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忘れてはならないのはライブドア事件ではなく、LINEに受け継がれた「インターネットで世界を変える」という意志だ。書評「社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話」(小林 佳徳)

      2014/10/04

Amebaブログを運営するサイバーエージェントのミッション・ステートメントの1つに、こんな言葉があります。

ライブドア事件を忘れるな

2006年1月16日、証券取引法違反の容疑により、六本木ヒルズ内のライブドア本社および堀江貴文の自宅・新宿の事業所などが東京地検による家宅捜査を受けました。

当時、ライブドアの社長だった堀江貴文と4名の役員は逮捕。前年の近鉄バファローズの買収への名乗り、ニッポン放送の株式取得など。インターネットサービスを作り、そこで得たお金を元に、リアルのビジネスの仕組み自体を変えようとする堀江さんとライブドアという会社が持っていたパワーに、よくも悪くも世間は魅了されていきました。僕もその1人でした。だからこそ、ライブドアに起こった事件に、僕は大きな衝撃を受けました。

ただし、ライブドアという会社の実体については、「ライブドアの事業は虚業」「拝金主義のホリエモン」といった言葉ばかりが取り上げられ、実際に働く人はどのような事を考え、どんなサービスを作っているのか、全くといっていいほど、紹介されませんでした。

当時、激動の渦の中にいたライブドアの社員は何を考えていたのか。どんな体験をしていたのか。そして、ライブドアという会社はどんな会社だったのか。当時の社員の手によって語られた1冊が、本書「社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話」です。

多くの写真と記録に基づいた回想

本書は、ライブドア事件当日の回想から始まり、自身のライブドアでの仕事を通じて、ライブドアがどんな会社だったのか、どんな人々が働いていたのか、著者がどんな体験をしたのかが詳しく紹介されています。

とにかく凄いのが、本書に掲載されているライブドアに関する写真です。2003年当時のエッジ(ライブドアの旧称)の採用ページのキャプチャ、社員旅行の堀江さんの写真、過去のライブドアの採用サイトの写真やセミナーの写真、移転後のオフィスの写真、などなど。たぶん著者が保管していたのだと思うのだが、よくここまで多くの資料を保管していたと感心します。

過去のサービスについても、詳しく紹介されていて、著者がいかにライブドアでの仕事に対して、熱い思いを持って取り組んでいたのか、伝わってきます。

ライブドアがやろうとしていたこと

僕なりにライブドア事件を振り返ってみると、ライブドアがやろうとしていたことは、端的に言うと、「インターネットで世界を変える」ことでした。インターネットで世界を変えるためには、今現在当たり前になっているルールを変える、と言う事も意味します。

当然、「当たり前のルール」を作った人にとっては、自分たちにとって都合のよいルールを壊されたくはありません。ライブドアはそこに真正面から切り込んでいきました。そこが人々の支持を集めた理由であり、ライブドア事件が起こった理由なのだと思うのです。

「インターネットで世界を変える」という意志

昨年公開された「風立ちぬ」という映画は、第二次世界大戦中に零戦を作った堀越二郎が、自分の持てる力を尽くして、美しい飛行機を作ろうとする姿を描いた映画でした。堀越二郎は、自分の作った飛行機が戦争の道具として使われることは分かっていましたが、それでも力を尽くして、美しい飛行機を作ろうとします。

ライブドアの中で働いていた人々も、力を尽くして生きていました。「インターネットで世界を変える」。六本木ヒルズのオフィスで寝泊まりしながら、誰も作ったことがない、誰もが使ってみたいサービスを作るために、日々
力を尽くして生きていたのだと、本書を読んでよく分かりました。

意志は受け継がれる

ライブドア時代には、「インターネットで世界を変える」サービスを作ることは出来ませんでしたが、2011年6月、ライブドアを買収したNHN JAPANは、「LINE」という無料通話アプリを発表。2014年4月現在で4億ユーザーを突破するサービスへと成長を遂げました。「LINE」のサービス品質を支えているのは、ライブドア時代から培ってきた技術力だと言われています。ライブドアの「インターネットで世界を変える」という意志は、LINEに受け継がれているのです。

また、本書には2014年8月現在のライブドア出身者がどんな企業に在籍しているか、紹介されています。LINEだけではなく、gumi、Twitter、Gree、ハフィントン・ポスト、ロケットスタート(nanapiを運営)、などなど。面白いサービスを提供している会社の多くに、ライブドアの出身者が在籍していることがよく分かります。ライブドアという会社が目指した「インターネットで世界を変える」という意志は、出身者に脈々と受け継がれているのです。

本当に忘れてはならないのは、ライブドア事件ではなく、ライブドアという会社と社員が目指した「インターネットで世界を変える」という意志なのだ。

本書を手にとった人なら、そんな事を感じてもらえると思います。

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