アフリカの魅力は一言では語れない。書評:熱風2015年4月号 特集「アフリカのいま」

スタジオジブリは、毎月10日に「熱風」という無料の小冊子を発行しているのですが、今月の特集は、「アフリカのいま」です。「アフリカのいま」特集のラインナップは、以下のとおりです。

青い空の下で52年(佐藤芳之)
なぜアフリカの民主化と経済発展はまだら模様なのか(勝俣 誠)
2015年アフリカの武力紛争を俯瞰する(白戸圭一)
アフリカ医療のいま ~ケニアの現場から~(一瀬休生)
両極端が同居する国々アフリカ(西村佑太)
アフリカと向きあう視点――恋と音楽と人類と(鈴木裕之)
経済で考えるアフリカのいまと未来(平野克己)
私が見たアフリカの光と影(杉山 正)

奥深きアフリカ

昨今、「ノリウッド」という言葉を耳にしました。「ノリウッド」とは、ナイジェリアのラゴスを中心に、近年アフリカで映画産業が盛んになっていることを現す言葉です。もちろん、語源は「ハリウッド」。本場には規模は遠く及びませんが、アフリカという土地は、こんなところからも注目を集めています。スタジオジブリが特集するアフリカなので、ノリウッドの事も書くんじゃないかと勝手に想像していたのですが、全く違いました。むしろ、多種多様な切り口から、アフリカについて真正面から考えよう。そういう強い意気込みが感じられた特集になっています。

今回の特集は、本当に情報量が膨大で、正直消化しきれない自分がいます。寄稿した人も多種多様。アフリカでナッツを製造する会社を設立した人、研究者、医師、記者としてアフリカを取材し続けた人、現地に長く駐在した駐在員、現地のアイドル歌手と結婚した文化人類学者、など。これだけ、多種多様な人が全く違う切り口で語れるのが、アフリカという大地の魅力なのかもしれません。

アフリカで事業を成功させ、タダ同然で手放した男

最も今回の特集で面白かったのは、ケニア・ナッツ・カンパニーというナッツを製造する会社を立ち上げ、大成功を収めた佐藤芳之さんの記事です。

佐藤さんがどのような事を成し得たかは、著書「OUT OF AFRICA アフリカの奇跡 世界に誇れる日本人ビジネスマンの物語」に詳しく書かれているのですが、(このブログでも書評を書かせて頂きました。)佐藤さんが創業したのは、1974年。今だって、アフリカでビジネスを成功することは難しいと思います。佐藤さんがどれだけ苦労したかは、想像に難くありません。しかし、佐藤さんは成功を収めた後、「ケニアの会社だから」と、タダ同然で現地の人に譲ってしまいます。配当も株主に配ったことはなく、利益は全て事業投資と従業員に還元していたそうです。

佐藤さんは、「人間は執着しすぎている」と語ります。腹が減ったら獲物を見つけて食べれば、それでいい。食べ物、欲望、規律、責任、売上げ、利益、全てほどほどでいいんじゃないかと。人間は発展途上にいるくらいがよくて、先進国のように発展しすぎてしまったら、不安しか残らないと。

佐藤さんは、ケニア・ナッツ・カンパニーという会社を通じて、シンプルにいかに単純に仕事が出来るかを、表現したかったのだそうです。報告書、ミーティング、会議、基本方針、反省会は全て余分。今日の仕事で何をやったか、満足感を持ったか持たないか。それくらいでいい。余計な人たちが、あーだこーだ言うだけの職業が多すぎると。

佐藤さんの言葉には、今の自分自身の働き方や置かれている境遇を踏まえると、色々考えさせられました。

混沌としているところがアフリカの魅力

特集を読み終えて、アフリカの魅力は、混沌としているところなのかもしれないと、思いました。赤土の大地に代表される自然の美しさ、人々の生きようとするエネルギーといった表面的な魅力だけでなく、殺戮、病気、貧困、賄賂といったマイナスのエネルギーも内包し、混沌とした状態で、エネルギーの固まりとして渦巻いている。それが、アフリカという土地に、人々が惹きつけられる理由なのかもしれない。そんな事を考えました。

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