新しい可能性と現状。書評:熱風2015年2月号 特集「再生可能エネルギー」

スタジオジブリは、毎月10日に「熱風」という無料の小冊子を発行しているのですが、今月の特集は、「再生可能エネルギー」です。元経済産業省の官僚だった古賀茂明さんにインタビューし、再生可能エネルギーの現状や、今後の課題について解説しています。

今回の特集を読むにあたっては、スタジオジブリが原発に反対しているという点を踏まえて、読む必要があると思います。どういうことかというと、「再生可能エネルギー」の特集ではあるのですが、どちらかと言うと、再生可能エネルギーの可能性に関する言葉よりは、原発の問題点に対する言葉が多くなっています。それは、スタジオジブリの考えが色濃く反映されていると言えます。

原発推進国でさえ新しい原発は造られていない

ただ、スタジオジブリの考えを頭に入れて読んだとしても、今回の特集には、興味深い指摘が多く、読みごたえがあります。印象に残ったのは、特集の冒頭で紹介されていた「原発推進国でさえ、原発が造られていない」という事実です。

特に、アメリカは政府としては原発推進にもかかわらず、スリーマイル以降、原発は1基も造られていないのだというのです。フランスもイギリスも原発に熱心で、特にイギリスは原発を再生可能エネルギー同様に買取制度の対象にするという政策まで決めたのに、それでも原発は造られていないのだというのです。

なぜ、新しい原発が造られていないのかというと、原発の安全基準が厳しくなっているからだというのです。原発は安全基準が厳しくなったことで、コストが下がることなくどんどん上り、技術の向上より、コスト増のほうが上回り、新しい原発を作るメリットはないというのです。

2012年にGEのイメルトCEOが「原子力発電を経済的に擁護するのは「非常に難しい」」と語っていたそうですが、安全規制、保険といったコスト要因が、原発の新規開発を阻んでいるのです。そう考えると、ヨーロッパの国々が再生エネルギーの導入に取り組んでいるのは、原発より再生エネルギーの方が、コストが高いからという合理的な理由によるところが大きいのだと、今回の特集を読んでいると感じます。

参考:「原発は高くつく」 GEトップの発言は本当か(日本経済新聞)

エネルギー政策に潜む狙い

今回の特集を読むと、エネルギー政策は国が描いているプランと密接に関連していることがよく分かりました。再生エネルギーを推進する国、原発を推進する国、それぞれ国としてのプランがあるのです。

だからこそ、プランの裏にある意図を読み解くこと、それがエネルギー政策を正しく理解することにつながるのだと、今回の特集の読んで学びました。では、日本はどういうプランを描いているのか。興味をもった方は、ぜひ今月の熱風を読んでみてください。

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