2017年J2第12節 モンテディオ山形対名古屋グランパス プレビュー「データから読み解く両チームの攻撃」

2017年J2第12節、名古屋グランパスの対戦相手はモンテディオ山形です。

攻撃を読み解くデータ「チャンス構築率」と「シュート成功率」

先日、Football-LABに「サッカーの「攻撃」を分析するためにチェックすべき2つのデータとは?」という記事を寄稿させて頂きました。Football LABには、「攻撃」を分析する時に真っ先に参考にすべきデータが掲載されています。それは、「チャンス構築率」と「シュート成功率」です。

「チャンス構築率」とは、「シュート数」を「攻撃回数」(ボールを保持してから相手チームに渡る、もしくはファウルやボールアウトで試合が止まるまでの間を1回の攻撃とする)で割った数字です。保持したボールを、相手陣内に効率よく運び、シュートチャンスを作り出しているチームは、チャンス構築率が高くなります。

「シュート成功率」は、ゴール数をシュート数で割った数字です。「シュート成功率」が高いチームは、得点出来るシュートチャンスを作り出すのが上手いチームともいえます。

攻撃はボールを持ってからシュートチャンスを作るまでの工程「ビルドアップ」と、作ったシュートチャンスを成功させる工程「得点する」の2工程に分かれます。それぞれの工程の精度を成功率を基に分析すると、「どこの工程が上手くいっているのか、いないのか」「チームの攻撃の特徴」が把握出来ると考えました。

この分析手法を基に、第11節終了時点での名古屋グランパスの攻撃を分析したいと思います。

予想に反して低かった「チャンス構築率」

第11節終了時点での名古屋グランパスの攻撃を分析していて興味深かったのは、チャンス構築率がリーグ平均を下回っていた事です。名古屋グランパスのチャンス構築率は8.7%でリーグ14位。この数字は、パスをつないで攻撃するチームの数字でありません。一方、シュート成功率は13.4%で2位。「チャンス構築率が低くて、シュート成功率が高い」チームに分類されています。

J1だと、「チャンス構築率が低くて、シュート成功率が高い」チームは、セットプレーで得点が多かったり、カウンターでの攻撃を得意としているチームが多かったのですが、J2だとパス本数リーグ1位を記録しているFC岐阜も同じエリアに分布されているので、少し違うようです。同じエリアには、セットプレーでのゴールが70%以上を占める、V・ファーレン長崎や、30mライン侵入回数がリーグ18位ながら、シュート成功率9.9%とリーグ8位につけるカウンターを得意とするロアッソ熊本のようなチームも分布されています。しかし、FC岐阜と名古屋グランパスが分布されているということは、このように考えられます。「パスはつなぐけど、なかなかシュートチャンスを作れない」チームも、「チャンス構築率が低くて、シュート成功率が高い」のではないか、と。

名古屋グランパスのデータを掘り下げていくと、シュート成功率がリーグ2位という数字からも、シュートチャンスを作れれば、ゴール出来る可能性が高いという事が分かります。セットプレーによる得点が全体の30%以内で、セットプレーに頼って得点を挙げているチームではありません。問題は、いかにしてシュートチャンスを作り出すかです。名古屋グランパスの数字を掘り下げていくと、30mラインの侵入回数は37.9回でリーグ8位。この数字から、ボールを奪い、攻撃を組み立てていても、なかなか相手陣内にボールを運べておらず、相手を自陣に押し込む事が出来ていないという事が分かります。

一方、「シュート成功率」13.4%という数字は悪い数字ではありません。この数字からは、シュートが成功する確率が高いシュートチャンスを作れていること、そして作り出したシュートチャンスを確実に決める選手がいるということが分かります。永井シモビッチフェリペ・ガルシアのシュート成功率は、25%、23.5%、30.7%と悪い数字ではありません。(京都サンガFCの田中マルクス闘莉王、V・ファーレン長崎のファンマといった40%超えの成功率を記録している選手がいますが、例外だと思って良いと思います。)

J1だと、30mラインの侵入回数の上位は、川崎フロンターレ、鹿島アントラーズ、浦和レッズといった、「相手を押しこんで攻撃できる」サッカーを実践しているチームです。今後名古屋グランパスのサッカーの質が高まってくれば、「チャンス構築率」と「30mラインの侵入回数」の数字が向上してくるのではないかと思います。

モンテディオ山形は「チャンス構築率が低くて、シュート成功率も低い」

今節対戦するモンテディオ山形は、チャンス構築率7%、シュート成功率8.3%と「チャンス構築率が低くて、シュート成功率も低い」チームです。ただデータを読み解くと、攻撃回数は140.9回でリーグ4位、ボール支配率は49.7%でリーグ9位を記録していることから、ボールを保持する機会は多く作れています。問題はボールを保持した後、シュートチャンスを作れていない事です。

30mライン侵入回数は35.8回でリーグ12位ですが、名古屋グランパスとの差は2回しかありません。モンテディオ山形には、シュート9本で3得点を挙げている瀬沼というストライカーもいるので、保持したボールをどのようにゴール前に運ぶか、そしてどうシュートチャンスを作り出し、シュート成功率の高い選手に打たせるか、この3点に課題を抱えているチームだといえます。

名古屋グランパスとしては、モンテディオ山形よりボールを長く保持したいはずです。モンテディオ山形はシュートチャンスを作り出す事に課題を抱えているので、名古屋グランパスがボールを保持する時間が長いほど、シュートチャンス自体が減り、失点のリスクも減るはずです。いかにボールを相手ゴール方向に運び、相手を自陣に押しこんだ上でプレー出来るか。その回数と時間が多いほど、名古屋グランパスにとって優位な試合になるはずです。どんな試合になるのか、楽しみです。

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