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「多様性」と「現場主義」。書評「「ひらめき」を生む技術」(伊藤穰一)

   

本書は、MITメディアラボ所長でベンチャー・キャピタリストとしても名高い伊藤穰一さんが、J.J.エイブラムスら4名の奇才を選りすぐって対談。世界の知的創造の現場で行われている、革新的なものの見方や考え方を紹介しながら、どうやったらアイディアを形に出来るのか、自身の考え方をまとめた1冊です。

九つの原則

著者は、計画を立てることがほぼ不可能な無秩序なシステムの中で、ひとりの人間として、あるいは組織として生き残るための原則として、九つの原則を紹介しています。

  1. 【Resilience over strength】強さではなくしなやかさを持つこと。
  2. 【Pull over push】「押す」のではなく「引く」こと。
  3. 【Risk over safety】安全ではなく、リスクを取ること。
  4. 【Systems over objects】モノではなく、システムに焦点を合わせること。
  5. 【Compass over maps】地図ではなく、よいコンパスを持つこと。
  6. 【Practice over theory】理論ではなく、実践に基づくこと。
  7. 【Disobedience over compliance】服従ではなく、反抗すること。
  8. 【Emergence over authority】専門家ではなく、クラウド(人々)に向かうこと。
  9. 【Learning over education】教育ではなく、学習に焦点を当てること。

「ひらめき」を生む「多様性」と「現場主義」

他にも、著者が本書で「ひらめき」を生むためには、2点強調していることがあります。

1つ目は、「多様性」。自身が人と異なる価値観を持つこと、あるいは異なる価値観、異なる技術、異なるバックグラウンドを持つ人々と一緒にものごとに取組むことが、新たな「ひらめき」を生むには重要であると、著者は繰り返し語っています。

2つ目は、「現場主義」。現場で何が出来るのか。本を読んで考えるのではなく、実際に問題が発生している場所で、どうやったら問題を解決できるのか。2つとも当たり前のことですが、結局はこうした当たり前のことをきちんとやることでしか、大きなイノベーションは生まれないのでしょう。当たり前のことをきちんとやることの重要性を、本書を読んでいて改めて感じました。

アメリカの企業は、MITメディアラボの人材を有効に活用できていない

本書を読んで印象に残ったのは、著者の「アメリカの企業は、MITメディアラボの人材を有効に活用できていない」という言葉です。MITメディアラボは、まさしく「ひらめき」を生む技術を持った人材を育てるために作られた教育機関です。そこで育った人材を、育てている国のアメリカが有効に活用できていないというのは、意外に思えます。しかし、近年のアメリカ経済の停滞の要因は、「ひらめき」を生む技術を持った人材が活かされていないからではないか。そんなことも考えました。

個人的には、著者の本としては、村上龍さんとの共著「「個」を見つめるダイアローグ」の方が、面白かったです。本書と同じようなメッセージがより分かりやすく書かれている1冊なので、ぜひKindle化して欲しいです。僕も改めて読んでみたくなりました。

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