nishi19 breaking news

スポーツでもっと楽しい未来を作る

書評「超「個」の教科書 -風間サッカーノート-」(風間八宏)

   

僕が社会人になったころの上司が、常々マネージャーの仕事とは以下の5点だと語っていました。

  • 仕事を作る
  • 仕事の方向付けを行う
  • 仕事の環境整備を行う
  • 仕事に必要な経営資源を獲得する
  • 仕事の成果に対する正当な評価を行う

Jリーグの監督の仕事ぶりを一人のファンとしてみていると、上記マネージャーとしての仕事をきちんとやっている人が少ないと感じます。僕がマネージャーとして良い仕事をしていると感じるのは、湘南ベルマーレのチョウ・キジェ監督、松本山雅FCの反町康治監督、サンフレッチェ広島の森保一監督、ガンバ大阪の長谷川健太監督、そして2017年シーズンから名古屋グランパスの監督を務めている、風間八宏監督くらいです。

僕が風間監督に注目したきっかけは、サッカーに対する考え方が他の監督と違うと感じたからでした。しかし、川崎フロンターレの戦い方を追いかけているうちに、風間監督はサッカーに対する考え方だけでなく、チームをマネジメントする考え方も、他の監督とは違うということが分かってきました。しかし、川崎フロンターレのサッカーが評判を呼ぶにつれて、風間監督のサッカーに対する考え方に注目する人はいても、マネジメントに注目した人はあまりいませんでした。しかし、風間監督は本当はサッカーに対する考え方より、マネジメントが面白い監督なのです。むしろ、マネジメントを追求した結果、今のサッカーに対する取組に行き着いたともいえます。

本書「超「個」の教科書 -風間サッカーノート-」は、風間監督のマネジメントに焦点をあて、「いかに個人の力を引き出すか」というテーマで風間監督の言葉をまとめた1冊です。

人を1人雇うことは、工場を1つ立ち上げるようなもの

僕は、本当に強い組織は、同じような事を考えをもっていたり、同じようなスキルを持っている人ばかりが集まっている組織ではないと思います。違うスキル、違う考え方といった個人が持っている特徴を最大限発揮し、個人が持っている特徴を組み合わせて、大きな力に出来る組織が、本当に強い組織だと思います。よく、「チームのために頑張れ」と語るマネージャーがいますが、それは弱い組織のマネージャーの言葉です。最初から組織の事を考えて行動している人は、組織に依存しています。

本当に組織の力で問題を解決したかったら、個人が出来る事を増やすしかありません。よく複雑な戦術や解決策を考える人がいますが、選手が実行できなければ、選手に実行する実力がなければ、それは机上の空論です。糸井重里さんは、「人を1人雇うことは、工場を1つ立ち上げるようなもの」と語っていたことがありますが、組織の力は個人の力の組み合わせでなりたっています。プレーヤーは自分の能力を最大限発揮すること、今ある能力をさらに伸ばすことに集中し、マネージャーはプレーヤーの能力を引き出し、最大限発揮できる環境を与えることなのです。

DFは相手の攻撃防ぐのが仕事、FWはゴール狙うのが仕事。それは最低限の役割。役割を疎かにしたら、ゲームは成り立たない。でも、組織として差がでるのは、個々がどれだけ役割以上の事が出来るかだよ。(中略)各々の垣根を超えて、自分の役割以上の仕事をする。それが俺の憧れるクラブの形だからね。

(達海猛)ジャイアントキリング第14巻#132より

チームのことなんて考えなくていい

僕が好きなエピソードがあります。イチローがシーズン210安打を打ったシーズン、ある負けた試合の後イチローがバスの出発を待っていたら、当時オリックスの監督だった仰木監督がバスに乗り込んできました。試合に負けて落ち込んでいるように見えたイチローに対して、仰木監督は「お前、今日の成績は?」と聞きました。イチローは「3打数1安打でした」と答えました。

すると、イチローの言葉を聞いて、仰木監督はこう返したそうです。「3打数1安打なら落ち込む必要はない。なんでもっと喜ばないんだ」と。

そして、こう続けたそうです。

お前はヒットを打つことだけを考えればいい。試合に勝たせるのは監督の仕事だ」と。

風間監督は川崎フロンターレの監督に就任した直後、中村憲剛に対してこう語ったそうです。

チームのことなんてかんがえなくていい

当時の中村憲剛は、風間監督の目には「自分のことよりチームの事を優先するあまり、持てる力を発揮できていない」と考えていたそうです。そして、風間監督は中村憲剛にこう語ったそうです。

「お前が100%の力を発揮できるチームを作る」と。

チームってのは、個の力が集まって初めて形になる。個の力を伸ばすてっとり早い方法、それはズバリ、チームがゲームに勝つことだよ。じゃあ、どう勝つか。自分の働きでチームを勝たせる。全員がその感覚を持って戦えれば、おのずと勝利は近づいてくる。

(達海猛)ジャイアントキリング第18巻 #170より

本書は、サッカーに限らず、サラリーマンにも役に立つ考え方がわかりやすく説明されています。ぜひ多くの人に読んで頂きたい1冊です。

 - , , , , ,