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壁を壊す快感。書評「情熱のシェフ-南仏・松嶋啓介の挑戦」(神山 典士)

   

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何気なく図書館の書棚にあったので手にとったのですが、面白くて、一気に読み終えてしまいました。

本書「情熱のシェフ-南仏・松嶋啓介の挑戦」は、フランスでミシュランの星を獲得した松嶋啓介シェフが、いかにして現在の成功を手にしたのか。その軌跡をまとめた1冊です。

人並み外れた努力と周囲の人々の支え

本書で描かれる松嶋さんは、意地悪く表現すれば「典型的な成功者」としての道のりを歩んでいる人物として描かれています。エネルギーを持て余していた少年時代、料理の道を志し一心不乱に突き進む日本での修行時代、フランスに渡り、経験を積んだ後、ふとしたきっかけからフランスで店を出し、数々の困難を乗り越えて、ミシュランの星を獲得・・・。といった具合です。

松嶋さんが成功を収められた理由は、2つあります。

1つ目は、人並み外れた努力です。フランスの言葉を覚え、文化を学び、ワインの知識を蓄え、生産地を訪ねる。時には高級店を食べ歩くなど、仕事をしていない時間も使って獲得した経験と知識が、松嶋さんの成功を支えています。

2つ目は、周囲の人々の支えです。家族、友人、修行したお店の人の支えが合ったからこそ、松嶋さんの成功があるのです。もちろん、周囲の支えは彼の人並み外れた努力に基づいたものだということも、忘れてはいけません。

料理人ほど大変な職業はない

「料理の旅人」という本を読んだ時も感じましたが、料理人ほど大変な職業はないのではないかと思う時があります。朝は早く、夜は遅い。その上、仕事中はずっと立ちっぱなし。質のよいサービスを提供するために気を配るべきポイントは無数にあり、努力を怠ればたちまち客足が途絶えてしまう。その上、決して大儲け出来る仕事ではありません。お金だけを求めたら、とてもやっていけない仕事です。

上質なエンターテイメント

本書を読み終えた後の感覚は、矢沢永吉の「成り上がり」や、中田英寿の「鼓動」や、藤田晋の「渋谷ではたらく社長の告白」に似ています。ヒリヒリしていて、心の底からエネルギーが沸き上がってくる感じと言えばいいのでしょうか。

こういう感覚を覚える書籍に共通しているのは、「壁を壊していく」人物とそのエネルギーを描いている点です。壁の前で立ちすくんだり、壁の存在を嘆いている僕のような人間にとって、1人の人間が自分の力で壁を壊していく姿は痛快であり、上質なエンターテイメントでもあります。

だからこそ、僕は本書の続編を希望します。
矢沢永吉は「アーユーハッピー」、中田英寿は「誇り」、藤田晋は「起業家」という続編を出しました。
いつの日か、本書の続編が読めることを楽しみにしています。

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