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熱風2015年11月号 特集「オリジナルって何?」-オリジナルの定義を考える-

   

2015年11月号

スタジオジブリは、毎月10日に「熱風」という無料の小冊子を発行しているのですが、今月の特集は、「オリジナルって何?」です。

先日、東京オリンピックのエンブレム問題が世間を騒がせました。オリジナルとは何か。元ネタに影響を受ける作品づくりの是非についても、多くの意見が出ました。今回の特集では、オリンピックのエンブレム問題がよい悪いという事を論ずるのではなく、過去の様々な作品を振り返り、ある作品がどれだけ過去の作品から影響を受けているか、その現象について、絵画。マンガ・SF小説・映画のテーマから検証した特集です。

「オリジナルって何?」特集のラインナップは、以下のとおりです。

風神雷神図から考えるオリジナルとコピー(辻 惟雄)
手塚と石森と「オリジナリティ」?(夏目房之介)
「憂鬱な象」と『ターミネーター』――SFにおけるオリジナリティ(山本 弘)
映画は模倣の連鎖である(町山智浩)
真に豊かな文化的環境を作ることにつながる制度とは(村瀬拓男)

全くのオリジナルな作品というのは、ありえない

今回の特集の趣旨でも説明していますが、全くのオリジナルな作品というのは、ありえません。どんな名作でも、過去の名作や、なんらかしらの作品からの影響を、自分自身で編集して、ある部分だけ新しいモノとして表現しています。「ジョジョの奇妙な冒険」は、シェイクスピアから影響を受けている作品だと言われていますし、「ONE PIECE」は「次郎長三国志」という昔の時代劇がヒントになって作られた作品だと言われています。

音楽だって、ビートルズは1950年代のブルースやロックンロールから、多大な影響を受けていますし、マイケル・ジャクソンはそんなビートルズの熱烈なファンでありつつ、1960年代のモータウンサウンドの影響を自分の中に取り入れ、独自の音楽を生み出しました。芸術家の村上隆さんは、過去の名作の構成と、現代社会で受けている絵(アニメ)の造形を組み合わせ、新しい美術作品を作り出しています。

コピーとオリジナルの問題については、それこそ江戸時代からありました。よく「開運!なんでも鑑定団」で、鑑定した作品が偽物だったということがありますが、昔から作家の作品を、版画でそっくりそのままコピーした作品や、模倣した作品が多く出回っていたと言われています。新しい問題ではないのです。

村上春樹が考える「オリジナルの定義」

既存の何かを組み合わせて、オリジナルな何かが出来上がるとすれば、改めてオリジナルって何なのでしょうか。作家の村上春樹さんは、「職業としての小説家」の中で、「オリジナル」という言葉を以下のように定義しています。

  1. ほかの表現者とは明らかに異なる、独自のスタイルを有している
  2. そのスタイルを、自らの力でヴァージョン・アップできなくてはならない
  3. その独自のスタイルは時間の経過とともにスタンダード化し、人々のサイキに吸収され、価値判断基準の一部として取り込まれていかなければならない

僕がこのオリジナルの定義で大切だとお思うのは、「2」と「3」だと思います。「1」は、意外かもしれませんが、誰でも出来ます。それほど難しくありません。しかし、「1」を作っただけでは、オリジナルとは認められません。人に認められるために、自分自身のオリジナルな何かを、ヴァージョンアップしながら、継続してアウトプットしていかなければなりません。これが難しいのです。

なぜ、難しいか。それは、オリジナルな作品は人の目にさらされると、最初は必ず批判されたり、無視されるからです。批判されても、無視されても、継続してアウトプットし続けたり、オリジナルなモノとして守り続けていくのは、簡単なことではありません。また、一度アウトプットしたものを、人の目にさられても耐えうる文脈とクオリティを備えてなければなりません。そうしないと、時間の変化や、環境の変化、といったものに堪えられないからです。

編集された作品かどうか

僕個人は、オリジナルな作品は「編集された作品かどうか」だと思っています。「カリオストロの城」には、「無法松の一生」という作品でも使われた、「俺のように薄汚れちゃいけねぇんだよ」というセリフが登場します。でも、ほとんどの人には、その事は分かりません。それは、宮﨑駿さんが元ネタをきちんと編集して、自分の作品の中に盛り込むことで、別の文脈(コンテキスト)に落とし込んでいるからだと思います。東京オリンピックのエンブレムは、編集が足りなかったのではないのでしょうか。

今回の特集を読んでいると、改めて「オリジナルとは何か?」について考えさせられます。そして、この問題は、古くから続く問題であり、答えなどないのではないかという気にすらなります。ただ、それが「オリジナルとは何か?」という問題に対する答えなのかもしれません。

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