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ドイツに移籍した武藤のパフォーマンス悪化の原因を身体の使い方から考える

   

昨日公開した西本直さんから教えて頂いた、大久保嘉人と他の選手の身体の使い方に関する記事は、多くの反響を頂きました。なお、川崎フロンターレ対サガン鳥栖の試合を観ながら、こんな質問をしていました。それは「武藤嘉紀はマインツに移籍して、なぜパフォーマンスが悪くなったのか」という事です。

FC東京に在籍していた時、西本さんは宇佐美と武藤を比較し、武藤の方が身体の使い方が上手いと語っていました。

武藤の方が骨盤が立ち、姿勢のよい状態でプレー出来るため、身体を伸ばすために使われる、疲れにくく力を発揮できる「伸筋」を上手く使えているというのです。一方、宇佐美は骨盤が後ろに傾いているため、身体が前に傾いているため、力が入りやすい状態になっており、身体を曲げるときに使われる、疲れやすく伸筋に比べて力が発揮されない「屈筋」を使ってプレーしていることが要因だというわけです。

FC東京の時の武藤とマインツの時を比較する

こちらが、FC東京でプレーしていた時の写真です。

昨日プレーしている時の身体の使い方をチェックするポイントとして、「自然と背すじが真っ直ぐになっているか」「足が身体の真下もしくは近くにあるか」という2点を挙げました。この写真を見ると、身体が少し傾いていますが、背筋は真っ直ぐ伸びています。右足も後ろに残っていて、振り出した左足が身体の近くにあります。背後にいる浦和レッズの森脇の右足の位置と比較すると、武藤の左足の方が身体の近くにあります。

一方、こちらがマインツに移籍してからの写真です。あまり枚数が多くなかったのですが、怪我をする直前の試合の写真を選びました。

まず、姿勢。身体が前傾し、「くの字」に折れ曲がっています。そして、足の位置。両膝が身体より前に出ていて、太ももの前の筋肉「屈筋」に力が入ってしまっています。ドイツのグラウンドは日本のグラウンドより柔らかいので、膝にも大きく負荷がかかっているはずです。武藤はこの写真の次の試合で、膝を負傷。復帰を目指してリハビリを続けていましたが、復帰直前で再度負傷。日本に帰国することになってしまいました。

僕は凄く武藤に期待していました。日本人のFWとしては珍しく身体の扱い方も上手く、ボールを扱う技術にも優れています。ところが、僕はマインツに移籍した後の武藤のプレーを観ていて、気になっていたことがありました。FC東京でプレーしていた時より、プレーしている時の姿勢が悪い時間帯が長く、迫力あるドリブルで相手をかわすプレーが減り、武藤らしい素早く動き続けるプレーが出来なくなっていると感じていたからです。その反面、ドイツに移籍してから身体が大きくなった印象も受けていました。

日本人はウエイトトレーニングで自然と屈筋を使ってしまう

西本さんにその事を伺ったところ、トレーニングに原因があるのではないかとのことでした。日本人はウエイトトレーニングをするとき、自然を屈筋を使ってしまうのだそうです。欧米の選手は生まれつき骨盤が引き上げられているので、ベンチプレスなどのトレーニングをしても、背中にある伸筋を使うことが出来るのですが、生まれつき骨盤が引き上げられていない日本人は、身体の前側にある胸の筋肉を鍛えてしまうのだそうです。したがって、トレーニングをするときは常に伸筋を意識してトレーニングしないと、屈筋が鍛えられてしまい、トレーニングをすればするほど、パフォーマンスが落ちてしまうのだそうです。

武藤は幼い頃から身体を上手く使いこなす能力を磨き、伸筋を上手く使えるようになったことで、日本代表まで登りつめました。ただ、もしかしたら、自分の身体がなぜ現在のパフォーマンスを発揮できているのか、理解していなかったのかもしれません。

武藤と同じように、海外で身体が大きくなって、パフォーマンスが悪くなった選手は何人もいます。マンチェスター・ユナイテッドに移籍後の香川、アーセナル移籍後の宮市など、もっていた能力があっという間に失われていくのは、本当に残念でなりません。本田圭佑だって、VVVの2年目以降は身体の使い方は年々悪くなっていると思います。ちなみに、トットナム・ホットスパー移籍後の韓国代表のソンフンミンも、身体が大きくなって持ち前の素早さが失われた選手の1人です。日本人だけではありません。

身体を使いこなす能力を磨き続けた岡崎

一方、身体を使いこなす能力をヨーロッパに移籍したも磨き続け、次第に結果を残すようになった選手もいます。岡崎慎司です。ドイツに移籍後しばらく苦労しましたが、マインツに移籍後2年連続10ゴール以上を記録。イングランド・プレミアリーグのレスター・シティに移籍後も、レスター・シティの躍進に大きく貢献しています。

岡崎慎司がドリブルしている時の写真を調べてみました。

背筋が真っ直ぐ伸びていて、右足が後ろに残っています。振り出された左足も身体の近くにあります。

こちらはディフェンスしている時の岡崎の写真です。相手を追いかけている写真なので腰から下は傾いていますが、背筋は真っ直ぐ保たれていて、左足も身体の近くにあります。こうしてチェックポイントに基いて、岡崎のプレー写真を調べると、岡崎がドイツとイングランドで結果を残しているのは、偶然ではないことが分かります。岡崎は杉本龍勇さんという陸上出身のトレーニングコーチと二人三脚で、長い時間をかけて、効果的な身体を使い方を磨いてきました。その成果が、少しづつ現れているのだと思います。

アスリートも身体の使い方に対する知識が必要

個人的には、ヨーロッパへの移籍は一長一短あると思います。レベルの高い練習環境や試合、日本とは異なる生活環境への適応といった、日本では体験できない経験から、成長出来る要素がある反面、何も考えずにヨーロッパの選手と同じトレーニングを行うことで、自らの強みを失うリスクもあるのかもしれません。イチローのように、自分の身体の事を理解し、自分にあったトレーニングマシンを導入してまで、強みを磨いていこうという人は多くはありません。

これからのアスリートは、技術を磨くだけでなく、技術を成り立たせる身体の使い方も理解し、選択する力が求められるのかもしれません。武藤もまだ23歳。これからいくらでも改善の余地はあると思いますし、岡崎のような選手が数多く出てくることを願っています。

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