「不安」と「寂しさ」の付き合い方。書評「愛さなくてはいけない ふたつのこと -あなたに贈る人生のくすり箱 -」(松浦弥太郎)

2015/10/28

誰の心にも必ずある「不安」と「寂しさ」。この「ふたつのこと」に、どのように付き合っていくべきなのか。本書は、「暮しの手帖」の編集長を務める松浦弥太郎が、自分の中の「不安」や「寂しさ」との付き合い方について、書いた1冊です。

認めてほしいあなたに

「こんなに頑張っているのに、認められない」そんな想いを抱えたことはないでしょうか。僕もその一人です。さまざまな職場で、よく耳にする悩みだと思います。

著者は「人間として認められることと、仕事について認められるのは、別の問題」であり、「仕事で認められるには、結果を出さなければならない。厳しくても、これが仕事のルール」と語ります。その上で、著者は「会社は認めていない人間を雇用したりしない。給料を払う価値があると認めているから働いてもらってる」と語ります。

そう思うだけで、「認められない不安や寂しさ」は、大分なだめられるのではないのでしょうか。

失敗を恐れるあなたに

失敗を恐れる人に向けて、著者は2冊の本から教えてもらったことを、紹介しています。
1冊目は辰巳芳子さんの「庭の時間」。保存食作るにあたって、辰巳さんは以下の4点が重要だというのです。

先手、段取り、用意周到、念入り

とにかく先手を打ち、常に後手にならないように気をつけ、物事を進めていく計画を自分で立てて、丁寧に仕上げていく。これを心がけるだけで、著者は「失敗したたらどうなるんだろう?」という漠然とした不安は消えていく、と語ります。

2冊目は、色川武大さんの「うらおもて人生録」。この本には人生について、こんなことが書かれているそうです。

八勝七敗なら上々。九勝六敗なら理想。
一生が終わってみると、五分五分というところが、
多いんじゃないかな。

ちなみに武川さんは「圧勝は、別口で圧敗を招く」とも言っています。八勝七敗なら勝ち越してます。長く続けていくくらいなら、負けがあるくらいの方がちょうどよいというわけです。「失敗は起こる」。その事を肝に銘じた上で気をつけたいのは、「失敗への不安と寂しさに負けて、なにひとつ行動しないこと。」です。

なにもかも不安なあなたに

得体のしれない不安と寂しさと、どう付き合うべきか。著者は「今日を一生懸命に生きること」で対処できるといいます。では、一生懸命生きていくにはどうしたらよいのか。著者は、尊敬する編集長に聞いてみたそうです。その尊敬する編集長は、以下のように語ったそうです。


まず、我慢すること。
それからプライドを捨てること

我慢とは、人を受け入れることなのだそうです。相手の話を聞いて、受け入れる。自分を抑える、ということでもあります。我慢とは、逃げないことでもあります。編集長とは、非難や批判を真っ先に浴びる立場です。我慢できなければ、とても務まりません。

プライドを捨てること、とはどういうことなのか。それは、「自分を守ろう、誰かに自慢しよう、相手を打ち負かそう」という鎧を捨てることです。人を説得するまえに、まずは自分自身が納得しているのか。そして、自分自身が納得していれば、自分自身を守る必要はないというのです。

本書には、紹介した以外にも様々な「不安」と「寂しさ」との付き合い方が書かれています。
「不安」や「寂しさ」が大きくなった時、本書を開く。副題にも書かれていますが、「くすり箱」のような1冊です。

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