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書評「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(森岡 毅,今西 聖貴)-ビジネスで勝てる戦いをするために必要な考え方-

   

NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」という番組で、マーケッターのプロフェッショナルとして特集されたのが、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの森岡毅さんです。ワンピースやモンスターハンターなど映画以外のコンテンツを取り入れた試み、ハローウィンイベントの実施、ファミリーエリアの建設、後ろ向きに走るジェットコースターなど、様々な新規プロジェクトを実施し、成功を収めてきました。

極めつけは、2014年7月にオープンした、「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリーポッター」です。ハリーポッターの大成功により、2010年に730万人だった年間来場者数が、2015年度には1,390万人にまで増えました。5年間で毎年100万人以上集客を増やし続けてきた計算になります。森岡さん自身が導き出した、成功確率は98%。驚異的な数値です。

森岡さんは、いかにしてマーケッターとして驚異的な成功を収めてきたのか。成功の秘訣には、マーケティングの知識、アイディアを生み出すノウハウだけでなく、アイディアとマーケティングの知識を裏付ける、数学的なフレームワークの活用がありました。本書「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの森岡毅さんとアナリストの今西聖貴さんがいかに数学的なフレームワークを活用して、勝ち続けてきたのか。様々なアイディアのメリットを、いかに裏付けていったのか。事例を交えて詳細に紹介している1冊です。

勝てる戦いを探す方法

森岡さんは、自身は不思議な魔法を使っているのではなく、「勝てる戦いを探しているだけ」と語っています。勝てる確率の低い戦いは出来るだけさけて、勝てる確率の高い戦いを選ぶことが大切だというのです。その上で、森岡さんは「ビジネス戦略の成否は「確率」で決まっている。そしてその確率はある程度まで操作することが出来る」と語っています。ビジネスの局面には、本質的に共通している「法則」があり、数学的に証明できていることや、数式で導き出される有力な仮説など、すでにわかっていることもたくさんある。導かれた結論であるそれらの法則を理解しているだけで、成功確率が高い戦略をつくれるようになるというのです。

市場構造を決定づけているのは消費者の「プレファレンス」

森岡さんは、自分が戦う市場がどんな構造で成り立っているか理解することが第一だと語っています。森岡さんによると、市場構造を決定づけているのは消費者の「プレファレンス」だそうです。「プレファレンス」とは、消費者のブランドに対する相対的な好意度(好み)のことで、主にブランド・エクイティ、価格、製品パフォーマンスの3つによって決定されています。プレファレンスが市場構造を支配するのは、小売業者も、中間流通業者も、製造業者も、最強の存在である最終購買者(消費者)に従わざるを得ないからです。この「プレファレンス」が高いものが高頻度で購買されます。したがって、企業が経営資源を投下して最大化すべきは、この「プレファレンス」だというわけです。本書は、アイディアを基に、いかに「プレファレンス」が高まるのか、そして購買につながる確率がどのくらいなのか、成功を収めるための数値を導き出す方法が、数式の使い方も交えて、詳しく説明されています。極めて実践的な書籍です。

勝てる戦いを論理的に組み立てているか

本書で語られていますが、マーケティングという仕事は、とても論理的な仕事だと思います。決して、勘やアイディアだけで成立する世界ではありません。求めたい成果があり、成果を達成するために逆算して、必要な施策を決定する。極めて論理的な仕事です。しかし、日本では勘やアイディアによって、何かが変わるという点ばかりが注目されていて、マーケティングの本質的な論理的な考え方が、抜け落ちている気がします。

本書のように、マーケティングの本質を事例も交えて紹介してくれる書籍は、なかなかありません。マーケティングの仕事に関わる人だけでなく、お店で商売している人、セールスの人、様々な役職、仕事の人に役に立つ1冊だと思います。ゴールから逆算して、何をどうすべきか。極めて論理的に考える助けになってくれる1冊です。

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