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2017年J1第11節 ジュビロ磐田対川崎フロンターレ プレビュー「ハイネルはレナトの穴を埋められるのか」

      2017/05/19

2017年Jリーグ第11節、川崎フロンターレの対戦相手はジュビロ磐田です。

しつこいですが、Football-LABに「サッカーの「攻撃」を分析するためにチェックすべき2つのデータとは?」という記事を寄稿させて頂きました。Football LABには、「攻撃」を分析する時に真っ先に参考にすべきデータが掲載されています。それは、「チャンス構築率」と「シュート成功率」です。

「チャンス構築率」とは、「シュート数」を「攻撃回数」(ボールを保持してから相手チームに渡る、もしくはファウルやボールアウトで試合が止まるまでの間を1回の攻撃とする)で割った数字です。保持したボールを、相手陣内に効率よく運び、シュートチャンスを作り出しているチームは、チャンス構築率が高くなります。

「シュート成功率」は、ゴール数をシュート数で割った数字です。「シュート成功率」が高いチームは、得点出来るシュートチャンスを作り出すのが上手いチームともいえます。

攻撃はボールを持ってからシュートチャンスを作るまでの工程「ビルドアップ」と、作ったシュートチャンスを成功させる工程「得点する」の2工程に分かれます。それぞれの工程の精度を成功率を基に分析すると、「どこの工程が上手くいっているのか、いないのか」「チームの攻撃の特徴」が把握出来ると考えました。

この分析手法を基に、第11節終了時点でのジュビロ磐田を分析したいと思います。

「シュート成功率が高い」ジュビロ磐田

ジュビロ磐田のデータで目につくのが、「シュート成功率の高さ」です。シュート成功率は11.9%でリーグ5位。チャンス構築率が9.0%とリーグ12位と平均以下の数字なので、シュート成功率の高さが目立ちます。このシュート成功率の高さの要因になっているのが、「セットプレー」です。

「チャンス構築率が低くて、シュート成功率が高い」チームは、主に2つのパターンに分類されます。1つ目は、カウンターと呼ばれる、相手のボールを奪ってから少ない人数で素早く攻撃を仕掛け、ゴールを奪うのが得意なチーム。実はJリーグには、このカウンターが得意なチームがありません。Jリーグのチームで、「チャンス構築率が低くて、シュート成功率が高い」チームは、全てもう一つのパターンに該当します。

もう一つのパターンとは、「セットプレーで得点を奪うのが上手い」チームです。Football-Labのデータでは、セットプレーの回数も攻撃回数に含まれます。したがって、セットプレーからのシュートは、シュート成功率が高まる要因となっています。

ジュビロ磐田には、2017年シーズンから中村俊輔という特別優れたキッカーが加入しました。ジュビロ磐田は得点の53%をセットプレーから挙げており、中村加入の効果が現れています。また、ジュビロ磐田は間接フリーキックの1試合平均の回数が、3.9回でリーグ2位。出来るだけフリーキックの機会を与えない事が、試合を優位に進めるポイントだといえます。

ジュビロ磐田の被チャンス構築率は9.4%でリーグ9位。そして、被シュート成功率は7.6%とリーグ5位です。被チャンス構築率より被シュート成功率の方が低いということは、ゴール前の守備がよいということでもあります。ジュビロ磐田は守備時は5-4-1で守ります。DF5人で守る守備、そしてカミンスキーという素晴らしいGKがいることが、被シュート成功率を下げている要因だと思います。

ジュビロ磐田というチームをデータで分析すると、攻撃では「チャンス構築率が低くて、シュート成功率が高く、セットプレーが上手い」、守備では「チャンス構築率が低くて、被シュート成功率も低く、特にゴール前の守備がよいチーム」といえます。

ハイネルはレナトの穴を埋められるのか

第11節を終えて、川崎フロンターレのデータに少し変化がみられました。アルビレックス新潟戦はシュート8本で3得点を挙げた事もあり、チャンス構築率が10.8%、シュート成功率が10.5%と改善され、「チャンス構築率が高く、シュート成功率が高い」チームのエリアに分布されました。2016年まではこのエリアに分布されたので、ようやくデータ上では元通りになりつつあるともいえます。

なお、川崎フロンターレの被チャンス構築率は9.1%でリーグ6位と悪い数字ではありません。つまり相手に攻撃されても、シュートを打たせる回数は減らしています。ところが、被シュート成功率は8.8%でリーグ10位。被チャンス構築率よりは低い数字ですが、あまり良い数字ではありません。

数字上は普段通りに戻りつつありますが、前節対戦したアルビレックス新潟は直後に監督が交代したことからも分かるように、よい状態ではありませんでした。またACLで対戦したイースタンSCは力が落ちるチームでした。公式戦2連勝しましたが、まだチームがよい状態に戻りつつあるかは測りかねる。そんな状態だと思います。

僕がこの試合注目しているのは、ハイネルです。ハイネルは開幕してから様々なポジションで起用されてきました。ハイネルは、ボールを運ぶプレーは素晴らしいのですが、ボールを離した後、動きを止めてしまうという弱点をかかえています。

鬼木監督は、ハイネルの武器をチームで活かしつつ、プレーの改善を促すことを狙って、試合に起用し続けました。正直、ハイネルのプレーがよくなくて勝ち点を落とした試合もありますが、鬼木監督は我慢し続けました。鬼木監督が我慢し続けている理由は、2015年にレナトが移籍してからチームが抱えている、「ドリブルで相手の守備を崩せる」選手にハイネルがなれると考えているからだと思います。

川崎フロンターレは、2012年に風間監督が就任後、「受ける」「外す」動きに磨きをかけ、相手の守備をある程度までは崩せるようになりました。ところが、浦和レッズ、鹿島アントラーズ、ガンバ大阪といったチームといったチームの守備を崩そうとすると、どうしても「受ける」「外す」動きだけでは、ボールを相手陣内まで運ぶことは出来ても、相手の守備を崩す事がなかなか出来ませんでした。

そんな時に2015年までは、レナトがいたので、レナトのスピード、ドリブルで相手の守備を崩していました。ところがレナトがいなくなってからは、相手の守備を崩すパターンが減ってしまい、相手に対応されやすくなってしまいました。大久保が「攻撃のスピードが遅い」と嘆くようになったのは、レナトが移籍してからです。

鬼木監督はその事が分かっているので、ドリブルで相手の守備を崩せる選手を我慢強く起用し続けています。それがハイネルであり、長谷川です。2人とも、中央で起用したり、サイドで起用したり、適正を探りながら、我慢して起用し続けています。その理由は、2人ともドリブル時のスピードが早く、相手の守備を崩す力に長けているからです。そして、2人とも右でも左でも起用できるので、崩したいサイドを選ぶ事も出来ます。正直「なぜハイネルと長谷川を起用するんだろう」とも思う時もあるのですが、鬼木監督の狙いは理解出来ます。

ジュビロ磐田の守備は、5-4-1で守るので、中央から相手の守備を崩すのは簡単ではありません。だから、サイドから相手の守備を崩す武器を持っておかなければなりません。ジュビロ磐田のように守備時に守りをかためてくるチームに対して、ハイネルがどんなプレーが出来るのか、この試合のポイントです。

そして、ハイネルがそろそろよいプレーが出来なければ、チームは別の選択肢を考えなければなりません。ハイネルにとっては、結果は出しつつあるものの、結果を出し続け、チームでの居場所を確固たるものにするためには、残りの試合が勝負です。ハイネルがどんなプレーをするのか、注目したいと思います。

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