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言葉の力と周囲の人々を支えに。書評「上昇思考」(長友佑都)

   

サッカー選手としてステップを上り続ける長友佑都の精神的な強さはどこに由来するのか。世界一にも輝くビッグクラブで感じることとはなにか。どこにも語られなかった、長友の「内側」を明らかにしたのが、本書「上昇思考」です。

言葉を大切にしてきたアスリート

本書を読んでいると、長友というアスリートは言葉が持っている力を、自分の力に変えてきたことがわかります。
例えば、以下は長友の祖母が書いた手紙には、こんな言葉が書かれています。

命が一番、元気が一番です。
心の元気が健康のもと。心をやわらかく。
(中略)
一流選手の条件は長く続けることです。
上からの目線は、頭しか見えません。周りが見えません。
自分が偉いとか上手だとか思ったとき、
人生の誤りが始まります。
しんどいときは先のことは考えない。
いまを最小限のエネルギーで、なんとかすること。

この手紙の最後は、こんな言葉で終わっています。

亡くなった松田(直樹)さん、足の悪い塚本(泰史)さんのことを考えると、
黄金の足の佑都は幸せものですよ。

別の手紙には、こんな言葉が書かれています。

成功は人間の表面を飾ります。
失敗は内面を豊かにします。
人間の成長のために失敗は用意されています。
失敗には成功に劣らぬ報酬がありますよ。

人からいいことを言ってもらえる機会というのは、誰にでもあるのだと思います。でも、言ってもらえた時に、きちんと聞いて自分の力に出来る人と出来ない人がいます。長友は、都度よい言葉に出会った時、その言葉の力を自分の力に変えてきました。そのことが、彼の大きな成長につながったのだと思います。

サネッティに学ぶ”ポジティブに生きる術”

長友は現在インテル・ミラノというチームでプレーしています。本書の中には、インテル・ミラノで長年キャプテンとしてプレーするハビエル・サネッティのことが書かれています。18シーズンにわたってインテル・ミラノでプレーし、聡明な人柄とクリーンなプレースタイルで敵味方を問わず尊敬を集めるサネッティ。「世界一のサイドバック」になるという夢を持つ長友にとって、同じサイドバックでプレーするサネッティは憧れの選手です。

そんなサネッティに長友は「どうしてほとんど全試合にフル出場していながら、ケガもなければ疲れもみせず、それほど安定したパフォーマンスができるのか」と聞いています。この質問に対して、サネッティはこのように答えています。

試合に勝っても負けても、良いプレイができてもできなくても
動じることがないように、頭(心)を常に安定させておくことが大切なんだ。

本書によると、サネッティは常に笑顔でポジティブな態度で過ごしているそうです。チームの雰囲気が悪くなると、明るい歌を歌ったりして、チームが明るくなるように振る舞うこともあるそうです。

疲れというのは、気持ちが落ち込んでしまっていると、余計に疲れを感じがちですし、しまいに心の調子が悪くなることで、身体の調子が悪くなることがあります。サネッティはそのことがよくわかっているのだと思います。だから、日々笑顔でポジティブに振舞っているのだと思いますし、サネッティは、ポジティブに振る舞った方が人生を楽しめることを知っているのだと思います。

「世界一のサイドバックになる」夢に続く”上昇思考”

よく知られた話ですが、長友は明治大学入学当時はレギュラーではなく、応援団の1人として太鼓を叩いていました。当時は彼がインテル・ミラノの選手としてプレーするなどと想像する人は、誰一人いなかったと思います。しかし、彼は自身の努力で世界屈指の名門チームの一員としてプレーし、「世界一のサイドバックになる」という夢に向かって歩み続けています。

そんな長友の「上昇思考」が、どんな形作られているのか、よくわかる1冊です。

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