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スポーツでもっと楽しい未来を作る

バスケットボールのスタッツの驚くべき世界

   

2016年10月5日(水)に、渋谷タコベルで、日本スポーツアナリスト協会主催の「JSAA OPEN SEMINAR Vol.4」が開催されました。テーマは、「観戦力」でした。後で振り返ると、2016年は、スポーツコンテンツの観戦スタイルが変わったと言われるのかもしれません。今までテレビ観戦が主流だったスポーツコンテンツの観戦スタイルが、スマートフォンでの観戦を前提としたスタイルへと変わりつつある、そんなタイミングの年だったからです。

スポーツの楽しみ方を変えているデータ

スポーツコンテンツを楽しむデバイスは変わったことで、スポーツの楽しみ方も変わってきました。特に変わったのは、データです。選手の走行距離、走る回数など、選手の能力や行動が、データとして可視化されるようになったことで、選手やプレー経験がなくても、よりスポーツの魅力を深く理解し、楽しんでもらう術が増えました。

しかし、データを活用してスポーツの魅力を深く理解し、楽しんでもらうために必要なのは、データを把握した上で、目の前で起こる事象を読み解く力が必要です。その力を「観戦力」と定義し、データを活用することで、よりスポーツの魅力に親しんでもらうためのセミナーが企画されました。今回、僕は初めて運営をサポートする立場で、セミナーに携わらせて頂きました。

データを活用した分析が進んでいるバスケットボール

今回、バスケットボールを題材に選んだのは、バスケットボールに関する企画をずっと温めていたというのもあるのですが、バスケットボールがデータを積極的に活用しており、サッカー、ハンドボール、ホッケーといった、他のゴール数を競うスポーツと比較しても、データを活用した分析が進んでおり、実績・実例も豊富だからです。ただ、日本ではようやくBリーグが「Synergy」というデータ分析ツールを導入し、富士通と提携してデータをトラッキングできる仕組みが導入され、ようやくデータを活用する基盤が出来たところです。

そこで、NBAファイナルというテーマを基に、WOWOWでNBAの解説をしている佐々木クリスさん、バスケットボール男子日本代表のアナリストを務める末広朋也さん、Bリーグ経営企画部でSynergyの導入にもかかわった、斎藤千尋さんの3名に、それぞれの立場で、データを活用したバスケットボールの楽しみ方を語っていただきました。

なお、セミナーのレポートは、日本スポーツアナリスト協会のWebサイトに後日掲載する予定です。

驚くほど項目が多いバスケットボールのスタッツ

セミナーのレポートを書くにあたって驚いたのは、バスケットボールのスタッツ項目の多種多用さです。サッカーで「走行距離」と「スプリント数」くらいしかデータを知らない人にとって、今回のセミナーのレポートを書くのは、非常に大変でした。スタッツの項目の意味を調べるところから、始めなければなりませんでした。

NBAは、stats.nba.comというWebサイトで、選手個人、チームのスタッツを掲載していますが、その項目数は驚くほど多く、シーズン中だけでなく、プレシーズン、プレーオフと、大会形式毎にデータが細かくトラッキングされています。バスケットボールでは、得点数、アシスト数、リバウンド数、ブロック数、スチール数、といった基本的な数値を、「トラディショナルスタッツ(ボックススコア)」といいます。これだけでも何項目もあるのですが、stats.nba.comでは、ケース別に分けた「アドバンススタッツ」という項目も、掲載されています。

マークされているか、されていないか

攻撃だけでも、項目は多用です。例を挙げると、UFGという項目があるのですが、これはノーマーク、シュートチェックを受けないで放たれたシュートの成功率です。もちろん、CFGというシュートチェックを受けて放たれたシュートの成功率も計測されています。他にはPITPという項目があるのですが、これはペイント(リング下の四角い枠の中)から放たれたシュートの得点数の事を指します。サッカーでは、DFが目の前にいてマークされたシュートなのか、それともノーマークでシュートを打ったのかという所まで、データはあるのかもしれませんが、公表されていません。こうしたデータがあれば、マークされていてもシュートを決められる選手なのか、マークされていないからシュートを決められるの選手なのかと行った、選手の能力をより正確に定義することが、可能になります。

守備のスタッツも細かい

NBAのスタッツがすごいのは、ディフェンスのスタッツも何項目もある事です。例えば、シュートブロックを何回したのか、何回相手のシュートをミスさせたのか、何回ディフェンスとしてボールホルダーにチェックしたのか、といったスタッツ以外にも、1m以内(だったと思います)でディフェンスした回数など、選手がどれだけ守備でトライしたのか、スタッツにすべて残リます。

攻撃と守備でこれだけ細かくスタッツが取れるので、選手個人個人の得失点差も把握出来ます。攻撃の貢献度が高くても、守備の貢献度が低い選手というのも、簡単にわかります。したがって、守備の強い選手を入れて、バランスを取るという考え方も、データから分かります。

チームの戦略を理解する手助けとなる「PACE」

僕が印象に残ったデータは、「PACE」です。PACEとは、攻撃回数の事です。NBAのチームは、40分の試合に換算すると、(NBAは1試合は48分。国際試合は40分)80回ほどの攻撃回数があるそうです。ただ、チームによって、テンポの速い攻撃を好むチームは、PACEが増えるし、ゆっくり時間をかけて攻撃するチームは、PACEが減ります。どんな戦略を用いて、試合を組み立てようとしているかは、PACEを確認すればよいのです。

なお、PACEなどのデータは、Bリーグにあるようなので、今後徐々に公開されて行くはずです。期待したいと思います。

サッカーでも同じ事が出来ないか

攻撃、守備、そして戦略を測る数値と、バスケットボールは、数多くのスタッツがあります。そして、NBAが素晴らしいのは、スタッツをオープンにすることで、新たなファンを獲得する事に成功しました。

僕は、サッカーでも同じ事は出来ると思います。攻撃、守備、ゾーン毎のプレーの分析など、バスケットボールが取れるなら、お金の問題はあるものの、やれない事はないと思いますし、こうしたデータを公表する事で、印象だけで物事を語るだけでなく、深い議論が可能になるのではないかと思うのです。

僕は、バスケットボールのスタッツをすべて理解しているわけではありませんが、今回セミナーに参加して、とても勉強になりましたし、サッカーを観る上で、新たな観方を教えてもらったような気がします。今後も、スタッツを勉強していこうと思います。

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