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熱風2015年10月号 特集「日本へようこそ・・・?」-観光立国になるための課題は山積み-

   

熱風2015年10月号

スタジオジブリは、毎月10日に「熱風」という無料の小冊子を発行しているのですが、今月の特集は、「日本へようこそ・・・?」です。

観光庁をはじめ企業や観光地、商店街ほか、様々な業界がさらなる誘致・集客を目指して外国人観光客の意向を探り、彼らに合せた「おもてなし」施策を打ち出してインバウンド観光消費を取り込もうとしていますが、文化や週間、考え方が違う人々に接して受け入れていくなかで、いままでにはなかっった様々な問題も徐々に見え始めてきています。

「日本へようこそ・・・?」特集のラインナップは、以下のとおりです。

真の観光立国を目指すには、インバウンド集客だけでは不十分(星野佳路)
“クールジャパン”はクールじゃない!?(ベンジャミン・ボアズ)
観光は、平和へのパスポート~谷中の町と人々と、澤の屋旅館~(澤 功)
ネットの口コミが明かす、外国人旅行客の意外な嗜好(東 真菜)
結局、入館者数を1割減らしました。(中島清文)
ダークツーリズムから考える日本の観光の問題点(井出 明)

「真の観光立国」とは?

そもそも、インバウンド観光消費を取り込むには、どうすればよいのでしょうか。星野リゾートの星野さんは、今回の特集の中で「真の観光立国」とは、どのような姿なのか、こう語っています。

全国各地が地域独自の魅力を磨き上げ、国内外から多くの旅行・観光客を惹きつける国です。そして、その中で旅行・観光産業が基幹産業の1つに位置づけられ、人口減少に直面する地方にも新たな雇用を生み、投資も呼び込み、地域密着型産業として地域活性化に貢献している国、それが目指す姿なのではないかと思っています。

つまり、単に外国人観光客の数が増えることが、観光立国ではないということです。いかに観光産業が地域に貢献しているか、そして地域の魅力をいかに発信するか。ここが問われているのです。

そのために大きな課題として、星野さんは「観光産業は利益が足りていない」という問題を指摘しています。従業員の正規雇用が25%しかなく、75%が非正規雇用です。これは、観光産業の利益率が低いため、正社員を雇用する余裕がないからなのです。

そして、外国人のセレブリティが宿泊するような施設がほとんどないという点も、日本の観光産業の課題です。誰も出来ない体験を求めているセレブリティへのおもてなしで求められていることは、サラリーマン家族が夏休みにやってくるときに求めているおもてなしとは異なります。こうした、ユーザー別にいかに最適なおもてなしを提供するか、日本の観光産業の課題です。

外国人観光客が増えるのはよいことばかりではない

また、外国人観光客が増えるのはよいことばかりではありません。今回の特集では、ジブリ美術館の館長である中島清文さんが、外国人観光客が増えたことによる問題について、わかりやすく語っています

ジブリ美術館では外国人観光客の来訪が増えたものの、マナーの悪い人が増えたり、ローソンチケットを通じて相当な枚数をローソンで購入して、取り扱う代理店が出てきたり、オークションで転売する業者も出てきました。

また、欧米の人々は身体が大きく、アジアの方々は声が大きい。それゆえに周囲の空間を支配する面積というか、一人あたりの専有面積が日本人より外国人の方が大きくて、今までと同じ入館数では窮屈に感じられるようになったそうです。そこで、ジブリ美術館では入館者数を従来より1割減らしたのだそうです。

過去の歴史を振り返る旅「ダークツーリズム」

今回の特集で興味深かったのは、「ダークツーリズム」という取り組みです。

「ダークツーリズム」とは、戦争や災害の後などの悲劇の場を巡ることで、過去の歴史を振り返る旅のことです。日本では、広島の原爆ドーム、長崎の原爆慰霊碑といった場所が、「ダークツーリズム」の場所として外国人観光客に人気があります。外国の例を挙げると、ドイツのアウシュビッツ強制収容所も、ダークツーリズムの代表例です。もしかしたら、東日本大震災の「奇跡の一本松」の跡地なども、今後観光客を呼びこむ可能性を秘めた場所です。

「ダークツーリズム」の可能性が示しているのは、地域の歴史、文化を他人に知ってもらう努力をすれば、どんな地域でも観光客を呼び込める可能性があるということだと、僕は思っています。どんな地域でも、これまで良いことばかり起こっていたわけではありません。災害、飢饉、そして圧政などなど。様々な歴史の波をくぐり抜けて、今の地域の姿があるはずです。

「ブラタモリ」という番組が上手く紹介していますが、どんな地域でも、必ず歴史が感じられる痕跡はのこっています、地域の人は「当たり前」と思っていることでも、地域の外からくる人にとっては、珍しいことです。どんな文脈で、どうやって自分たちの歴史や文化を伝えるか。外国人観光客向けに特別な事をするというよりは、自分たちの足元にあるものを掘り下げて、どう伝えるか。そして、継続していくためには、どうしたらよいのか。それが、外国人観光客を呼び込み、日本の地域を活性化させるために必要な事なのだと、改めて感じました。

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