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書評「「ない仕事」の作り方」(みうらじゅん)-好きな仕事をする方が、時間と手間がかかる-

   

「ない仕事」の作り方

デビューして今年で35年、「仏像ブーム」を牽引してきた第一人者であり、「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親としても知られるみうらじゅん。とはいえ、「テレビや雑誌で、そのサングラス&長髪姿を見かけるけれど、何が本業なのかわからない」「どうやって食っているんだろう?」と不思議に思っている人もいるとおもいます。

本書「「ない仕事」の作り方」は、それまで世の中に「なかった仕事」を、企画、営業、接待も全部自分でやる「一人電通」という手法で作ってきた「みうらじゅんの仕事術」を、アイデアの閃き方から印象に残るネーミングのコツ、世の中に広める方法まで、過去の作品を例にあげながら丁寧に解説した1冊です。「好きなことを仕事にしたい」、「会社という組織の中にいながらも、新しい何かを作り出したい」と願っている人たちに贈る、これまでに「ない」1冊です。

「マイブーム」「量を集める」「人を説得する」

本書に書かれている「ない仕事」の作り方は、3つの手順に分類されます。

まずは、「マイブーム」を見つけること。自分にとって、好きなこと、気になることを見つけることから全てが始まります。次に、「マイブーム」に、ネーミングを考えます。「ゆるキャラ」「いやげ物」といったネーミングをつけることで、「マイブーム」が「自分だけのもの」ではなく、人にとって価値があるものになります。ネーミングを考える時、「ゆる」「いやげ」といった、マイナス要素をあえて加えるのがポイントです。

そして、ネーミングをつけたら、徹底的に量を集めます。量を集めることで、まずは自分自身を「好きだ」と洗脳していくのです。そして、量は他人からの興味を引くのに効果的です。なぜなら、人は目から情報を判断するので、量が多いと、その「マイブーム」に価値があるのではないかと、判断するからです。

最後に、自分で決めた価値と、徹底的な量をもとに、人を説得します。時には、酒の力を借りることもあります。自分にとって「価値がある」と思っていても、人にとってはわけわからないものであることは、変わりません。少しでも理解者を増やすためには、まず目の前の人を説得することが出来なければ、「マイブーム」が「ブーム」になることはありません。こうして、「ない仕事」が「仕事」になっていくのです。

「ない仕事」を作る「高城剛」

本書を読んでいて思い出したのは、高城剛の仕事の仕方です。高城剛は、「私の名前は、高城剛。住所不定、職業不明」という本を出していますが、この人も「ない仕事」を「仕事」にしてきた人です。

最近の高城剛は「人生を変える南の島」シリーズという本を出しています。「南の島が好きな自分」という「マイブーム」を発見し、「人生を変える南の島」というネーミングをつけた後、「世界中の南の島を回る」と決めて、徹底的に南の島をまわり、圧倒的な量を集めたあと、書籍という形でアウトプットします。元々高城剛にはフォロワーがいるので、本を読んで南の島を目指す人が現れる、というわけです。高城剛の仕事の仕方が、本書を読んでいてよく理解できました。

「ない仕事」を作るには、時間と手間がかかる

本書は2つの事を教えてくれます。1つ目は、「好きなことを仕事にする」ために必要な具体的な手順です。「好きなことを仕事にする」ことがよいとはよく言われますが、具体的な手順について書かれている書籍は、ほとんどありません。そして言い換えると、本書からは、「市場調査からは、新しい物は生まれない」ということを教えてくれます。

2つ目は、「好きなことを仕事にする」には、時間と手間がかかるということです。特に、徹底的に量を集め、価値を作り、アウトプットするには、それなりに時間が必要です。安易に「好きなことを仕事にする」という人がいますが、むしろ「好きなことを仕事にする」方が大変なのだということも、本書は教えてくれます。

ちなみに高城剛は、「7年単位で計画を立てるべき」と、メールマガジンで繰り返し伝えています。むしろ、嫌いなことを仕事にするほうが、時間と手間をかけずに、お金をもらう事が出来ます。好きなことを仕事にしたければ、時間と手間を惜しんではならないということは、理解している人は多くない気がします。

本書に書かれていることは、今すぐ目の前の仕事に応用できるわけではないと思います。ただ、これから「好きなことを仕事にしたい」人にとっては読んで損はない1冊です。

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