Keep walking.Don`t settle.書評「裸でも生きる2」(山口絵理子)

2013/08/28

裸でも生きる2 Keep Walking私は歩き続ける (講談社BIZ)

最近、”社会起業家”という言葉を耳にするようになりました。途上国の発展に貢献するビジネスを展開する企業の先駆者的な存在が、本書の著者であるマザーハウスの山口絵理子さんです。

「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という哲学を実現させるために2006年に設立された、バッグメーカー/マザーハウスは、現在国内11店舗を構えるだけでなく、台湾にもお店を構え、バングラディッシュだけでなく、ネパールの生地を使ったバッグ作りも行っています。

「裸でも生きる」は、著者の生い立ちからマザーハウス設立までのエピソードを紹介した書籍ですが、本書「裸でも生きる2」は、マザーハウス設立から2009年までの出来事をまとめた続編です。

マザーハウスが支持される理由

マザーハウスというブランドが徹底していることが3つあります。

1つ目は「何でも自分たちでやる」ということです。例を挙げると、マザーハウスは店舗を作るときの内装工事を、業者に依頼せずに自分たちで行います。自分たちで内装工事を行うのは、費用を節約するためでもありますが、自分たちでお店を作ることで、社員に店舗への愛着をもってもらえるからというのも、内装工事を自分たちで行う要因なのだそうです。自分たちで何でもやることは手間がかかり、必ずしも効率的ではないかもしれませんが、効率的でないからこそ得るものをマザーハウスというブランドは大切にしているのです。

2つ目は「自分たちがやった事を公開する」ということです。マザーハウスにはブログがあり、著者と店舗のブログはほぼ毎日更新されています。特に著者のブログには、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」ということがいかに大変なのかということが、文章からも伝わってきます。また、ブログを読んだ読者が著者の行動に共感した人が、マザーハウスのバッグを購入することで、ブランド価値を高めてきました。

3つ目は「ブランドをお客様と一緒につくる」ということです。今までのブランドとお客様の関係は、ブランドが提示する商品を一方的にお客様が買い求め、消費するだけでした。しかし、マザーハウスとお客様の関係は違います。マザーハウスの活動に共感した人がブランドを支持することで、ブランドを成長させてきました。つまり、「ブランドをお客様と一緒につくってきた」といえます。

これら3つのポイントが、マザーハウスが支持されている理由なのです。

成功するまで諦めない

ただし、マザーハウスが実践している「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という哲学を実現させるのが簡単ではないということは、本書を読めば分かります。突然の工場からの立退き、信頼していたパートナーからの裏切り、新たな可能性を求めて進出したネパールでの脅迫事件など、マザーハウスの哲学の前には、これでもか、これでもかという程の量の現実が襲ってきます。

しかし、どんなに困難があっても、著者をはじめとするマザーハウスのメンバーは諦めませんでした。それは、バングラディッシュでバッグを作るメンバーも同じです。困難に打ちのめされそうになっても、諦めずに解決策を必死で探し、最終的には解決策を見つけ、問題を解決してみせる。倒れそうになっても立ち上がり、最後には素晴らしい結果をおさめる姿をみせてきたからこそ、お客様の支持を集めるブランドに成長することが出来たのだと思います。

マザーハウスの哲学を実現させるための活動は、現在進行形です。
本書を読み終えると、著者の挑戦に勇気をもらえるだけでなく、「自分も何か出来ないか」と考えさせられます。

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