男性は女性を救えない。女性の問題は女性自身で解決する時代。書評:熱風2014年6月号 特集「ガール・ミーツ・ガール」

スタジオジブリは、毎月10日に「熱風」という無料の小冊子を発行しているのですが、今月の特集は、「ガール・ミーツ・ガール」です。

「ガール・ミーツ・ガール」特集のラインナップは、以下のとおりです。

地方都市のガール・ミーツ・ガール(山内マリコ)
映画は「ガール・ミーツ・ガール」をどう描いてきたのか(尾﨑一男)
「女性の社会化」がはらむ矛盾(斎藤 環)
戦いを通して語る少女ふたりの思いの強さ(誉田哲也)
私と、花子とアン 時空を超えて出会う女性たち(村岡恵理)
ガールはガールを「文字」でミーツする(武田砂鉄)
女の時代から女子の時代へ(深澤真紀)
定番ロマンスからの解放が生み出した新しいドラマ(山崎まどか)

男性は女性を救えない

今回の「ガール・ミーツ・ガール」特集を書くきっかけとなったのが、大ヒット映画「アナと雪の女王」です。この作品の大きな特徴は、女の子同士の絆です。作品のテーマが、素敵な王子様との恋愛ではなく、女性同士の強い関係性をテーマに作られたことが、大きな話題になりました。そして、偶然にもスタジオジブリの次回作「思い出のマーニー」も、杏奈とマーニーの絆を描いた物語です。

なぜ、女性同士の絆を描いた映画が増えたのか。その理由について、スタジオジブリの西村義明プロデューサーが、「思い出のマーニー」の制作発表記者会見でこのようなことを語っています。

20世紀は、完全無欠のヒーローが女性を救うという映画が主流だった。
その後、ヒーローも悩んでいて、それを女性が支えてあげるという映画が出てきた。

そして21世紀になって、男性は女性を救えないんだということが、世の中で、社会で、世界的にも分かったんじゃないかと。
女性の問題は女性自身で解決しなきゃいけない、それが「アナと雪の女王」です。

ジブリ初のWヒロインでありつつ、『思い出のマーニー』には、ほとんど女性しか出てこない。
まあ(男性も)何人かいるんですけど。
この今の時代が、企画に反映されてるんじゃないか、女性の問題を男性が解決できる時代は終わったんだなと感じます。
杏奈の抱えている問題を支えてあげるのはマーニー。
それは、時代の必然性があるんじゃないかと思います。

男性は女性を救えない。女性の問題を男性が解決出来る時代は終わった。

この言葉は、強く印象に残っています。

この言葉を読んだ時、男性と女性がついに対等の関係を要求される世の中になったのだと、強く感じました。男性が女性の人生を導いていくような関係ではなく、対等に付き合う。男女の権利が均等になり、それが当たり前の世の中になり、人々の意識として浸透したのだという事を示しているのだと思います。

男性の問題も自分で解決するしかない

今回の特集を読んでいると、1人の男として、どうしていくべきなのかを考えさせられます。

例えば、男性は結婚したら家で生活する家族のために、狩りをして食料を採ってきたり、働いてお金を稼いでくることを、役割として担っていました。しかし、これから女性も同じような役割を担い、むしろ男性が提供していた家庭での関係性に似たものを、女性同士の関係が担うのだとしたら、男はどうするべきなのでしょうか。それこそ「ボーイ・ミーツ・ボーイ」というわけにもいかないでしょう。

女性の問題は、女性で解決する。だとしたら、男性の問題は、誰が解決するのか。結局、男性の問題は男性が解決するしかない。身も蓋もない事を言えば、そういうことなんだと思います。

今まで、男性の問題は、個人の問題というより、「家庭の問題」や「社会の問題」としてすり替わっていたような気がします。「家庭の問題」として、女性にも問題を共有してもらっていたとも言えるのかもしれません。それが、男女個人個人の問題として、捉えなければいけなくなったのです。女性はその事を男性より早く見抜き、変化に適応しているのかもしれません。

女性の問題は女性で解決する。男性の問題は男性で解決する。
そんな時代に提供されるエンターテイメントとは何か。
恋愛に変わるものが生まれるのか。
とりあえず、「思い出のマーニー」の公開を楽しみに待ちたいと思います。

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