カリスマ性のないリーダーが強いチームを作るためのマネジメントとは。書評「自分で動ける 部下の育て方 期待マネジメント入門」(中竹竜二)【後編】

中竹さんは本書「自分で動ける 部下の育て方 期待マネジメント入門 」の中で、「正しい期待をかければ、人は必ず成長する。これは私の信念です。」と語っています。前回は、正しい期待のかけ方について紹介しました。正しい期待をかけるためのマネジメント手法が、中竹さんが提唱する「VSSマネジメント」です。

その人らしさ「スタイル」を尊重する

このVSSマネジメントを実践する上で重要なのは、「そのVSSがその人らしいか」ということです。中竹さんは、本書の中で「その人らしさ」を「スタイル」と表現しています。スタイルとは、その人が持つ本質的、かつ一貫性のある個性です。誰もが本来持っているもので、いつもブレなく、その人が放っている個性。それがスタイルです。

VSSマネジメントでは、スキルではなくスタイルで人を理解しようとします。なぜ、スタイルで人を理解しようとするかというと、スキルを発揮して活躍しようと思えば、他者との競争がそこに生じますが、スタイルの発揮においては、常にオンリーワンでいることができます。つまり。「負け組」がいないのです。「負け組を作らない」。これは個性を活かす組織づくりをするために、とても重要な考え方だと思います。

思い込みで判断しない。ムダな期待を排除する

スタイルを見定めた上で、VSSマネジメントを実践するにあたって注意しなければならないのは、「思い込みで判断しないこと」「他者からのムダな期待を排除すること」です。

まず人のスタイルを、自分自身も含めた「思い込み」で判断しないことです。あくまで、いつもブレなく、その人が放っている個性は何か。そこを見定めないと、VSSマネジメントは機能しません。もう一つ重要なのは、他者からのVSSマネジメントで決めた正しい期待ではない、ムダな期待を排除することです。ムダな期待を排除するための方法として、中竹さんは以下の3つを紹介しています。

  1. 反論・抗議する
  2. 無視する
  3. 受け流す

中竹さんは、多くの場合「受け流す」という方法を取ると語っています。相手の期待に応えることはしませんが、相手を否定することもなく、相手の期待をいったん受け入れているように見せる手法です。「あなたの言っていることはわかるけど、今は難しいね」「検討してみるけど、タイミングがあわないかもしれない」「そうだね。言ってることはわかるよ。でも、まずは自分で考えてごらん。」こういって流すのです。中竹さんの経験からすると、3回期待に答えてもらえないと、人は期待せずに諦めてくれるそうです。

カリスマ性はなくてもリーダーは出来る

本書「自分で動ける 部下の育て方 期待マネジメント入門」に書かれているのは、人の持っている力を引き出すための具体的な手法です。目標設定をやっているチームはありますが、目標を達成するためのストーリーや、シナリオまで1人1人と考え、実行している組織はあまりないと思います。

僕自身、「スキル」ではなく「スタイル」でマネジメントしていくという考えは、自分にはない考え方だったので、新鮮でした。僕は仕事を進めるとき、つい「何が出来るか」で相手を判断しがちでした。しかし、スキルで判断すると、知らず知らずのうちに、スキルがない人を否定していることに気がつきました。それでは「負け組を作らない」組織は出来ません。

際立った個性や、カリスマ性をもったリーダーは少数ですし、なりたくてもそうなれないリーダーは沢山います。でも、本書にはカリスマ性がなくてもリーダーになるための手法が書かれています。中竹さんは他にも著書を出版しているので、他の著書も読んでみたいと思います。

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