がないチームもありました。現在シーズンオフなので、スタッフ紹介ページがないチームもあったので一概には言えませんが、ドクターやトレーナーが共に紹介されていなかったのは、名古屋グランパス、清水エスパルス、ヴィッセル神戸、浦和レッズの4チームでした。

ファンドマネージャーの藤野英人さんによると、リーマンショック後に、上場企業のWebサイトに社長と役員の写真が載っているかどうかを調べた所、社長と役員の写真が載っている会社の株価はリーマンショック後、66%のプラス。社長だけの写真が載っている会社は、30%のプラスと、36ポイントもの差があったそうです。

ドクターやトレーナーも、チームを支える大事なスタッフです。ドクターやトレーナーをチームとして大切にしているか、選手・スタッフ紹介のページを見ていると、よく分かります。

ほぼ日刊イトイ新聞「どうして投資をするんだろう?-社員の顔が見える会社-」

サポート体制が充実しているFC東京、横浜F・マリノス、鹿島アントラーズ

個人的にサポート体制が充実していると感じたのは、FC東京、横浜F・マリノス、鹿島アントラーズです。

FC東京は、ドクターが6名、トレーナー・フィジオセラピストが4名いるだけでなく、コンディショニングをサポートするコンディショニングダイレクターまでいます。(表ではフィジカルコーチにカウント)昨年、FC東京だけは新監督が着任したにもかかわらず、負傷者が平均を下回ったのは、こうした充実したサポート体制も要因の1つだと思います。顔写真と簡単なプロフィールが掲載されているのも素晴らしいと思います。どんな人が担当しているのか分かると、サポーターの安心感も高まります。

横浜F・マリノスは、ドクター2名、トレーナー3名ですが、栄養管理アドバイザーが1名、メディカルアドバイザー2名、トレーナーアドバイザー1名と、非常勤と思われる専門スタッフが、常勤スタッフをサポートする体制を取っています。マリノスタウンという素晴らしいクラブハウスも、こうしたサポート体制の充実を後押ししていると思います。横浜F・マリノスは来年新監督が就任しますが、負傷者数がどう変化するか、注目です。

鹿島アントラーズは、ドクター6名、トレーナー5名と、11名もの関係者がサポートにあたっています。11名という数は、J1チームの中で最多。鹿島アントラーズというチームが、安定したチーム運営が出来ている要因は、こうしたサポート体制の充実にあることが、よく分かります。お金のかけどころを知っているな、という印象を持ちました。

負傷者の数でチームが上手くいっているか分かる

繰り返しになりますが、チームを支えるスタッフが、上手く連携できているかを測るのに、負傷者の数はとてもよい指標だと思います。選手、監督・コーチ、ドクター、トレーナー、皆が連携し、よい仕事が出来ていなければ、負傷者は減りません。また、設備が良くなると、明らかに減るのが負傷者です。設備も含めて、チーム力です。(設備がよくなったのに、負傷者が増えたセレッソ大阪と大宮アルディージャは別)

順位に直結するわけではありませんが、チームの持っている力が上手く発揮されていれば、負傷者は減るはずです。だから、負傷者の数は、チームが上手くいっているかを判断するには、とてもよい判断材料なのです。これから2015年シーズンの開幕に向けた準備が始まります。負傷者の数を数えながら、開幕に向けた準備が進んでいるのか、判断してみてはいかがでしょうか。

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