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シンプルは話でみせつけたスタジオジブリの底力。書評:熱風2014年8月号 特集「思い出のマーニー」

      2014/08/15

スタジオジブリは、毎月10日に「熱風」という無料の小冊子を発行しているのですが、今月の特集は、「思い出のマーニー」です。

「思い出のマーニー」特集のラインナップは、以下のとおりです。

「普通」から漕ぎだす少女の表情(朝井リョウ)
大きな幻想の力(斎藤 環)
人生は輪の内側と外側の往復運動かもしれない(久保ミツロウ)
映画と一緒に、子供にそっと寄り添える音楽でありたい(村松崇継)
『思い出のマーニー』を観て想い出したこと(岩井俊二)
「思い出のマーニー」と翻案の考察(尾﨑一男)

なお、今回の「熱風」の書評は、先日「思い出のマーニー」を映画館で観てきたので、僕自身の映画の感想を中心に、書いてみたいと思います。

シンプルなストーリーを支える細かい演出

「思い出のマーニー」の話の構造は、とてもシンプルです。

問題を抱えている女の子(杏奈)が、普段生活している場所とは違うところに行って、そこで出会った人々との交流を通じて、抱えている問題を解決して、普段生活している場所に戻る。これは、「千と千尋の神隠し」でも使われた構造です。

「思い出のマーニー」でまず印象に残ったのは、風景です。息を飲むように美しい湿原、実際に存在したいたかのように見える洋館など、大きなスクリーンで観ると、その世界に引き込まれていきます。

杏奈の髪型が変わったことも印象に残りました。物語の途中、杏奈の気持ちが変わったことを観客に分かってもらうための手段として、杏奈の髪型が変わります。物語の序盤は整った可愛らしい髪型をしていたのに、髪を切ってもらったことで、ボサボサの髪型になります。このボサボサの髪型は、杏奈が自分が抱えている問題を解決しようと決意した証であり、物語が転換するスイッチになっています。

印象に残るラストシーン

こうした印象に残る細かいシーンを積み重ねて作られたラストシーンは、ストーリーの構造を途中で理解しながら観ていたのに、グッとくるものがありました。一緒に観に行った4歳の娘は、「マーニーが手を振るシーンが良かった」と語っていました。このラストシーンを観るだけでも、お金を払って観てよかったと思う映画でした。観終わって、僕の隣で観ていた小学生の女の子3人組は、「アナ雪よりよかった!」と笑顔で語り合っていました。

スタジオジブリが持っている底力がむき出しになった作品

「思い出のマーニー」は、宮﨑駿監督作品のような、身を乗り出すような冒険活劇ではありません。トトロやポニョのような、グッズとして売れそうなキャラクターも出てきません。

だからこそ、「思い出のマーニー」は、宮﨑駿がいないスタジオジブリが元々持っていた筋肉というか、底力というか、根本的な力がむき出しになっている作品だと思います。ただ、「思い出のマーニー」のように、筋肉だけで勝負していくのも、難しいとも正直感じました。

この作品を観ているだけでは、スタジオジブリの今後はわかりません。
でも、スタジオジブリの今後を占う上で、ターニングポイントと言える作品なのは、間違いありません。

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