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川崎フロンターレの「カブの日」企画に学ぶプロモーション -問題が起こったほうがいい方向に向かう-

   

最近、川崎フロンターレのプロモーション企画が、注目を集めています。第16節の松本山雅FC戦では、「カブの日」と題して、カブトムシの採集、「インベスターZ」の三田紀房さん、株主優待生活で知られる桐谷さん、そしてカブトムシの飼育で知られる哀川翔さんのトークショーと始球式が開催され、20,000人近い観客を集めました。

この「カブの日」の主役は、川崎フロンターレの新しいマスコット「カブレラ」です。カブの形をしたこのマスコットが正式に川崎フロンターレの一員になったのは、2014年のことです。この「カブレラ」誕生には、問題や課題を成功の原動力にすら変えてしまう、川崎フロンターレのプロモーション部部長である天野さんの発想と行動力がありました。

そこで、ファン感謝デー限定で発売された、天野さんのエッセイ「カブ料理~カブレラ誕生から桐谷さんまでの約500日クッキング~」を題材に、企画の考え方、問題をいかに解決するかという点について、紹介したいと思います。

企業のキャラクターを自分のチームに移籍させる

当初、日興コーディアル証券のコンビニでの株取引をPRするキャラクターとして作られた「ピーカブー」。しかし、ピーカブーは等々力陸上競技場で川崎フロンターレのオフィシャルキャラクター「ふろん太」と常に一緒にいたので、サポーターも段々ピーカブーに対する愛着も高まり、じわじわと人気を得ていきます。

そこで、2007年にサービスは終了したものの、2012年までの4年間はキャラクターの使用許可を1年ごとに更新するという措置がとられていました。当然、サービスが終了したら、ピーカブーの登場も終了するはずなのは、当然のこと。しかも、キャラクターをデザインしたサンリオ、間に入っている広告代理店と権利関係が複雑に絡んでおり、イベントも打てないし、キャラクターも作れません。

悩んだ天野さんは、ピーカブーを川崎フロンターレに完全移籍させ、新たなプロモーションの柱とすることを思いつきます。普通ならキャラクターの移籍なんてありえないことですが、ありえないことだからこそ話題になる。そう天野さんは考えたのです。

当初のスケジュールとしては、2013年の秋までに権利譲渡を締結し、2014年1月の新体制発表会見で活動終了を発表し、その場で「NEWピーカブー」誕生を更に発表。2014年3月の開幕戦で新しい名前を発表するはずでした。しかし、権利関係が複雑に絡んでいたこと、前例がないことの承認を取る煩雑さと複雑さが絡んで交渉が難航。2014年の新体制発表記者会見時点でも、交渉はまとまりませんでした。

スケジュールの狂いをいかにチャンスに変えるか

当初のスケジュールに狂いが生じましたが、天野さんはこのピンチをチャンスに変えます。ピーカブーについては、新体制発表記者会見で「大きな変動がある」「悲しいものなのか、嬉しいものなのかは分かりません」と発表し、サポーターをやきもきさせ、次のアクションへの布石を打つことにしたのです。

そして、権利譲渡がまとまった後、ファン感謝デーを前に、「ピーカブー活動終了のお知らせ」をオフィシャルWebサイトに掲載。「ファン感謝デー」で「さようならピーカブー展」を企画し、過去に所属した川島、我那覇、鄭大世、アウグストといったOB選手のコメントを掲載。リアリティをもたせます。

そして、ファン感謝デーで「NEWピーカブー」を発表。川崎フロンターレに、慣れ親しんだ新しいキャラクターが誕生することになったのです。

スうまくいかない時こそ「いい方向に向かう」

天野さんは「問題が起こったら解決すればいい」「問題はチャンス」というレベルではなく、うまくいかない時こそ「いい方向に向かうんじゃないか」とすら信じているところがあるそうです。

以前、川崎フロンターレでは、「フロンターレ算数ドリル」を川崎市内の小学6年生全員に展開したいと思っていたけれど、予算がなくてそこまで作ることが出来ませんでした。しかし、2009年ヤマザキナビスコカップ決勝戦後の表彰時の素行が問題となり、準優勝賞金を地域貢献のために使用することになり、賞金の一部で、算数ドリルを川崎市内全域に配ることが出来ました。

今回のピーカブー展開も、スケジュール通りには全くいかなかったけれど、結果的には良い方向に転がりました。これは、僕自身も経験しているので、よく分かります。

「ピンチ」とか「炎上している」と周囲がいうような状況になればなるほど、結果的にはいい方向に向かっている気がします。ピンチだったり、炎上することによって、色んな人を巻き込んだ結果、巻き込んだエネルギーが企画に力を与えてくれる。そんな事があります。

もちろん、燃え尽きないようにコントロールはしなければならないのですが、山あり谷ありあったほうが、企画は上手くいくと僕は思います。

そして、山あり谷ありは演出するのではなく、一生懸命やることやってたら、自然とぶつかるものであるべきだと思います。自然とぶつかる山や谷だからこそ、人は苦しくても、なんとかしようと立ち向かうことが出来るからです。

無事にカブレラ誕生へと導いた天野さんは、カブレラを使ったプロモーションをいかに企画したのか。次回は、実際に企画した「カブの日」プロモーション立ち上げの裏話を紹介したいと思います。

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