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ある本と併せて読むことで浮かび上がる「メディア」の姿。書評「MEDIA MAKERS」(田端信太郎)

      2014/04/21

ようやく読みました。

本書「MEDIA MAKERS」は、「LINE」、「livedoorニュース」、「R25」など数々のメディアビジネスを経験した著者が、メディアの成り立ちから影響力の正体を解き明かした1冊です。

読んでいて思い出した「情報の文明学」

本書に書かれている各テーマは、それぞれ簡潔に、分かりやすくまとまっています。しかし、僕自身は読みながら、「何かの本で、同じような内容を読んだことあるな」と感じていました。しばらく何の本か思い出せなかったのですが、ある時ふと、本書が何の本に似ているのか思い出しました。

それは、「情報の文明学」という本です。「情報の文明学」は、梅棹忠夫が1960年代に情報産業社会の到来をいち早く予告し、無限の可能性と将来性について言及した1冊です。ほぼ日刊イトイ新聞では「ほぼ日の父」と呼ばれています。

現代は「情報産業の時代」

例えば、現代という時代について、「情報の文明学」と「MEDIA MAKERS」では、それぞれ以下のように書かれています。

なんらかの情報を組織的に提供する産業を、情報産業とよぶことにすれば、
放送産業というものは、まさにその情報産業の現代におけるひとつの典型である。
放送産業は、そのすみやかな成長ぶりで目をみはらされたけれど、かんがえてみれば、情報産業は放送だけではない。
新聞雑誌をもふくめて、いわゆるマスコミという名でよばれるものは、すべて情報産業に属する。
現代をマスコミの時代とよぶことができるならば、現代はまた、情報産業の時代といってもいいかもしれない。

(「情報の文明学」より)

そして今や、個人・法人を問わず「誰もがメディアになり得る」時代、「情報爆発時代」になりました。
この2012年にインターネット上に自社のサイトを持たない企業は、ほぼないでしょう。
新たに商品のプロモーションを展開すれば、
それ毎にキャンペーンサイトやフェイスブックページ、
ユーチューブチャンネルなどが立ち上がります。

(「MEDIA MAKERS」より)

現代は「情報産業の時代」

情報産業(メディア)がもたらす影響について、「情報の文明学」と「MEDIA MAKERS」では、それぞれ以下のように書かれています。

工業の時代のはじまりとともに、人類は価値のあたらしい基準を発見したように感じた。
工業は人間の環境をかえ、制度、組織をかえた。それは価値の大転換をもたらした。
しかし、それはほんとうに大転換であったのかどうか。
それは単に、情報という、より根源的な価値転換の先駆形態であったのかもしれない。
あたらしい時代において、情報は人間の装置、制度、組織に、いっそう根本的な変革をもたらすであろう。
人間はそのときにこそ、根本的な価値の大転換を経験することになるであろう。

(「情報の文明学」より)

さまざまなビジネス上の生態系をもとに産業の垣根ができていたわけですが、
クラウドのインフラ上では、あらゆる境界線が溶けてなくなりつつあります。
そんなじょうきょうでは、メディア企業と事業会社や広告主の境界線も消失しつつあります。
(中略)
さらに、プロとアマチュアの境界線も、
例えば、大学と書店とコンサルティング会社とビジネス・カンファレンス業と、
専門出版社の境目すら消えつつあるわけです。

(「MEDIA MAKERS」より)

言い回しは違いますが、同じようなメッセージが書かれていることが、抜粋した文章からも伝わってきたかと思います。乱暴な言い方かも知れませんが、「情報の文明学」で書かれたことを、現代の視点で書いたのが、本書「MEDIA MAKERS」だと、僕は感じました。

併せて読みたい「情報の文明学」と「MEDIA MAKERS」

本書を読むと、メディアという業態の波の高さは、知ることは出来ます。しかし、波を生み出している、”潮の流れ”を知りたいと思った方がいたら、「情報の文明学」も併せて読むことをお勧めします。読んでみると、26年前に発売された本と本書が、1本の線でつながっているような感覚を覚えるはずです。

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