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書評「「本木雅弘×真鍋大度 仕事の極意」」

   

SAJ2016でRhizomatiksの齋藤精一さんに登壇頂いたのですが、齋藤さんのセッションを聞いて、よりRhizomatiksの事を詳しく知りたいと思ったので、様々な書籍を調べていたところ、本書を発見したので読んでみました。

まずは、この動画を観てください。

この動画は、顔に電極センサーをつけて、音楽にあわせて、顔の表情を電気信号で変えるという作品です。この作品は、公開後大きな話題となり、YouTubeで日本人が作った動画として、初めて再生回数が100万回を突破した動画となりました。

この動画を作ったのは、真鍋大度。Perfumeのライブ演出や、リオデジャネイロ五輪の東京2020大会のプレゼンテーションなど、テクノロジーを活用した印象的な作品を作り続けてきた「Rhizomatiks」に所属するクリエイターです。

真鍋さんは、様々なアート作品を発表し続けています。例えば、Perfumeの演出を手がけるMIKIKOさんのダンスユニット「ELEVENPLAY」と行った「border」という講演では、観客はVR機材をつけて、自動運転する車椅子に乗車。動く観客にあわせてダンサーがダンスをすることで、全く新しい表現、体験を実現しました。

テクノロジーを活用した新しい表現に果敢に挑戦する真鍋大度さんが、NHK「SWITCH」の企画である人と対談しました。対談の相手は、本木雅弘さん。いまや俳優として確固たる地位を築いた方ですが、テクノロジーからは距離がある方に思えます。(実際、本木さんはパソコンの立ち上げすら上手く出来ないそうです)

真鍋さんと本木さん。話は思わぬ方向に展開し、意外にも共通点があることに気づきます。全く立ち位置が違う2人が、どんな話をしたのか。本書「本木雅弘×真鍋大度 仕事の極意」は、2人の対談をまとめた1冊です。

人間の可能性とは

本書の面白さは、全く違う立ち位置に立つ両者が、共通のテーマについて深く考え続けている点にあると思います。両者が深く考え続けているテーマとは、「人間」についてです。

真鍋さんは、テクノロジーを活用して、様々な表現の可能性を追求している人なので、肉体や精神といった人間を形造るものに対する興味が薄い人という印象をもちがちですが、実はダンスを習ったりしているそうです。ダンスを習っていることからもわかるように、人間が実現出来る表現の可能性について、テクノロジーを活用しながら追求している人だということが、本書を読んでいると伝わってきます。

本木さんは、今や俳優として確固たるポジションを築き、日本で数少ない「俳優の名前でお客さんが呼べる」俳優だと思います。1つ1つの作品にじっくり準備する時間をかけ、役作りを行う真摯な姿勢から生み出される演技は、人の心を動かし続けてきました。

本木さんは本書のあとがきで、「いみじくも凡人(本木)と才人(真鍋)の標本のような対談になってしまった」と語ってますが、そんな事はありません。お互いが全く違う立場で活躍している2人でなければなし得なかった対談です。テクノロジーの可能性を追求するということは、人間の可能性を追求することにつながるのだ。そんな事に気付かさせてくれた1冊です。

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