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書評「残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日」(飯尾 篤史)

   

川崎フロンターレのキャプテンを務め、チームの顔として、サポーターはもちろん、サッカーファン、多くの川崎市民に知られる存在となった中村憲剛。中村憲剛が人生でもっとも悔しい試合として挙げるのが、2010年南アフリカワールドカップ、ベスト16で対戦したパラグアイ代表との試合です。この試合に途中出場した中村憲剛は、チャンスに積極的なプレーが出来ずに無得点。日本代表もPK戦で敗れ、ベスト16で敗退してしまいます。

ワールドカップの悔しさは、ワールドカップでしか晴らすしかない。そう考えた中村憲剛は、2014年のブラジルワールドカップで日本代表に選出され、あの悔しさを晴らそうと考えますが、中村憲剛に待ち受けていたのは、今までにない高い高い壁でした。そして、ギリギリでのワールドカップメンバー落選。波乱万丈の4年間でした。

中村憲剛が、波乱万丈の4年間といかに向き合い、苦悩しながらも、前を向いて、這い上がってきたのか。本書「残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日」は、2010年から2014年までの4年間の中村憲剛の戦いを、詳しくまとめた1冊です。本書を読んでいると、中村憲剛の横に自分が立って話を聞いたり、追体験しているような気分になります。

高い壁にぶつかって、それを乗り越えたと思ったら、今度は落とし穴に落っこちて、そこから這い上がる。

ワールドカップメンバーの落選を振り返って、中村はこんなことを語っています。

やっぱり、これが中村憲剛の人生だなって。高い壁にぶつかって、それを乗り越えたと思ったら、今度は落とし穴に落っこちて、そこから這い上がる。その繰り返し。でも、そういう経験をバネにして、自分で未来を手繰り寄せてきたから、今後もそういうふうになるのかなって気がしてる。だからね、未来は常に明るいんですよ。楽観的なのが救いです。

この言葉に、中村憲剛というプレーヤーへの魅力が全てつまっている気がします。中村憲剛の魅力は、高い壁にぶつかっても、常に自分で考え、努力し、這い上がろうとする姿勢です。そして、たとえその過程で落とし穴に落ちたとしても、這い上がろうとする事を止めません。這い上がる過程で愚痴は言うかもしれませんが、人のせいにしたり、人を責めたりすることもありません。だから、多くの人々が、中村憲剛を支持するのだと思います。本書を読んでいて、改めてその事を感じました。

僕は楽しそうにプレーする中村憲剛が観たい

本書の内容からは外れますが、僕は最近の中村憲剛のプレーは、観ていて面白くありません。中村憲剛が、チームのために、DFライン近くでボールを受けたり、守備をしたりするのは悪いことではありませんが、僕が観たいのは、ゴール前で、人には思いもつかないようなアイディアと技術で、相手の逆をとり、味方の得点を演出する中村憲剛です。後ろでボールをさばいているだけの中村憲剛なんて、観たくありません。

僕は、中村憲剛が楽しそうならそれでいいです。なぜなら、中村憲剛が楽しそうにプレーしているということは、チームが良いプレーが出来ているということでもあるからです。2016年シーズンも終盤にさしかかり、タイトルが欲しいのだと思いますが、緊張感のある試合が続くからこそ、楽しんでプレーして欲しいと、僕は思います。

中村憲剛の前向きな姿、サッカーにひたむきに向き合う姿は、多くの人を勇気づけてくれるはずです。そんな事を改めて感じた1冊です。ぜひ読んでみてください。

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